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第5話 raven

目が覚める。

そこは見なれない場所だ。

黒い天井、白い壁、辺りを見渡せばその他のものも全て白と黒で統一されていた。

なんにしろ、俺からすれば趣味が悪いと思われるわけだが。


「目が覚めたか、馬鹿もの」


「ん―――ああ、ここはどこなんだベルフェ」


「ここは――――組織の本部さ」


「組織!?何だってそんな所に……………」


組織の本部。

そう明かされてみると、なんとなくそんな気もしてくる。

白と黒。無彩色で彩られた空間は何処となく俺のイメージに合致した。

無機質で非情な、そんな印象。


「なあ、ベルフェ―――あれ、どこに行ったんだ?」


ふと、顔を上げると黒猫の姿は既になかった。どこに隠れたのやら。

ガチャ

代わりに目の前にあるドアが開く。

そこから昨日見た顔がのぞく。確かテリオル、といったか。

彼女は食器をのせた盆を持って、俺の前に立ち止まる。


「え、と一つ訊いていいかな」


「…………………」


「なあ、俺はなんでここにいるんだ?」


「……………………………………」


「おい?」


「………………………………………………………………」


気まずいっ…………!

昨日見た感じで無口そうなのはわかっていたが、全く会話が成り立たない。

もしかして、目を開けて眠れる人種だろうか。


「………………食べて」


一言、そう言って盆に載ったパンをさし出して来る。

それは中々おいしそうでフランスパンのような形を――――そうじゃない。


「なんで俺はここで寝てるんだ?教えてくれ」


「………………食べて」


またもや一言、そう言って盆に乗ったスープをさし出して来る。

それはこれまたおいしそうでクリームスープのような――――そうではなく。


「なあ、俺はなんでここにぐぅ」


「食べて」


今度は実力行使とばかりにパンを俺の口にねじ込んできた。

香ばしい香りが口いっぱいに広がって――――だから、そうじゃなく。


「んが、だ、だから、俺はどうして…………」


「た・べ・て(怒)」


「なんでキレてんだよ!ちょっ、んぐぁ、待って」


「ほらほらぁ、それじゃあ食えないでしょうが。里桜、どきなさい」


そう言って現れたのは、昨日チェルシーと呼ばれていた少女。

テリオルはその言葉に大人しく従い、道を開けた。


(つまり、この名前は例のコードネームみたいなものか。テリオルは里桜で、チェルシーは…………)


「ほら、あ~ん」


「え?いや自分で食えるから。それより」


「あ~ん」


「だから、自分で」


「………………あたしの飯が食えないっての?はん、いい度胸じゃない」


里桜からパンを受け取ったチェルシーは俺にパンをさし出して来る。

やり方は変わったかもしれないが、やろうとしていることは全く変わっていない。


「ほら、あ~んっ!(怒)」


いや、訂正。やり方も本質は変わっていない。

どちらにしても強引に食べさせようとする2人。


(このままでは埒が明かない。一旦、従って飯食うか)


「あ、あ~ん」


「お、ようやく食べる気になったぁ?やっぱりあたしの魅力ってやつよねぇ」


パンが口に運ばれる。

先ほどの香ばしい香りが口いっぱいに広がり、俺の食欲を満たしていく。

どうやら、自分が思っていた以上に俺は空腹だったらしい。

気付いた時にはパンを受け取り、スープにも手をつけていた。

それのどれもが、かなり美味だった。


「ふんふん、よろしい。全部食べたわねぇ」


「…………うん、食べたね」


2人のいやらしい目が俺を捉える。

ああ、墓穴を掘ったな、と思いながら2人を見る。


「んじゃ、働いてもらうわよ?」


「………………働け」


「やっぱりそう来るか――――で、何をすればいいんだ?」


すると、2人は俺の両腕をガッチリ捕え、引きずる形でドアへ向かう。

足がすれて痛いのは、チェルシーの身長が足りていないのが主な原因だが………言わない方がいいだろう。


(それにしても、どこに連れて行かれるんだか)


「アンタ、運良いわぁ。だって、あの人の仕事を手伝えるんだもん」


チェルシーは意気揚々と歩を進める。

あの人?


「なあ、あの人って、誰なんだ?」


里桜に訊いてみる。

今まで無言で歩いていた里桜はこちらを向き、申し訳なさそうにして、


「……………………ごめんなさい」


「…………………それは、死亡フラグですか?」


「…………………………(ぐっ)」


「親指立てられても困る!待ってくれ、お前らは俺に何をやらせる気だっ!」


暴れようにも、両脇をきっちり抑えつけられているので上手くいかない。

絶体絶命だ。

廊下は黒いタイルと天井。壁は白。やはり無彩色しか存在していない。

このタイルがまたよく滑る。

ずるずるずるずる。

空港で運ばれていく荷物の気持ちがわかったような気がした。


(そんなこと考えてる場合じゃない!何故だかわからないけど、嫌な予感がする!!)


