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外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

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第44話 パワードスーツと嫉妬

 砦の西壁――。

 ユリウスは完成したパワードスーツ〈オリオン〉を着込み、崩れた石材を慎重に吊り上げては、壁の補修を進めていた。ドワーフたちの手で組み上げられた新設計の魔導フレームは、彼の動作を正確にトレースし、重作業すら軽々とこなしていく。


「ミリ、そっち受けてくれるか!」


「あいよ! 兄貴、次は右側の柱だ!」


 二人の息はぴったりだった。

 集まった住民たちが、遠巻きにその様子を眺めていた。


「すごい……まるで巨人が動いてるみたいだ」

「あれが噂のパワードスーツか……」

「こんな砦、攻められるわけないな!」


 その時――カツ、カツと足音がして、無表情の少女が現れた。


「……視聴完了。好感度上昇率、対象ユリウス様+8%。警戒指数上昇」


 現れたのはリィナだった。手にはスパナと木材サンプルを抱えている。


「……やってみたくなりました」


 そう呟くと、彼女は黙々と崩れた別の箇所に向かい、石を持ち上げ始めた。


「えっ、リィナさん、まさか素手で!?」


「はい。リィナ製補助関節、出力制限解除。最適重量、132キログラム」


 無表情のまま、石を積み直しながら、ちら、とユリウスを見た。


「ユリウス様。人の評価とは、能力によって得られるべきです。外装で得られる評価は、まやかしです」


 くすりともせず、淡々と手を動かし続ける彼女に、ユリウスは思わず苦笑した。


「……張り合ってるのか、リィナ?」


「違います。これは技術的比較です」


「ほんとに……?」


 近くで見ていたミリが、くすっと笑う。


「顔に出てないけど……めっちゃ対抗心メラメラじゃない?」


「心拍数、通常の1.2倍。感情の高まりを検出しました」


「自分で言うな!」


 淡々と石を積むリィナと、それを見守る住民たち。

 砦には今日も平和で騒がしい、ほんのり温かな午後が流れていた。


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