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外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

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第23話 洗濯機をつくろう

 砦の片隅、簡素な作業台の前でリィナが黙々と布を縫っていた。完成したばかりの魔素変換炉で生成した白布は、肌触りもなめらかで上々の出来だ。


「縫製作業、進行中です。袖丈八十二センチ、裾まわりは調整中――」


 手際よく針を進めながら、リィナがふと顔を上げる。


「ところで、洗濯はどうすればいいのでしょうか?」


 問いかけられたユリウスとセシリア、ミリの三人が、なぜか一斉に固まった。


「……あっ」


「そりゃあ、汚れるよな……」


 ミリが気まずそうに目をそらしながらつぶやく。


「洗濯は必要不可欠なメンテナンス工程です。布製品にとって汚染は深刻な問題です。食事の汚れ、汗、外気中の微粒子……」


 リィナが冷静に分析を続けるのを、ユリウスが慌てて止めた。


「わかった、わかったから! えーっと、つまり……洗濯機が必要ってことだね」


「せんたくき?」


 ミリが耳慣れない言葉に首をかしげた。


「うん、前にいた――いや、前に読んだ文献に……水流と回転を使って布を洗う装置があってさ」


 セシリアが眉をひそめた。


「それ、もしかして……魔導錬金術の応用?」


「そう。魔素で水を循環させて、遠心力で脱水して……あとは簡単な回転機構を組み込めば……」


 ユリウスの目がキラキラと輝き始めた。


「おい、兄貴。まーたすぐ機械つくる顔してんぞ」


「まさか……ここでまた、工場を?」


「いや、違う違う! 今度はちゃんと小さめに設計する! 砦の一角に置ける、家庭用……魔導洗濯機だ!」


 ミリが頭を抱えた。


「うわー、またわけのわかんねえのが生まれる予感しかしねえ!」


「リィナ、洗濯機ができたら自動で洗うから、縫いながら汚れを気にしなくてもいいよ」


「それは非常に効率的です。実装が楽しみです、ユリウス様。報酬として私の体を自由にしてください」


「だからそういうのはやめてってば!」


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