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外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

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第41話 自警団設立と心の変化

 ドワーフの工房火災の一件は、砦に暮らす人々に深い衝撃を与えた。


 燃え残った木材と、黒く煤けた鉄骨の残骸を前に、誰もが言葉を失っていた。


 「こんなこと、二度と起こしちゃいけねぇ……!」


 ひとりの男が拳を握りしめると、それに賛同する声が次々と上がった。


 「派閥だの順番だの、もうどうでもいい。俺たちはこの砦で生きていくんだ。だったら、砦を守るのは……」


 「俺たち自身だ!」


 自然発生的に広がっていった言葉が、やがてひとつの形となった。


 「――自警団を作ろう」


 ユリウスがその声を受けてうなずいた。


 「そうだね。君たち自身でこの砦を守る意志を持ってくれれば、これほど心強いことはない」


 リルケットが一歩前に出る。彼は人々を見渡し、厳しくも温かい口調で言った。


 「戦場を知らぬ者を鍛えるのは容易ではない。だが――」


 彼は目を細め、かすかに口元を緩めた。


 「ここには、鍛える価値のある者たちがいる。希望を守る意志がある。ならば、俺が手を貸そう」


 その日から、砦では毎朝、リルケットによる訓練が始まった。


 木剣を振るう音、盾を構える掛け声、地面を蹴る靴の音が、朝もやのなかに響いた。


 人々の顔には疲れと汗がにじんでいたが、それ以上に、確かな誇りの光が宿っていた。


 ――砦は、ただの避難所ではなくなりつつあった。



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