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もう終わりだ

「ジョン、昔みたいに小さなライブハウスから、やり直すのがビートルズにとって1番ベストな選択だと思う」とポール・マッカートニーはジョン・レノンに話した。完成したばかりのアルバム『アビー・ロード』は素晴らしいアルバムとなり、ヒットチャート1位を記録した。この勢いを持続させるには、もう一度、昔のようにライヴハウスで歌うべきだとポールは考えたのだった。


ジョンは黙ってポールを見ていた。メガネ越しのジョンの瞳にはポールが映っていないようにも見えた。ポールはそれが怖くてジョンの気持ちを和らげようとするかのように話を続けた。


「ジョン、もう一度、キャヴァーン・クラブでライヴするのも面白いかもよ。どうだい? カイザーケラーも悪くないな」とボールは言って笑顔を浮かべた。


「あの頃みたいにさ、楽しめると思うよ。今のビートルズなら、もっと良いライヴを披露できるはずさ」ポールは笑顔を交えてジョンに話し続けていた。


「ツアーに出るのも悪くないな。ジョンの好きな国からツアーを開始してもいいぜ」ポールは何も言わないジョンに少し苛立ちを覚えていた。だが最近のジョンはエネルギーに溢れている。責めるような言い方だけはよそうと決めていた。


「ジョン、先ずは、小さなライブハウスから始めようぜ」とポールは元気よく言ってジョンの気持ちに火をつけようとした。


「NO」とジョンは冷たく言い放った。ポールは面喰らってしまったが、焦る気持ちを抑えて話し続けた。


「ジョン、新しいアルバムを作ろうか?」とポールは言った。


「嫌だね」とジョンは突き放すように言った。


「じゃあ、何がしたいのか言えよ!」とポールは声を荒げて言った。


「お前はアホだな。俺はビートルズを辞める。ビートルズは終わりだ。俺は出ていくよ」とジョンは言って席を立ち上がって、そのまま部屋から出ていってしまった。


黙って見送ることしかできなかったポールは完全に打ちのめされていて完全に打ちひしがれていた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




1970年12月。ビートルズの解散から8ヶ月後のインタビューより。


インタビュー

「ジョン、あなたが一番初めにビートルズを辞めると言ったんですか?」


ジョン

「うん」


インタビュー

「どういう状況だったんですか?」


ジョン

「『俺は降りる』とポールに言った、それだけさ。トロントへ行く飛行機で、いや、飛行機に乗る前に決心したかな、アラン・クラインにも言っていたし、エリック・クラプトンにも話したし、クラウス・フォアマンにも話して、今後、一緒にグループに参加してもらうかもしれないって伝えてあった。具体的な事は別に考えてはいなかったけどね。パーマネントなグループを組むのかとかそういうことはさ。ただ後になって思ったのは『冗談じゃねぇ。相手が誰であろうと集団で音楽をやるのは二度とごめんだ!』ってことでさ。とにかく、トロントへ向かう二〜三日前に、俺はビートルズを辞めるんだって自分に言い聞かせて、周りにも伝えたんだ。でね、アランも一緒に飛行機に乗っていたから、空の上で『もうビートルズは終わりだ』って話したんだ。トロントから戻ってからミーティングを何回かやって、その時にアランが、頭を冷やそう、冷静に冷静に、ビジネス面でも処理しなきゃならない問題が山ほどあるんだ、と言ってきたんだ。確かにタイミングが良かったとは言えなかったけどね。その後に、オフィスでポールと話し合った。ポールは新しい方向性でやっていこうだの、ライブを再開しようだの、いろんなことを提案してきたけど、僕はポールに何を言われても『NO』としか答えなかった。しまいには『NO』以外の答えを言わないと、さすがに気詰まりになってさ、ボールが『言いたいことがあるなら言えよ!』ときたから『だからな、もうビートルズは終わりだ。俺は出ていくよ』とね」


インタビュー

「その時のポールの反応は?」


ジョン

「離婚話を持ち出すと、誰でも顔色が変わるよね? ああいう複雑な表情を浮かべていた。これが本当に本当の終わりなんだってわかっていたみたいだった」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ジョンは、このインタビューで「ビートルズはブライアン・エプスタインが死んだから解散したんだ」とも話しています。


実はビートルズが日本来日公演で日本にいた時もジョンはビートルズを辞めたがっていて解散したいと仄めかしています。


ジョンは、相当、ビートルズで居ることが、しんどかったんだと思うよ。


今、僕の手元には1枚の写真があります。1966年8月23日。シェア・スタジアムでライヴをするビートルズ。ジョン・レノン1人がギターを構えて弾く姿の写真です。ジョン・レノンは哀しそうな瞳をしていて唇を固く結んでいる写真なんです。もう感情を見失っているような悲痛に満ちた顔つきをしているジョン・レノンが写っています。


ビートルズを生み出したのはジョンです。ビートルズを解散させたのもジョン。


ジョンはビートルズを辞めて正解だったんだよ。これで良かったんだ。





つづく

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