「はい、着いた」


死の宣告は今、ここに宣言された。

目の前にはここには不釣り合いなピンク色のドア。

ピンクだ。

白黒の中に、唯一のピンク。

ここまで露骨に一色だけ違うというのは不気味だ。

つまり、‘着いた’ということはだ。

俺はこの中に入らなければいけないわけで、

逃げようにも先ほどから何度も確認しているように、両腕がガードされているわけで。


「なあ、話し合うことは―――」


「拒否権は許されてないのよぉ。残念で・し・た」


「……………………グッドラック」


「ま、待ってくれ、おわっ」


ドアの中に無理矢理押し込まれてしまった。

部屋の中はやはりピンク満載で、時折、アクセントで黒がのぞく。

微かに香水のような香りもする。バラの香りを濃くしたような感じで、俺の好みではない。

簡潔に言えば、居心地が悪い。


「あらぁ、アナタ、新人さん?」


「え、…………はい…………」


「やっぱり?ああ、あたしのことはリョウ子ちゃんって呼んでね。仕事中はダイダロスよ」


現れたのは、なんとなく想像通りというか、乙女な男だった。

髪を後ろで束ねており、肩幅ががっちりしていて男らしいのだが、何故、乙女なんだろうか。

自称乙女のリョウ子ちゃんは俺を舐めるように見た後、しきりに頷いて、


「いいわよ、アナタ。貧相な体格の里香よりもよっぽど描きがいがあるわぁ」


「里香?それに描きがいがあるって…………?」


「あら、聞いてないのぉ?――――ああ、押しつけられたのね」


再び、今度は納得したように頷く。

こうしていると、やっぱり世話好きな兄ちゃんにしか見えない。口調はともかく。

服装がピンクなのは、現代風、ということでごまかせそうだ。


「まあ、わたしは結果的に得をしたわけね。貧相な胸も飽きていたし」


「誰が貧相だぁあああああ!」


ドアが勢いよく開き、先ほど俺を中に押し込んだチェルシーが顔を見せた。

乙女な男は驚いた様子もなく対応する。


「あら、里香。今日は絵のモデルをやってくれる約束だったじゃない。どうしてアナタは来ないのかしらぁ?」


「あ、当たり前だろうがっ!誰が野郎の前で、は、裸になんかなるかよ!!」


「………………里香、地が出てる」


「いいんだよ、コイツの前では。新人君は……………もうどうでもいいや」


会話の内容的に解釈すると、

仕事というのは絵のモデルで、

チェルシーこと里香はそのモデルだったわけで、

そして、俺は何故かその仕事を押し付けられている、と。


(逃げたいな………全力で)


「まあ!野郎だなんて………心は乙女なのよっ!!」


「うっせぇ!見た目が野郎だったら野郎だろうが!ついてるもんついてるくせにによぉ!!」


2人が言い争っている間に何とかならないだろうか。

辺りを見回していると、


「……………………(ちょいちょい)」


里桜が手招きしているのに気が付く。

よく見てみると、2人の視界からちょうど隠れるところにカーテンがかかっている。

迷わずそのカーテンに隠れるようにして、2人の脇をすり抜ける。

どうやら、言い合いに熱中していて気付いていないようだ。

無事に部屋から出た後、里桜に礼を言う。


「助かったよ、ありがとう」


「……………別に。さすがに危ないと思ったから」


「危ない?」


「………あのオカマが欲情するのは、男」


「……………なるほど、それは助かった」


後ろを振り返って、2人がまだ言い合いを続けているのを確認し、ホッとする。

速足で歩を進める。


「なあ、お前らってどういう関係なんだ?」


「………………家族」


「へえ、似てないんだな」


「……………血はつながってない。当たり前」


血がつながっていない、ということはどちらかが孤児なんだろうか。

自分もそうだっただけに少し共感を覚える。

もちろん、一概にそうとはいえないけれど。

それにしても、彼女とここまで会話が成り立つとは思わなかった。


「なあ、里桜、でいいんだよな。俺はなんでここにいるんだ?」


「…………………それは、内緒」


無表情で人差し指を唇にあてる。

しかし、まさかこんな動作をするとは思っていなかったので、少し驚く。

意外とお茶目なんだろうか。


(そういえば、アイツと一緒にいるときはテンションがおかしかったような………)


「…………………なに?」


「いや、人間って不思議だなって思ってさ」


「……………?」


首をかしげている里桜がなんだか、少し可愛く見えてくる。

なんと言い表わせばいいのか、子猫を目の前にした時の心境に似ている。

背丈は俺より少し低いくらいだというのに、何故だか小動物的な…………ふぁさ。


「……………………っ!!」


「………………はっ!すまん、つい」


気付いた時には、斜め前にある青い髪を撫でていた。

「はっと気付いた時には」というものを俺はあまり信じていなかったが、

今、正にこの瞬間、身を持って経験したといえる。

無意識だったとはいえ、いや、無意識だったからこそかもしれない。自分の行動に対しての自己嫌悪はしっかりとやってきた。


(まずい……何がまずいって相手がまずい。無口で得体が知れないことがこんなに恐ろしいモノだったとは―――!)


