終わりを告げる朝
あれから特に何事もなく10月9日を迎えた。
父と母は朝一番の電車で熱海へ向かった。
家事を手伝えと言われることもないし、ずっと携帯を触っていても文句を言われることもないので、自分も澪も内心ラッキーと思っていた。
父と母を見送ったあと、
「よっちゃん、家何時に出る?」
「7時半。」
「寝癖モヒカンみたいw」
「うるせ。」
などと適当に話しながら朝食を食べ、学校へ行く準備をした。
二人とも準備が終わり、家を出る。
その時。
「ビー!ビー!」
スマホがけたたましい警報音を発した。
「!?」
驚いてスマホを取りに行くと、
「南極大陸近海に小惑星接近。太平洋沿岸に津波が予想されます。指定された避難場所、高台に避難してください。」
「ど、どうしよ。」
澪が震えた声で言う。
「わかんないよ。」
どちらも本当に起こるなんて思っておらず、
混乱していた。
いや、こういうときこそ冷静にならなければいけない。
スマホの防災アプリを確認する。
小惑星の直径はやく2km。
地球到達まであと…6分だ。
「逃げよう。」
とりあえず通帳や財布など大切そうなものと服を入るだけカバンに詰め込み海から離れた山に避難することにした。
外へ出ると、大勢の人が避難を始めている。
多くの人はビルに逃げ込んでいる。
「あそこに逃げよう。」
と澪が言い向かおうとしたが、あの日樋口が言っていたことを思い出す。
「あのビルよりも高い津波が押し寄せるんだぞ…」
なんだか嫌な予感がしたので山に逃げようと説得した。
すると、
まるで地面の下で大きな生き物が足踏みをしたかのような衝撃が足の裏に走り、ズドドドと鈍い音を立て地面が大きく揺れた。
あちこちで悲鳴が聞こえる。
しかし、もうみんな何が起きたのか分かっていた。
隕石が落ちたのだ。