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永訣

作者: 六野みさお

 

いつからこの道を歩いているんだろう

いつしかスタートは地平線の下

君に出会ったのはいつだったか

今ではさっぱり思い出せないな


進めなくて沈みそうになっていた僕に

君はまっすぐ手をさしのべて

立ち上がり歩き出す勇気をくれた

それだけははっきり覚えている


今君はいつものように笑って

僕にただ別れを告げる

「私の進むべき道は

 もっと別にあるんだーー」って


順調に追い風が吹く日も

高い壁が立ちはだかる日も

「君となら越えていけるさ」って

笑った日がフラッシュバックして


そうだ僕らは今さよならだ

君との旅はここで終わりだ

だから今日だけは歌を歌って

なんでもないことだけ話していよう


君は消えてしまうわけじゃない

見えないところを歩いていくんだ

君の中の正解を探すために

他の道を選んだだけなんだ



そうやってあの日は言ったのだけど

やっぱり僕は一人に慣れずに

夜のたびに星を見上げて

君の姿をなぞってる


いつも明るかった君だから

やけに悩みがちな僕と合わせて

ちょうどバランスが取れていたのに

今はだれも引き上げてくれない


ーー沈んでいってしまうよ!ーー


でもそれって実は確かな事実で

大体この世界は諸行無常で

消えていく人のほうが多いんだ

たどり着く人なんて一握りだ


ふらっと迷い込んできた人や

救いを求めて戦う人や

ゴールだけを目指している人や

君はどのタイプだったかな


毎日いろんな人に出会って

波瀾万丈に経験を積んで

ちょっと大きくなった気がしても

君の横に戻らないと落ち着かなかった


みんなそんなに集まらないでくれよ

冗談だよほんとは嬉しいけど

いつか悲しませるのが怖いんだ

僕はいつまでここにいるんだろう


また今日も進めなかった

ついには後ろに流され始めた

それでもジャンプ・アップを狙って

僕は今日も一人もがいてる


君も同じことをしているんだろう

まっすぐ前を向いているんだろう

あの日僕にしてくれたように

どこかでだれかを助けているんだろう


どんなに見渡しても君は見えないけど

目指しているところは同じなんだ

もし止まりそうになったときは

何度でも君の名前を叫ぼう


いつか僕がそこに着いたら

君が照れくさそうに立っていて

「遅いよ、心配したんだから」とか言うんだ

そんなことを僕は夢見てみる


永訣=永遠の別れ

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― 新着の感想 ―
[一言] せつなくなりました。 「またね」と、言いたいです。 (・ω・)ノシ
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