「………………っ!!!!」


未だに固まって動かない里桜。

そこまでショックが大きかったのだろうか。

確かにいきなり男に髪なんて触られたら、気持ち悪いだろう。

いかなる罵倒も甘んじて受けようと、身を固める。


「………………………撫で方、慣れてる」


「…………はい?」


「…………………別に嫌な感じじゃなかった」


「あ、そ、そうか。―――――良かった」


怒っているわけではないとわかり、一安心。安堵でため息が漏れる。

しかし、油断は禁物。

なんというか、雰囲気が姫島さんに少し、似ているような気がする。

本能的な警戒。


「………………?」


「いや、何でもないよ。ほら、早く行こう」


「…………………(こくり)」


頷き一つで歩みは再開される。

ゆったりとした時が流れる。しかしながら、俺の心内環境は緊張で満たされている。

失言したら……と考えると恐ろしい。

俺の思いすごしだといいのだけど。




しばらく歩くと急に道が開ける。

高い天井はガラス張りになっており、日の光が差し込んでくる。

ここだけが唯一、外とこの中を繋いでいるようだ。

中心には噴水が設置されていて、どこかの公園を連想させる。


「へえ、ここ、いいところだな。ようやく外の様子がわかった」


「………………皆そう言う」


すると、里桜はなにか球体の物を取り出して、噴水の中へ放り投げた。

しばらくして、噴水からなにかが跳び上がる。


「うわっ、なんだ?」


「………………ノストラダムス」


「……へ?」


「鯉の名前」


「ああ、鯉ね」


中をのぞいてみると、確かに一匹、赤い肌に黒の模様が入った鯉がゆったりと泳いでいた。

先ほどの丸い物は餌だったのか、口のあたりがせわしなく動いている。

このモノクロな空間では珍しい有彩色である。

いや、先ほど気持ち悪いくらいに見てはいるが、アレは記憶から消去したい。


「なあ、なんでノストラダムスなんだ?」


「………………特に理由はない。私の中のイメージが、こんな感じ」


里桜は鯉から視線をはなさないでそう言った。

心なしか普段よりも表情が柔らかいような気がする。

柔らかい無表情だ。


(鯉がノストラダムスのイメージ、ねえ。感性は人それぞれだけど)


噴水の中の鯉を眺める。

正直、名前の通り予言でも出来るのかと思ったが、少し期待外れだ。

よく見てみると、中々の間抜け面だ。

これが里桜の言っているイメージだというのだろうか。

少し、可哀そうに思う。

自分の名前が「信長」だったら、と考えると同情出来るかもしれない。


「……………そろそろ動く」


「あ、ああ、そうだな………あ、そういえば、里桜。俺を起こしに来た時に黒猫とか見なかったか?」


「……?知らない」


「そうか、ならいいんだ」


なんだかペットの話で思い出してしまったな。アレはやはり夢だったんだろうか。

日が差す広い空間から再び狭い廊下へ。

少し気分が沈むような気がしたのは、きっとその先に待っていた人の存在を本能的に察知したから、なのかもしれない。廊下の先に見える、金色の髪。


「ああ、ここにいましたか。しかし、あまり動きまわっていると虫と間違えて殺してしまうかもしれません…………このGホイホイで」


「ひっかかるわけないだろ。姫島さん、前々から思ってたけど、真面目な時以外は俺のこと人扱いしてなくない?」


「え…………人、なんですか?」


「なんで若干引き気味に言う!?なんか俺が変なこと言ったみたいじゃねぇか!!」


「まあ、存在がアレですからね………………はっ」


「鼻で笑った!?」


今日もドS全開だ。逆に安心したと言うべきか…………あれ?

何か大事なことを忘れているような……?


