プロローグ
明日という言葉を口にすると、僕の中で連想されるワードは『希望』しかない。
というのも、時間の経過がマイナスで生じるものならば、きっと明日という時間の単位は不必要だからだ。
時間が過ぎることで、明日があるのなら、その自覚が出来る分、人は幸せなのだと思う。
明日がある。それだけで人は期待的観測をしていることになる。
人は、前を向いて歩いていけるんじゃないのかなあ。多分。
明日を許容できているだけ、僕は元気だ。
そう思わなければいけないような気がした。
車の後部座席、読みかけの本をシートにおいて、窓の向こうを見た。木しかなかった。高速道路からの景色。
――味気ない山道を曲がりくねった先に、僕の住む町がある。
そこはどこに繋がっているんだろうか。
不安しかないけれど、これから先は期待だって、育てていかないといけないらしい。
はっとため息を吐いたって、何も変わらない。
僕が生きた人生がただの年数であっても、それがはたから見れば無意味であっても、どんなに無様であっても。
それが僕の人生だから。僕の運命で。僕の生きる道だから。
僕は、まだ終われないんだ。