表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

クールな彼氏。2

作者: 零雅

クールな彼氏の番外編です。

「か、風邪引いたぁ!?新が!?」


「他に誰がいるんだよ。


だから、今日休む…」


「ちょっちょっと大丈夫なの!?…って…」


「ツーーツーーツーー…」


「切れてるし…。


もうなんのなのよもー!!」





―――――――――――――――――――――――――





あたしの名前は「遊沢 亜雪」


一様だけど彼氏もいて順風満帆に高校生活をゆるーく過ごす女子高生。


まぁ、彼氏といっても登下校も一緒でお弁当も一緒だなんてラブラブな関係じゃないけどね。


でもそれはお互いのことが好きじゃないからとかじゃなくて…。


いや、もしかしたら好きなのはもしかしたらあたしだけ?とか、


よく思うけど…。


色々あった結果前よりはましになったと思う。


それでも変わるわけが無いのが彼氏「神庭 新」のクールさ。


言い換えれば冷たさ。


特に特に特に!!あたしに冷たいのは今も昔も健在で。


少しは改めろ、とか思うけど。


そんな新が風邪引いたぁ!?


あの完全無欠に風邪なんて症状があるとは…。


ありえないって!!




―――――――――――――――――――――――――




突然の電話を廊下で受けたあたしは、またもや突然切られた電話に大混乱していた。


「ちょ、亜雪騒ぎすぎ!」


「だって新がっ…!」


「はいはい、のろけなら教室で聞くからね~」


あたしの親友で姉御肌な「美桜 柚奈」に腕を引っ張られながら


しぶしぶ教室へと入った。


「で?どうしたのよ」


「新が風邪引いたって…」


「はぁ!?あの新君が風邪なんて引くの!?」


「そう!そこなの!


あたしもずっと一緒にいるけど新って本当にありえないほど風邪とか引かないの!!


なのに学校休むほどの熱って…。


うぁ…なんか心配になってきた。


「じゃぁ、放課後はお見舞いにいくわけね」


「えぇ!?行かないよ、そんなの!!」


「何言ってんのよ。


彼女のあんたがいかないで誰が行くって言うのよ。


お見舞いは彼女の鉄則でしょ!」


いつからそんな鉄則が出来たんだから…。


どことなく楽しそうな柚奈。


…絶対に面白がってる。


「ちゃんと可愛くしていきなさいよー?


幼馴染っていっても一様彼氏の家に行くんだから」


あぁ、やっぱり面白がってる。


この期にに及んであたしに可愛い格好するなんて無理に等しいのに。


いつまでも楽しげに語る柚奈を無視して一人ため息をついた。





――――――――――――――――――――――――





学校から帰ると、誰かが家の玄関の前で話しているのが見えた。


あれはたぶんあたしのお母さんと…


「おばさん!」


「あぁ、お帰り!亜雪ちゃん」


新のお母さんだった。


あのクールな新とは似ても似つかないほど優しい雰囲気をもった人だ。


「なんだか久しぶりに。最近会ってなかったものね」


「そうだね。


あれ?おばさんどっか行くの?」


おばさんはちょっと余所行きふうな感じの服を着ていた。


首元にはバッチリネックレスまで。


気合入ってるなぁ~。


「そうなのよ~。


これから出かけなくちゃいけないんだけどそれが…」


「そうよ!あんた今日は新君の看病してあげなさい!」


おばさんの言葉を遮って、お母さんが世にもおぞましいことを口にした。


「えぇ!!?なんであたしがっ…」


「どうせあんた暇でしょ?


部活も入ってないし、勉強だってしないんだから」


「そ、そりゃそうだけど…」


新の看病なんていったら絶対にいいようにパシられるっ!


…なのに。


「あら~いいの亜雪ちゃん?


そうしてくれると助かるわ~」


なんて期待を最大限に込めた台詞があたしに向かって飛んでくる。


「じゃぁ決まりね。


実はお母さんも今夜、ちょっと友達と約束があるの。


これで心置きなく出かけられるわ~」


…絶対にそれが狙いだったんだ。


「じゃぁお願いね」


にっこりといつもの微笑みを浮かべた新のお母さんはあたし達に背を向けて去っていった。


「あたしも早く用意しなくちゃ」


お母さんが楽しげにいそいそと部屋の中へ戻っていく。


はぁ…なんであたしが。





―――――――――――――――――――――――――




お母さんが出かけた後、あたしもしぶしぶ用意をして家をでた。


新寝てるかなぁ?


起きてたら絶対にパシられる。


(ピーンポーン…)


ちょっとどぎまぎしながら新の家のインターホンを押してみる。


…誰も出て来ない。


新も出てこないってことは寝てるんだろうか?


でも、そこは幸い幼馴染。


隠し鍵のありかは知っている。


備え付けのポストの裏に貼り付けてある。


そこから鍵だけ抜き取って扉に差し込む。


ビンゴ♪


扉が開いた。


あたりまえだけど家の中はしんとして静かだった。


新の部屋は二階。


最近はいってなかったからなんだかちょっと楽しみだった。


とんとんとリズムよく階段をのぼっていく。


二階にはいてって一番奥の部屋。


反応が無いのを覚悟で控えめにノックする。


…いいよね…入っても。


ギィっと音を立てて扉を開く。


「うあ~…」


なんだかちょっと驚いた。


昔からだけど相変わらず綺麗な部屋だ。


あまり物が無くて奥にベットと机が置いてある。


そしてやっぱり…。


「寝てる…」


ベットの上で少しだけ苦しそうにして寝息を立てる新がいた。


あたしはベットのそばにしゃがんだ。


「新ー?」


悪いかなとは思ったけど控えめに新を呼んでみる。


「んん……?」


すると新はそれに気づいた様子で閉じてたまぶたを開く。


「ごめんね、もしかして起こしちゃった……って、えぇぇ!!?」


「亜雪…」


「あっ新君!?」


謝罪の言葉を言いかけたあたしはびっくり!!


