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外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

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第26話 お風呂のハプニング

 砦の一角、ミリが作ったドラム缶風呂のまわりには、即席のついたてが立てられていた。布を張った木枠が三枚、簡易ではあるが、ユリウスに女性陣の入浴を見せないための最低限の配慮である。


「じゃ、入るぞーっ! ああ~……あったけぇ~!」


 ミリが最初に湯に浸かると、セシリアもリィナも続く。三人はそれぞれにバスタオルを巻いていたが、砦に贅沢なタオルがあるはずもなく、やや丈は心許ない。


「いい湯加減ですね、ユリウス様の設計、見事です」


「お湯も綺麗だし、洗濯したての服も気持ちよかったし、これが文明の力かぁ……」


 セシリアは軽く肩まで湯に沈みながら、目を細める。ミリは桶に汲んだ湯で髪を洗っていた。


 そのとき、ふらふらと、どこからともなく小さな虫が飛んできた。


「……あら? なにか、虫が――」


 セシリアが視線を上げると、リィナが真剣な顔で湯面に手をかざしていた。


「ご安心ください。処理します」


「えっ、リィナ、それってまさか――!」


 次の瞬間、リィナの掌が光り、お湯がまるで水鉄砲のように放たれた。


 ぴゅしゅっ!!


「わっぷぁっ!?」


「ちょっと待ったぁあああッ!!」


 飛んだお湯は虫には命中せず、無常にもついたての支柱へ直撃。ぐらり、と傾いたかと思うと――。


 ばたん!


 三枚のついたてが、同時に倒れた。


 その向こうでは、ちょうど洗濯物を片付けにきたユリウスが、湯気の向こうでぽかんと立ち尽くしていた。


 三人「「「………………」」」


 そして。


「きゃあああああああああああああああっっっ!!!!」


「兄貴ィイイイ! 見たなァアアア!!」


「ユ、ユリウス様、これは、その……っ!」


 彼女たちの叫びとバシャバシャという音が砦の中にこだました。


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