「…………そういえば、姫島さん、殺されたって聞いたような」


「なんですか、その軽いノリ。ええ、半分死んでましたよ。ヤツの腕が胸を貫通してましたからね。まあ、どうやって助かったかはご想像にお任せしますゴミ虫」


「さりげなく毒を吐くな。一応心配してんだぞ」


「へえぇぇ、ふぅぅぅぅぅん、ほおぉぉぉぉぉお。そうなんですか。ご苦労さんです」


「…………………うん、まあ、いいけどね」


ここまで嫌味たっぷりに言われたら逆にすがすがしい。むしろ対抗する気が失せるというか、そんな感じだ。

そこまで言ってようやく気が済んだのか、姫島さんはとなりで静かにたたずむ里桜に話しかけた。


「貴女が案内役ですか。珍しいこともあるものですね」


「………………里香がオカマといちゃついている」


「………そうですか。では、私はその場を沈めてくるとしましょう」


そう言うと、姫島さんは俺たちの来た道を速足で歩いて行った。

「鎮める」が「沈める」に聞こえたような気がしたのは気のせいであってほしい。

それにしても、と里桜を見る。


(どこか似ていると思ったけど、ようやくわかったな)


「………………先に進む」


「わかった――そういえば、俺は何処に向かってんだ?」


「………………それはお楽しみ」


先ほど見せたように人差指を立てて、それを唇につける。

実は彼女のお決まりの動作なのかもしれない。

再び、モノクロの味気ない廊下を2人で歩く。

足音が軽く反響する。なんだか無性に空しく感じられるのは、何故だろうか。

ここまで来るのに会った人々は賑やかで、決して暗い雰囲気があるわけではないのだけれど。

何か、足りないような気がする。その何かは具体的には言い表せないけれど。




白と黒は続き、視覚を徐々に麻痺させていく。

なんのこだわりがあるんだろうかと真剣に考え始めたころ、


「…………………ここ」


「ここって……何もないぞ?」


目の前には既に見慣れた白い壁がある。つまりは行き止まりだ。

狭い廊下に行き止まり。ただでさえ狭いのに余計窮屈に感じさせる。

ここに何かを作る予定でもあったのだろうか。

ここが目的地だとは到底思えず、里桜の方を見る。彼女は行き止まりの白い壁を向いたまま立ち止まっている。


(まさか、ここで消えてもらう、みたいな展開にはならないだろうな?そんなことになったら即この場を離れなければいけないわけだけど………)


相変わらず、里桜は何もしゃべらない。不動だ。

その行為(何もしていない)がとてつもなく俺を不安にさせる。


「なあ、ここに何があるんだ?」


「……………………………」


「おい里桜………」


「…………………………………………」


「…………………………………………………………」


「……………………………………………………………………………」


こちらまで無言になってしまった。

有無を言わせないとは、正にこのことを言うのだろう。

有無どころか言葉を発せられない。葬式に近い。限りなく近い。

意図しなく白黒の風景と合っている感じはするが…………冗談ではない。

どうすることも出来ずにただ立ちつくしていると、里桜が動いた。


「……………繰夜(くるや)、まだ?」


人の名前と思わしき言葉を口にする。どうやら、彼女は何かを待っていたようだ。


『はいはい、ごめん。今開くよ』


電子的な声と共に、どこかでガシャンと音がする。

次の瞬間、俺は目を疑う。

なにもない、ただ白い壁のみだった場所に、両開きのベージュの扉が現れたのだ。

何かが動いたわけでもなく、すぅ、と。まるで最初からそこにあったかのように。


「………………なにしてるの?」


気が付くと里桜は扉の向こうへ姿を消そうとしていたところだった。

急いで後を追う。

バタン、と音がして扉が閉まる。中は薄暗く、ろうそくの明かりらしきものが見受けられた。

どういう仕組みなのか、扉は再び消えてしまった。


「これってどういう仕組みなんだ?触れるんだからホログラムってわけじゃないんだろうし………」


「それは、君では理解できないと思うよ」


声が反響する。

声の方を見ると、そこには組織の者が纏っているコートと同種であろう、黒いマントらしきものを纏った、赤髪の男が立っていた。

髪が長いせいで女のようにも見えるその男は、再び口を開いた。


「この技術はね、未来に存在するものなのさ。どうしてそんなものがここに、というのは、君の経験上わかるのではないかな?」


「……………黒食はこんなことも出来るんだな」


「どうしたのかな?何やら納得がいかない顔のようだけれど…………ああ、閻のことを気にしているんだね」


見透かしたように男は言う。


「君は慣れないといけないよ。この力を使う大前提で考えなければならないのがこの‘閻’だけれど、気にしてばかりいたら、この力は使えない。寿命が削られるといっても、そもそも寿命は何年残っているのか知る術がない。それなら、本当の寿命で死ぬのも、削られて死ぬのも些末な問題だとは思わないかい?」


「確かにそうだけど……………それでも、必要なときと区別して使うべきだろう」


「それはそうだ。一応削られているという事実は変わらないからね。しかしね、その‘必要なとき’というのは、人によって違うものさ。全て君自身が決めつけてしまってはいけないよ――さっきの扉のことにしてもね」


