第6話
工房の作業机の角に先程後頭部に直撃した一覧表を軽く叩き付けてみるとコンコンと、硬めの木の棒を当てているかのような音がした。
「あの野郎…どんだけ固く丸めてんだよ…」
溜め息を吐いてギッチギチに結わいてある紐を苦労しながら解き、内容をざっと見た。
「フム…傷薬、包帯、消臭剤、非常食、浄水筒、発火材、簡易鳴子…種類多くね?なんだよ全部10品づつって」
包帯と鳴子は予備材で足りるが、他の品が不足してるから新たに作るしかない。
一つ一つ終わらしていく為先ず棚から傷薬の材料になる吸血草の根の粉末と朝採れの薬草を数種類取り出す。
吸血草は生物の血液に含まれる鉄分などに反応し急速に根が延びる。粉末になっているのでこれにはそこまでの生育力は無くなっているので、精々が傷口からの出血を軽減させるくらいの効果しかない。
そこで薬草に出番が回ってくる。材料の薬草自体は草原なら探せばすぐに見付かる物だが俺が見つけ出した配合比率に手順で調合すれば、人類の皮膚に塗り付けると表面は鞣し革のように固まり皮膚表面に止まらず内部の筋肉組織まで治癒力の向上効果が発揮される。
しかし、薬草を調合した物だけでは出血を止められず皮膚の表面と塗り付けた薬の間に溜まり傷が悪化、最悪壊死してしまう。なので薬の効果が少し落ちても止血の為に吸血草の根の粉末が必要なのだ。
「量はこんくらいか」
出来上がった傷薬を掌大の大きな二枚貝の殻にボットンボットン落として閉じて紐で縛っていき、傷薬の梱包?を終わらせた。
「傷薬終わり」
次はどれを作るかな。