表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/213

第21話 三人視点リィナのデザイン

【三人それぞれの視点:リィナの服デザイン騒動】


--- セシリア視点 ---


(……ちょっと待って? なにこの布の量……)


 セシリアはリィナが描き出したスケッチを覗き込み、絶句していた。リィナは真剣な顔で、淡々と下着と服のデザインを描いていく。その内容たるや、胸元が大きく開き、スリットは太ももどころか腰骨まで到達しそうな、**とても貴族の前では着られない代物**だった。


「リィナ、それ……誰が着る想定なの?」


「私です。自己最適化の一環として、最も評価が高かったデザインを抽出しました」


「評価って、どこの評価基準よ!」


 スケッチの片隅にはなぜか「※皇宮舞踏会参加時・男性陣の視線集中率98.4%」と書いてあった。  セシリアは、わなわなと肩を震わせながら、スケッチブックをそっと閉じた。


--- ミリ視点 ---


「ぶっははははは!! なっ、なんだそりゃあ!? 戦う気ゼロじゃねーか!!」


 ミリは腹を抱えて笑い転げていた。リィナの描いたデザインは、ドワーフ鍛冶師の常識を遥かにぶち抜いていた。ヒラヒラ、ピタピタ、スケスケ。全部のせだった。


「お、おい兄貴! この子マジで着る気だぞ!? いったいどんな趣味教育してんだよ!」


「してないしてない! 僕じゃない! リィナの中のデータで勝手に……!」


「ハァ~~、たまんねえなこれ。もうちょっと見せてくれ、な?」


「ミリ、やめて。セシリアが怒る」


「怒ってねーよ、もう呆れてんだよ……」


--- リィナ視点 ---


(分析完了。現在の砦には服の在庫ゼロ。対応が必要)


 リィナは内蔵されたデータベースを走査し、アルケストラ帝国時代の侍女服デザインを高速で再構築した。意匠性、素材指定、動作補助の考慮。完璧だ。


「ご主人様。こちらが私の着用予定衣装となります。ご確認を」


「お、おう……」


 リィナは小首を傾げた。なぜ皆、顔を赤らめたり、笑ったり、困惑したりするのだろう?

 帝国時代はこれが標準だったはずだ。視線集中率98.4%。高評価デザインである。


「……まさか、これが時代遅れだったのでしょうか?」


 しゅんと肩を落としたリィナを見て、ミリがついに笑い死にしかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