まるで学校の教師が生徒に諭すように男は話す。男はどうやら、部屋全体のろうそくに火を灯しているらしかった。徐々に明るく、部屋の光景が鮮明に俺の眼へ飛び込む。

この部屋は不思議なことに白と黒がない。

全てが‘普通’だ。温かみがある。

壁は暗幕のようなもので覆われているが、不思議と暗いと感じることはなく、30人は座れそうな長さのテーブルは、ここが食事や会議などで使われる部屋だということを示唆していた。

端々に置かれている観葉植物にはなんとなく見覚えがあり、俺の背丈より少しだけ高いそれは、日光が当たりそうにないこの環境で尚、青々とした葉をその身に備えていた。


「そうだ、自己紹介が遅れたね。私は繰夜陽炎(くるやかげろう)。この組織の頭の位置にいる者さ。仕事中はアダムだ。君は高宮桐人君でいいんだろう?」


そう言って繰夜は人の良さそうな笑みを浮かべた。しかし、俺はその裏に何かうすら寒いものを感じていた。

こいつは平気で人を殺せる人間だ。強い人間だ。直感ではあるが、あながち間違ってはいないのではないだろうか。

イカれた世界はイカれていなければ乗り切れない。ならば、一見まともに見えるこの男は誰よりも狂っているということなのだろう。


「合ってるよ。よろしく」


「そうだね、よろしく――ではさっそくなんだが、高宮君。組織に入ってもらいたい」


唐突に声の調子を変えた繰夜は俺に向かってそう言った。

まるで決定権は俺にはない。強制力のある低い声音。薄暗いろうそくの明かりの中、繰夜の赤い髪が陽炎のように揺らめく。


「君に拒否権がないのは、篠月楓から聞いているよね」


「ああ、消されるんだろ?わかってるよ。俺もこんな所でむざむざ命を落とすつもりはないよ」


俺の横では里桜が眉間にしわを寄せていた。そこからは微かな嫌悪が感じられる。

どうやらこの選択に対してではなく、繰夜という人間に対してあてられたもののようだ。


「わかっているなら結構だ。これより、君は我らがravenの一員となった。君の行動は組織の行動。これまでとは違う、集団の勝手というものを知っておいてほしい」


「了解だ」


「……………繰夜。記憶の改竄かいざんでこの世界から身を引くことも出来るはず」


沈黙を通してきた里桜が口を開く。俺には何を言っているのかわからないが、その発言に対して繰夜は馬鹿にしたような態度で笑う。


「はは、――――里桜、甘いことを言っちゃあいけないよ。それに、この少年がそんな選択をするとは思えない」


「ふざけないで。あなたは戦力が欲しいだけ」


里桜は繰夜を鋭く睨みつける。


「里桜、そいつの言うとおり俺は絶対に組織に入るよ。戦力として?上等だよ、利用してもらおうか。そうしないと、俺はあいつ等と同じ位置にすら立てない」


「……………なら、私はもう何も言わない」


再び口を閉ざす里桜。

彼女に感謝はするが、もう決意は出来たのだ。他人にどうこう言われて揺らぐものではない。

俺には俺の意思がある。間違いなどない、正しさなどない、人の決めた道。

人を殺すこと、人を踏みにじること、人を支配すること。

間違いなんて後付けで、正しいなんて後付けだ。

「そうしたいから」それだけで十分だ。人は、結局欲にまみれた愚かしい動物だ。

きっとそれは一生変わらなくて、死人は一生消えないのだろう。それでも


「決めたんだよ。楓を、俺の‘白’を守ろうってな」


「‘白’、か。また面白い表現をするものだね。この世界には白なんてあり得ないのに」


繰夜は薄暗く照らされた天井を眺めている。俺もつられて見上げてみると、そこには巨大な絵画が描かれていた。天使のように背に羽を生やした者が中央に立っていて、その周りをひれ伏し、ボロボロの布を纏った人々が囲んでいる。

