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第2話 幸せなお姫様
そのロボットは、お姫様の世話をしながら思った。
幸せなお姫様。
おそらくずっと、この地下の中ですごしていかなければならないけれど、お姫様は幸せなお姫様だ。
そのお姫様はかろうじて不幸ではない。
きっと幸せなのだろう。
まだ地上には人がいると信じる事ができている。
約束は守られると信じる事ができている。
いつか外に出られると信じる事ができている。
その心には、希望の光が満ちているから。
どんなに周りが悲惨でも、状況に絶望しかなくても。
お姫様の心は守られているから。
だから、そのお姫様は不幸ではなくて、幸せなお姫様なのだ。
ロボットはそのお姫様の心を守ろうと思った。
ずっと幸せでいてもらおうと思った。
だから嘘をつき続ける。
「イツカ、タスケガ、ヤッテ、キマスヨ」