ビートルズの溜め息
※2018年に連載していた『ビートルズが好きだ!』からの再編集です。だいぶ編集をしてカットもしました。
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『ビートルズの夢』
蒼井真之介
ザ・ビートルズ。最高のロックン・ロール・バンドで音楽界で最高の存在。
昨年、2017年、「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が50周年記念で50年ぶりに再発売されて50年ぶりに全世界で1位を獲得した。
こんな音楽家、バンドはビートルズ以外、何処にも存在しない。
「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は50年前の1967年6月1日に全世界でリリース。サマー・オブ・ラヴの始まりはビートルズにあり。
「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はグラミー賞4部門を制覇。「最優秀アルバム賞」「最優秀コンテンポラリー作品賞」「最優秀ジャケット賞」「最優秀エンジニア賞」。700時間、5ヶ月間費やして制作されたロックの最高傑作、ロックの金字塔、コンセプト・アルバムだ。しかも僅か4トラックでの録音。
現在のスタジオなら85トラック近くはあると思うけど。
全米レコード販売者協会(NARM)は1958年に作られたけれど、2007年に「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は史上最重要アルバムリストの「最高の音楽アルバム200枚」で第1位にランキングされて、他のビートルズのアルバムも4枚ランクインをしたんだよ。
2位はピンク・フロイドで、3位はマイケル・ジャクソン。ノラ・ジョーンズやグリーン・デイ等、最近のミュージシャンも含まれた中での1位だ。
「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で最初に制作、録音を始めた曲はジョン・レノンが作った曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」だ。
残念ながらアルバム「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」には収録されなかったけどね、ポールが作った曲「ペニー・レイン」とカップリング・シングルとして2月に先行発売されたんだ。
「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」。この曲はね、とてつもない曲なんだよね。マジで凄すぎる曲なんだ。もし「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」がアルバムに収録されていたら「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はジョン・レノンのアルバムになっていたと思います。では、何故、収録されなかったのか? それもいずれ話します。推測にはなりますが、ほぼ合っているはずです。
実は「サージェット・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の始まりは、ビートルズが日本に来日した1966年6月30日~7月2日の103時間から、僅か2か月後に開始されているんだ。
ジョン・レノンが日本来日後の、9月6日から11月6日まで映画撮影のためにスペインに行っていた時に「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は作られたんだ。
ジョンはスペインでギター1本でデモテープに吹き込んでいる。
今の現状は、かつてのガッツが消え失せてしまっていることにあるんだと思うし1960年代の音楽的にも文化的にもルネッサンスだった時代からの停滞や低下していることに原因があるのかもしれない。音楽的な進歩や進化の停滞については異常に長すぎると思う。
究極的に言えば、アコースティック・ギター1本で、モノラルのカセットテープに新曲をデモテープに録音する姿ほど生々しくて、リアルで、真実の世界観を築き上げている音楽はないと僕は思っいる。
話を戻して、ある意味、現役のミュージシャン達はビートルズを前にして、為す術なしの状態にあるような気もしているんだよ。
先にビートルズが音楽のすべてをやりつくしてしまったからね。本当にありとあらゆる事を、全部、ビートルズはやり尽くしているんだよ。ミュージシャン達にしてみれば、この事実は過酷な現状にあると思う。ビートルズと比較されるプレッシャーや重荷を背負わされていると感じるしね。
自由な音楽を作れなくなった環境や音楽的な進歩を妨げている原因は、音楽業界が商業主義に走りすぎた結果の功罪や犯意は少なからずあるだろうし、ビジネスやインダストリー(産業)として音楽を低く扱ってきた怠惰にもあるのかなとも思う。ビートルズよりも技術的に上手くて達者な人たちはたくさんいる。でもそれは違うと思う。本質的なものから遠ざかっていくと思う。
フォークの神様、岡林信康さんは「音楽は上手ければいいというものではない」と言っています。
ビートルズの最新リマスター盤アルバムが発売される度に、現役のミュージシャン達は、悔しさのあまり冷や汗が吹き出ているはず。
あるミュージシャンが、ビートルズみたいなメロディーラインを作ったら、絶対に「ビートルズみたいなメロディーで馴染みやすいですねぇ。ビートルズを意識して作った曲なんですかぁ?」と絶対にインタビューされるに決まっている。そんなミュージシャンはこの世にごまんといるはず。
歌詞の面を見ても、ビートルズと同時代に活躍したボブ・ディラン、ジム・モリスン、サイモン&ガーファンクルの歌詞と比べたら、全く話にならないほど劣化していると思う。
偉大なオリジナル曲を持つ神髄がビートルズにはあるからね。結局、オリジナルには敵わないという散々たる結果にカヴァー曲は終わる。
改めてビートルズは凄い存在だなぁと思うよ。
解散してからかなりの時間が経過したけども、考え方によっては、今もビートルズは現役なんだよ。
今を生きる僕らは幸運だよ。ビートルズのメンバーと同じ時代と時間を共有しているからさ。ジョンとジョージがいなくて悲しいけれども。ビートルズの歴史に立ち会っているのは間違いないからね。
ビートルズを越える音楽は、この宇宙に存在しない。
もし、宇宙人が地球に侵略しに来たらね、俺は地球の平和を守るためにね、宇宙人を取っ捕まえてね、ボコボコにしてからね、朝から晩までね、ビートルズをね、聞かせまくってね、地球からね、追い出してやるつもりだよ(笑)『あはははは。俺はキャプテン・ミルクという伝説の宇宙王者の小説の原作者なんだぞ。ナメんな!』と宇宙人に自慢げに言いながらね(笑)
つづく
ありがとうございます。