見ていて気分が悪くなる。まるで、主に服従する意思のない奴隷のような人々が不気味だった。

俺の様子に気付いたのか、繰夜はこちらに目線だけを向ける。


「ふふ、美しく醜いだろう?これはこの組織を作った男が描いたものでね。なんでも、この世界の真理を表わしているのだそうだよ」


「真理、ねぇ。真ん中のヤツは何なんだ?」


「さあ、わからない。私が描いたわけではないからね。なにがなにを表わしているかなんて、その人間の脳髄を移植でもしない限り完全に理解しきれないだろう」


「屁理屈だろう、それは」


「確かに屁理屈かもしれないが、本当に私にはわからない。何をあがめているのか、それぞれは何者なのか、何故この絵は描かれたのか」


ようやく絵画から目を離すと、髪の色と同じ色をした瞳が俺を捉える。


「では、君はどう思うかな。この絵を見て、何を感じたのかな」


「別に、俺には‘上手い’としか思えないな」


途端、繰夜は声を押し殺しながらも肩を震わせて笑った。

俺は質問に正直に答えたつもりだが、どうやら繰夜にはそれが心底面白みのある回答だったらしい。

それにしても、自分の意図していないことで笑われるのは気分が悪いものだ。


「………はあ、いやぁ、心底笑った。まさか内容ではなく、その‘絵’という物体に対しての評価だったとはね。うん、これもまた良い答えかな」


目じりに溜まった涙をぬぐいながら何事か呟く繰夜。散々笑った後、俺の方へ先ほどとは違う温かな視線を向ける。


「君は素直だな。私はそういう人間が嫌いじゃないよ。改めて、歓迎の念を込めて言わせてもらおうか―――ようこそ、ravenへ」


そう言って繰夜は手を差し伸べる。人差し指には何かの宝石らしきものが付いた指輪がはまっている。

俺は迷うことなくその手を取り、力強く握り締めた。


「ああ、よろしく。繰夜」


「おや、私は年上なのだが………まあ、いいか。君に始まったことではないしね」


そう言って、俺の横に入る里桜に視線を投げる。里桜はそれを黙って見つめ返す。

何故か、先ほどの俺と同じような無言フィールドが展開されていた。

やがて、繰夜は口を開く。


「いや、目が合うと中々離せないもんだ」


「………………私の勝ち。賭け金の十万は私のもの」


「え、そんな賭けはしてないはずなんだが………」


シリアスな雰囲気は霧散し、なんとなく日常風景が戻ったような気がした。止まっていた時計の針が再び動きだしたような小気味良さ。

ぼぅとしていると、里桜が俺の袖を引いた。目の前の繰夜から一刻も早く離れたいようである。かなり強い力だ。


「………………用件は済んだ。食堂に案内する。今日は繰夜が奢ってくれるから遠慮しないで」


「わかった」


「待ってくれ、私は何も言っていないわけだが………」


「それでは」


焦る繰夜を無視して、俺たちは再び現れた奇怪な扉から速やかに抜けた。するとやはり、中で見たのと同じようにその扉は消えてしまった。世界は再びモノクロに染まる。

まるで、あの部屋だけ別の次元にあるような違和感。

無いとわかっていても再び扉のあった場所を眺める。そこには能面な白い壁だけがあり、やはり扉があった痕跡など、どこにもない。


「……………どうしたの」


「いや、何でもない」


そう、と一言残し、里桜は歩を進める。行先は食堂なのだろうか。

それにしても、と里桜の後ろ姿を見ながらふと思う。


(この短い会話って何とかならないものかな)


                   ■


暗い空間。乾いた空気は浮かんでいる埃を喉に張り付ける。

目が慣れないうちは予想外の広さに戸惑いはしたものの、今ではある程度のものは把握できるようになった。壁のある位置や人の輪郭がわかればなんとかなるものである。

どうやら荒廃した建物か何かの中のようだ。


「この空間には慣れたか、少年」


凛とした女性の声が暗闇に反響する。

この空間に来て、初めて対話したのがこの女性だった。名前はまだ知らない。彼女は美しい銀の髪を持っていた。それはこの暗闇でもはっきりと見えるほどに神々しかった。


「まあ、な。いきなり連れてこられた時よりかマシだな」


「ふふ、そうか。なによりだ。目が慣れてきたのなら来い。私たちの主がお待ちだ」


「主?なんだ、ここはどこかの金持ちの屋敷かなんかなのか?」


「来ればわかるよ。見失わないように気を付けろ」


そう言うと銀の髪がふわりと浮かび、遠ざかっていく。慌ててそれを追いかける。光を求めて群がる羽虫の気分だ。左右にゆらりゆらりと揺れる銀の輝きにすがるように、俺は一歩一歩前進する。

