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外れスキル〈工場〉で追放された兄は、荒野から世界を変える――辺境から始める、もう一つの帝国史――  作者: 工程能力1.33
1章

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第20話 着替えが無い

 砦に戻った三人は、さっそくリィナの部屋――という名の空き部屋に案内しようとしたが、ふとセシリアが口を開いた。


「……そういえば、リィナの着替えってどうするの?」


 その場に妙な沈黙が流れる。


「兄貴、まさか……服、一着しかないとか言わねぇよな?」


 ミリが不安げにユリウスを見上げる。


「……僕、用意してない。っていうか、今発見したばかりだよ」


「するわけないよなあああああ!」


 全員の視線がリィナに集まる。


「替えがないというのは、問題なのですか?」


「そりゃそうだ! 服ってのは毎日着替えるもんだぞ!」


「洗濯したら乾くまで何着るのよ……」


 ミリとセシリアが同時に説得を始めた。

 リィナは一瞬だけ静かになり、目を閉じた。


「――了解。起動前にインポートされたアルケストラ帝国の生活様式データに、標準女性用衣類の情報があります。参照中……表示可能です」


「表示って、どうやって――」


 その瞬間、リィナが手元の紙とペンを手に取り、さらさらと迷いのない手つきでデザイン画を描き始めた。


「これは、標準的な就寝用衣類および下着の設計図です」


 出来上がった一枚を見て、ミリとセシリアは凍りついた。

 胸元が大胆に開いたネグリジェ。

 スリットは太ももどころか腰まで達している。

 レースにリボン、極細の紐が妙に主張している下着セット。


「おい……これ、本当に標準か?」


 ミリが震える声で言った。


「機能性、装着性、審美性の最適バランスに基づいた設計です」


「ぜってー違う! 帝国どうなってたんだよ!」


 セシリアも小声で、


「これはちょっと実用には……いや、むしろ誰向け……?」


 と頬を赤らめる。

 ユリウスはというと、さりげなく後ろを向いて壁に向かっていた。


「と、とにかく……もうちょっと布の多い服、提案してくれるかな?」


「了解。では次に“高機動時の運動着”デザインを表示します」


「いらんわー!!」


 ミリのツッコミが、砦に響き渡った。


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