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プロローグ 目を覚ますと、そこは僕の知らない場所でした

「う、うぅん……」


気がつくと、見知らぬ部屋の天井がまず目に入った。

 僕は間衛(はざままもる)。今年で15歳になる、世間から見れば

受験を控えた中学生だ。けれど、僕は……


「お?目を覚ましたようだな、少年!具合の方はどうだ?」


と、ここがどこかも判断する間もなく、僕の方へ向かって放たれる声。

低く通った、どことなく野性味溢れる声の主が、僕に近づいてくる。


「……!?え?えぇーーーーっ!?」

「あ?どうした少年?暑さで頭をやられたか?」


おそらく男性であろう、声の主の顔を見た瞬間、僕は仰天せざるを得なかった。

 だって、本当に“獣”そのものの顔してたんだから!

種類は犬に近い、銀髪ふっさふさの獣顔!驚きのあまりちょっと漏らしそうにもなった!


「あ、あわ、はわわ……」


慌てて後ずさる僕。彼?は、それを不思議そうに眺めつつ、落ち着いた様子で話しかけてきた。


「おい、どうした?水でも飲むか?」

「そっ、それ以上ち、近寄らないでくださ……ぃ」

「あぁ?そりゃあないぜ。仮にも俺は、君の命の恩人だぞ?

感謝されこそすれ、拒絶されるのは心外なんだがな」


――命の、恩人?

 その言葉を聞いて、僕もようやくこの人?が悪人でないことを理解した。

緊張が解け、ふと体の方に目をやると、RPGに出てくるような鎧甲冑に身を包んでいる。


(……この人、騎士か何かなのかな?)


「お、何とか正気にはなったようだな。暴れられたらどうしようかと……」

「あ、あの。訊いても、いいですか?」

「ん?何が聞きたい?知らない事と機密事項以外は教えてやれるぜ」

「あの……一体ここはどこで、あなたは誰で、僕はどうしてここにいるんですか?」


ふぅむ、と考えこむ仕草をしてから、獣頭(けものあたま)の人は話し始める。


「ようし、順を追って説明しよう。

ここは『ベルグランデ王国』。通商の盛んな貿易国家だ。

そして、俺の名前はガルゥ。ここの『国境警備隊』で隊長を務めている。

言わずもがな、ここは貿易交流の(かなめ)であると同時に、他国から攻め入られる

危険性をはらんでいる。だからこそ、それを未然に防ぐ為に

俺たちがいる、ってことだ。

(ちな)みに、君は国境線手前の丘陵地帯で倒れている所を、隊の者が発見

してな。素性調査も兼ねて、この隊舎まで連れ帰ってきた、という訳さ」

「な、成程……」


獣頭の人――ガルゥさんの説明をひと通り聞いて、僕はいくつかの事に気づいた。

一つ、ここは僕が住んでいた世界ではないという事。

二つ、ガルゥさんには、僕の言葉が伝わっているという事。

最後に、僕をここまで運んでくれた、『国境警備隊』の「誰か」に命を救われたという事。

 けれど、なんで僕なんかがこんな異世界へ来なきゃならなかったんだ?


(いや、それよりも今は、早く戻る方法を探さないと……)


 この手のRPGはやり慣れていたので、自然と思考が浮かぶ。

これが戦国時代なんかだった日には、僕の人生ゲームオーバーだったろう。

 いや、だとしなくても、運良く拾われていなかったらどの道死んでいたんだ。

まずは、僕を助けてくれた人にお礼が言いたい。そんな気分になった。


「あ、あのぅ、隊長さん?」

「ガルゥでいいよ、隊長って言われるのはこそばゆくってな。で、何だ?」

「その、僕を助けてくれたっていう人は、今どこへ?」

「ん?ああ……そういや、そろそろ交代の時間だな。

ちょっとそこで待ってな、じきに会えると思うぜ」

「え?は、はい……」


丁度その時だった。部屋のドアをノックする音が聞こえ、その先から声が聞こえたのは。


「ガルゥ隊長、定時の交代のお時間です。警備隊隊員マルグリット、参上いたしました」

「おう!そうだマルグリット、お前が保護した例の少年、気がついたぞ。

一度話してみたらどうだ?」

「えっ?それは本当でしょうか、隊長?」

「ああ。ちょっとばかし気が弱いが、話は分かる子だ。きっと事情があるんだろう」

「良かった、私の行動が無駄にならずに済んで……それでは、入ります!」


凛とした心地良い声が止まったかと思うと、部屋のドアが開き、そこから

現れたのは……金髪碧眼(きんぱつへきがん)のセミロング、しかも整った

顔立ちの、紛れもない“美女”だった。

 僕は、その人の顔を見て、しばし呆然としてしまった。


「そんじゃ、後は二人でよろしくやってくれや」

「隊長、私にそういった趣味はございませんよ?行ってらっしゃいませ」

「おうよ!一丁ゴロツキ共を締め上げてくるぜ」


ガルゥさんが元気よく部屋を出て行った後、そこには、僕と

マルグリットと呼ばれた女性しかいなくなった。

なんだろう……なぜか緊張してくる!


「君が(くだん)の少年ね。初めまして、私はマルグリット。

『国境警備隊』第三部隊に配属されている者よ」

「は、はいぃ!え、えーと、ぼ、僕は……」

「ふふっ、そんなに緊張しなくていいわよ?君は盗賊でも、性質の悪い

商人でもない。我が国は、君を歓迎しているわ」


マルグリットさんの、凛とした声が響くたびに、僕の心臓が早鐘(はやがね)を打つように

どくん、どくんと脈打つ。


(ま、まさか……これって一目惚れ)


「大体のことは、ガルゥ隊長から聞いているのね?」

「ひぇっ!?は、はい!」

「よし。それでは……まずは国王様に謁見(えっけん)しないといけないわね。

君はそのままの格好でいいから、私に付いて来てちょうだい」

「はい!……ってええええ!?」

「いきなりどうしたの、そんな大声を上げて?」

「だ、だだだって、王様と顔合わせって……」

「この国のしきたりでね。国外出身者はまず、国王様と謁見して

素性と身分を明かさねばならないの。大丈夫、落ち着いて」


ど、どうしよう……これで国王様に嫌われでもしたら、僕は……

一体どうなっちゃうんだ!?


 慣れない事は極力しない方がいいんですが、またやってしまいました;

素人の作品ですので、至らない部分が多々あるでしょうが、生暖かい目で

ご覧下さい。

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