どれくらいそうしていただろうか、気付くと俺は先ほどいた場所よりも広い、何やら空気の生温かい所に来ていた。


「なあ、あんた。ここはどこなんだよ」


「それは我らの主が教えて下さる。私が教えることではない」


その表情を読み取ることは出来ない。機械的な応答は不可解さを増す。

彼女の視線は俺の方向を向いていない。では、どこを向いているのか。


「………?」


うっすらと、ぼやけた輪郭が浮かぶ。

それは本当にぼんやりとしていて、距離感というものがまったくつかめなかった。

遠いのか、もしくは物凄く近くにいるのか、はたまたそこには存在していないのか。水に映る月のように曖昧だ。


どうしたのだ、アスタロト。横にいるのは何奴よ。


脳に直接響くような声が、確かに目の前の‘影’から聞こえてくる。それも、割と近く。

陽炎のように揺らめくそれは、少しずつ俺に近づいているように思えた。

布に液体が染みわたるようにじわじわと、‘影’が俺の視界を埋めていく。


「彼は我々と同じ、‘悪魔’でございます。名前はございません」


その言葉に胸がざわつく。

俺にはちゃんとした名前がある。「南原小蔵」という名前が―――


 なるほど、それでは名を与えてやらねばな。悪魔に相応しい、醜い名前を。


そう言って、影は嗤った。

顔はわからないが、嗤っている。嗤っている。嗤っている。


 お前の名は、ベリアル。無価値なお前にはそれが相応しい。


脳にその言葉が浸透する。甘い毒のように、それはどんどん吸収されていく。

何かが壊れる音がした。それがなんであったのか、それとも最初からそんなものはなかったのか。


「ベ…リア…ル?」


「そうだ、お前の名前はベリアルだ。そして、目の前にいる御方は、ルキフェル様だ。覚えておけ」


「ルキ…フェルさま……ベリ…あル」


脳内に入るノイズじみた音が俺に考えることを許してくれない。

ただ、今繰り返されている言葉だけが俺の全てを占めているようで、その事実を俺自身は認識出来ていない。

黒く、黒く、黒く。心の水面に広がる波紋は徐々に波を大きくしていく。

「南原小蔵」という存在が消えていく―――――。


 そろそろ堕ちたか――アスタロトよ、これから命令を下す。


「なんなりと」


 例の地に(ハイヴ)が再び現れたようだ。今後使えるようならば何体か連れてくるがいい。もっとも、群を成すような者共が使えるとは思えんがな。必要ならばメフィストフェレスも連れて行け。


「仰せのままに」


俺はただぼんやりと目の前の影を見つめる。

思いだすことはない記憶。それを意識することすら出来ない俺は、それでも。

それでも、それはきっと大切な―――――――――――。


                    ■


「だぁかぁらぁ!!あたしは貧相な胸じゃねぇっつってんだろぉが!!」


「あら、そんな粗暴な言葉でいいのかしら、皆いるのに。きっと胸が寂しいからねぇ」


「ふざけんな!!」


「それくらいにしておいたらどうですか?というかそれくらいにして下さい。うるさいです」


食堂、と呼ばれる場所には既に何人か見覚えのある顔が集まってきていた。

自称乙女のリョウ子ちゃんに、里香に、姫島さん。加えてそれをにこやかに(にやにやと)遠巻きに見ていたレクラム。


「いやぁ、面白いねぇ二人とも」


「「何が(よ)!!?」」


俺はそれとは離れた席に着く。すると後に続くように横に里桜が座る。


「なんだ、姉貴の傍に座らなくていいのか?」


「……………面倒事は勘弁だから」


そう言いつつ、姉を見る視線は俺といる時には見せない温かい眼差しだった。やはり姉妹。付き合いが長ければ心も開くか。

少しだけ悔しさに似た気持ちが込み上げてくる。


「僕もこの席、いいかな」


俺たちが返事をし終わる前に銀髪の青年、レクラムは俺の前の席に座る。

先ほどから飲んでいたらしいオレンジ色の液体を喉に流しながら再びオカマvs貧乳のバトルを観戦する。

すると、彼の糸目が不意に俺を捉える。


「ああ、そういえば僕の名前知らなかったっけ?」


「え、ああ、知らないよ。レクラムとしか」


「だよね。僕は柴。久楽持柴(くらもちしば)だよ。よろしくね」


柴は握手を求めて俺に手をさし出して来る。応じて俺も手を差し出す。


「俺は高宮桐人。よろしく」


「よろしく~。イレインと同じで桐ちゃんでいいよね?ハイ決定」


「え、出来ればやめて欲しいというか……」


「出来ない。ざんね~ん」


へらへらと笑って手をぷらぷらと振る。

何だろうな。俺の周りには随分と話の通じない人間が多いような気がしないでもないが。

気のせいだろうか。


「それで、ここに来たってことは組織に入るんだよね?」


「そのつもりだよ」


「そっか。じゃあ、長い付き合いになるってことでいいんだね」


「ん、その通りだ。……今思ったけど、年は?」


「ええ!?そんなこと気にするの?やめてよ敬語とか、寒気がする」


両手で自分を抱くようにしてわざとらしく震えた。敬語などもとより使う気も使われる気もなかったが、どちらにせよその方が気兼ねなく関係出来そうだ。

柴もこの事をわかっていたのだろうか。


「敬語って、奴隷が使う言葉だよね?」


「違うと思います」


違った。なんだか壮大な勘違いをしているようだった。


「ふふ、まあともかく今後よろしくね」


柴は爽やかに笑う。その笑顔に嫌悪は感じないが、少しだけ胡散臭さがあった。まるで取りつくろったように空虚。心中を知る術は……力を使う以外にないのだが、それでも、彼はあからさまにその笑顔を作っているようにも見えた。

彼は、きっと俺が思っているほど甘い人間ではないのだろう。


「おや?珍しいね。彼女がここに顔を見せるなんて」


「彼女?」


そう言うと、柴は俺の背後の方に手を振った。振り返ってみると、なんとなく、あくまで俺の感覚ではあるが………


(楓に似てるような……?)