新が急に起き上がってそばにいたあたしを抱きしめた。


顔が真っ赤になるのが分かるくらいに恥ずかしい。


と、いうか珍しい。


自慢じゃないけどあの告白のとき以来、こんなことは断言してもいい。


一度も無い。


なのに。


何この状況!?


一人パニくるあたし。


「えっと…どしたの…?」


「別に?」


ふっとあたしを抱きしめていた手を緩める。


そこには顔を赤らめた新。


…もしかして…照れてる…?


んなわけないか、熱のせいだよね。


「あ!そうだあたし、飲み物とか色々買ってきたんだけど、それ片付けてくるね」


立ち上がろうとするあたしに。


「いいよ、行かなくて」


「え?だって冷蔵庫いれて置かないと…」


「いいから…行くなよ」


「う、うん」


なんかいつになく強くものをいう新。


いつもはさんざんこき使うくせに。


今日はどうしちゃったわけ?


「新、どーしたの?」


「別に」


「嘘だー!絶対に何か…」


「るせぇ、何もねぇよ」


「む…」


何よ!人がせっかく心配してあげてるのに。


しばらく黙っているとなんだか居づらくなってきた。


やっぱり荷物片付けてこようっと。


「あたし、やっぱり片付けてくる」


「お、おい…」


新の声を聞く前にあたしは部屋をでた。


なんか焦ってるし、そんなにあたしに歩き回らせたくないわけ?


なんかムカついて来た。


少し荒々しく荷物をひっくりかえすと、荷物を片っ端から冷蔵庫や棚へ放り込む。


いいや、のどか沸いたし勝手に紅茶入れちゃお。


新の家に行くといつもおばさんがいれてくれるおいしい紅茶。


確かさっき棚に…。


「あ、あれ?取れない…」


背が低いあたしには届かない高さの位置に缶が収まっていた。


「後ちょっと…うあぁ…!」


倒れる…!!と思った瞬間。


「ったく…危ねぇなぁ」


頭からもろに倒れる寸前で新が後ろから受け止めてくれた。


その体勢と言ったら…


「あ…りがとう…」


まさにすっぽり新の腕の中。


上を向くとすぐに新の顔がある。


熱のせいか熱さが伝わってくる。


顔が熱い…。


てか…なんで離してくれないの?


「えっと…」


「ん?」


「あの…離してもらえませんか?」


何故だか敬語になる。


「ヤダ」


「は…?なんで?」


「別に」


さっきからそればっかり。


本当にどうしたんだろう?


返事に冷たさがあるわけじゃないんだけど、なんだかよく分からない感じ。


「本当に…どうしたの?新…?」


「何でもない…」


一階は何も暖房が付いてないから寒いのか新はなんだか苦しそうだった。


顔も赤い。


なんなのよ…もう!


「何かあるならちゃんと言わなくちゃわかんないんだからね!!


あたしじゃダメかもしれないけど、言えることがあるなら言ってよ!!」


むっとした表情で新に向かって叫ぶ。


「………かった」


「何?」


はぁ、っとため息をついて新が言う。


「…お前に会いたかったんだよ、


言わせんな、バーカ」


「なっ…////」


新たの頬が少し赤い。


熱のせい?と思ったけどやめた。


新があたしに会いたかったって言ってくれたのが純粋に嬉しかった。


「…ありがと」


にこっと微笑んでみた。


キモい、っていわれるの覚悟で。


「それだけ?」


「え?」


帰ってきたのはちょっと思ってたのと違った言葉。


「だって他にある?」


「ふうん」


新は何を言って欲しかったんだろう?


つまらなそうに返事をすると新はあたしを抱きしめていた腕を緩める。


あたしはそこから抜け出すと立ち上がる。


はずが。


「うわっ」


思いっきり腕を引っ張られた。


そして。


「こーいうこと」


たぶんわざとだ。


いや、絶対にわざと。


ふいにキスされた。


何秒かあたしが固まっていると、わざと音がするように唇を離した。


「分かった?」


久しぶりに楽しげに笑う新。


その笑顔は申し分ないほどに綺麗なんだけど。


「なっなんなのよーーー!!!」


もうそれどころじゃないあたし。


顔は真っ赤だし、それも含めてなんだかあたしからしたんじゃないのにすごく恥ずかしい。


「あっ新のバカーーー!!」


「バカでどーぞ」


立ち上がってくる使途あたしに背を向けると、二階のほうへ歩いていった。


廊下のほうへ行って新が見えなくなるとあたしは頬に手を当てた。


…熱い。


どんだけドキドキしてんのよ、あたし…。


するとまたふいに。


「あ、俺ポカリ飲みたいから持ってきて」


と、顔を出す。


な、なんで気配消してくるのよー!


「顔、冷ましてから来いよ。


まだ赤いから」


絶対わざとだ…。


「新のバーーーーーカ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