「桐葉ちゃん、やっほ~」


気の抜けた声で柴が‘彼女’に向かって手を振る。その瞬間、‘彼女’の肩がぴくりと反応する。


「柴さん、こんにちは」


桐葉と呼ばれた少女はそっけなく返事を返す。年は俺と大差ないように見えるが……。

そんなことを考えていると彼女と目が合う。射抜くような鋭い眼光。

クールといえば聞こえはいいが、人を拒絶するような雰囲気がうかがえる。とっつき難い相手だと直感する。


「ども」


「…………え、ええ」


なんだ?一瞬うろたえたように見えたが………気のせいだろうか。


「彼は高宮桐人君………そういえば桐葉ちゃんと名前が似ているねぇ」


「……………っ!!」


今度は目に見えて桐葉が狼狽する。

しかし、次の瞬間には先ほどのような冷静で、冷徹な表情が張り付いていた。


(……………?)


「それでは、失礼します」


そそくさと俺たちから離れていく桐葉。

ぼそりと何か呟いていたようだったが、俺には聞き取ることが出来なかった。


(初対面、なのか………?)


そんな違和感だけが俺の胸中に残る。

何気なく桐葉を眺めるが、それが何なのかわからない―――気持ち悪いな。


「――――くくっ」


俺の前で、柴が意味深に笑っていた。


                     ■


私はグラスに注いだ赤い液体を飲み干す。人の血の色に似ていなくもない、深い赫。

こくり、と飲み下す度に胃に焼けるような熱さがある。


「ふむ、人の飲み物とは不思議なものだ」


仮初めの肉体から発せられる声は自分なりに気に入っていた。耳にうるさくないのが一番の利点といえる。手近にあった厚手の本を手に取る。

さて、これからどうするか。

アスタロト他、意思のある‘悪魔’はあらかた(ハイヴ)の見回りに回した。今は勢力の拡大に努め、来るべき決戦に備えるためである。


「くく、神、か。今頃は余裕の表情で惰眠をむさぼっているのだろうな」


この世界における神という偶像と、私が知る神という真実は大きく異なっていた。

人間の祈りなど聞きもしない、ただそれを見て楽しむ。死んで、天界に登ってきた魂は位の高い神が優先的に食す。

彼らの頭には、‘快楽’の二文字しかなかった。

人の死を嗤い、悲しみを嗤い、憎しみを嗤う。非情?それは違う。それが彼らの存在意義なのだ。

くだらない快楽のために人間を生み出す。飽きて喰らう。正に餓鬼だ。

私はその様子を思い出し、低く笑う。


「ああ、もうすぐだ」


もうすぐでヤツ等には消えてもらう。そのためには―――。


「やはり、町の一つや二つ、消しておくか」


                     ■


「でね、里香ったらあたしのことを………」


「別にんなこと言ってねぇだろうが」


「…………落ち着け」


結局巻き込まれ、愚痴を聞いている里桜の姿があった。あの勢いに気押されてしまった己を情けないという他あるまい。

犠牲となった里桜の代わりに俺の隣には姫島さんが陣取っていた。


「それにしても、あの活力は何処から湧いて出てくるんでしょうね」


「全くもって同感だ」


「え、よしてください。イコールG と同じようなあなたと同じ考えを持ちたくはありません」


「黒くて脂ぎってねぇし、カサカサ音を立てて飛び回ったりもしねぇよ」


「君たちも中々面白い関係だよねぇ」


そんな様子をやはり柴は楽しそうに見ている。こんな光景が、少し前までは当たり前であったのに。

そう思うと妙に感傷的になっている自分がいた。これでよかったのかと、問いかける自分がいた。自問自答は答えのないままに時と共に流されていく。

ここが平和すぎるから。

そんな言い訳が鎌首をもたげる。しかし、そんな言い訳も、俺の勘違いだったということなのだろうか。平和なんて、俺の前にはもう存在しないんだろうか。

赤髪の男は、俺の目の前にいつの間にか立っていた。


「繰夜、何かあったのかい」


柴がいつもと変わらぬ調子で問いかける。

周囲は水を打ったように静かで、言葉は空気を震わせて俺の耳に届く。


「ここにいる者全員で向かえ」


そして告げる。


「新しい巣だ。根絶やしにしろ」


新年初投稿です。

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