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18/20

18.果たされる約束

 ザラームがアスファに向かって伸ばした手は空を掴んだ。苦しみながらもアスファがソロソロと後ろにさがったからだ。その小さな身体を、後ろに控えていたハーディがしっかりと支える。ハーディの色素の薄い灰色の髪が揺れ、灰色の瞳が強い光を宿して魔王を見据えていた。


 アスファは呻くように言葉を発した。


「私に触れるな……同情で、優しくしないでほしい……勘違いしてしまうから……約束の時は満ちた。契約を果たせ、魔王……!」


 今にも泣きそうな表情で、アスファは距離を取ってザラームを見上げた。ザラームは困惑した。同情? それは違う。ザラームがアスファに抱いたのはもっと別の感情だ。それに、目の前のこの少女は誰だ? こんな彼女を、ザラームは知らない。感情を剥き出しにして、悔し涙をボロボロとこぼす少女など、知らなかった。


 困惑しているザラームを余所に、アスファは腰に差していた『サラーブ・セイフ』を抜くと、持ち手をクルリと返してザラームに差し出した。いつかのときとは完全に逆の立場だった。


 ザラームの手が剣に伸びるのを黙って見つめていたアスファは静かに目を閉じた。この場で、ザラームの手にかかって斬られることすら覚悟していた。


 しかし、ザラームの大きな手は剣ではなく、剣を握っているアスファの手を包み込んだ。驚いて目を開けると、ザラームが跪いてアスファを覗き込んでいた。


「賭けは……俺の負けだ」

「!」


 意外な言葉に、アスファは思わず絶句した。


「愚かな賭けを持ち出したことを謝罪しよう、魔導師アスファ。だが、約束は守る。これからも傍で、お前を守らせてほしい。こんな感情を持ったのは生まれて初めてだ……俺は、お前のことを、もっと知りたい」


 お前を失いたくない。真剣そのものの眼差しでそう告げられて、アスファの涙に濡れた金色の瞳に、違う種類の涙が浮かぶ。


「あなたって人は……」


 アスファはハーディの手を離れ、ザラームに手を伸ばした。ザラームはその小さな身体をしっかりと受けとめる。


「もう……変更は受け付けないからな」

「承知の上だ」


 ザラームの長い指がアスファの涙を拭う。ザラームの濃い闇色の髪がさらりと揺れ、腕の中の温もりに金色の瞳が穏やかに細められた。


「傍にいる。お前がお前である間も、たとえ、お前がお前でなくなっても」

「……知って……?」


 驚いて見上げてくるアスファに、ザラームはため息をついた。


「俺を誰だと思っている。これだけ共にいて、魔王が気づかぬはずもなかろう」

「うん……」


 ザラームはアスファの耳元に唇を寄せると何事かを囁いた。アスファは思わず目を瞠る。だが、すぐに小さく頷き返した。それは、かつてハーディがアスファに言ってくれたのと同じものだった。


『お嬢さんと出会えて、よかったよ』

『お前と出会えて、よかった』

『『ありがとう』』


 元は同じ存在で、今は異なる二人から別々に贈られた同じ言葉。彼らが傍にいてくれる限り、たとえ一人になっても独りではない。アスファがアスファであってもなくても、二人は傍にいてくれるという。生きていてもいいのだと初めて思えた。


 誰かに必要とされている事実に、アスファの胸に確かな幸せが宿る。


(あぁ、そうか……これが幸せか……)


 胸が温かいのに、どうしようもなく泣きたくて仕方がない。溢れ出る涙さえも温かかった。


「ハーディ」

「ん?」


 灰色の髪が視界に映る。


「ザラーム」

「なんだ」


 金色の瞳がアスファを映す。


(大好き──……)


 心の中でそう告げて、アスファは口に出しては別なことを言った。


「できるだけ仲良くしてくれ。貴方たちの仲が悪いと、間に挟まれる私はどうなる。仲裁にも限界があるからな」


 泣き笑いの表情を浮かべたアスファの言葉に、二人は顔を見合せて少々ムッとしたようだった。


「む……親しくするのは本意ではなくとも……」

「アスファお嬢さんがそう言うなら、ひとまず休戦といこうや」


 ザラームとハーディは手と手を軽く打ち合わせる。どうやらそれで本当に手打ちのようだった。


「アスファ……本当によかったですわ……!」


 離れた場所から成り行きを見守っていたマイヤまで、思わず貰い泣きをしてしまった。バドルとレイラもつられて泣いている。しかし、カウィとファリスは別のことが気にかかっていた。マスィールの顔の貼り付けたような笑みが消えない事実に一抹の不安がよぎる。


 今、そのマスィールは光の渦の傍にいた。


「精霊と魔王を従えし魔導師アスファ、どうぞこちらへ」


 マスィールに手招きされたアスファは眉根を寄せた。『御魂分け』の儀式が成功し、目的を果たした以上、このムスタクバルに長く留まるのは得策ではなかった。


「悪いけど、私の目的は果たした。地上へ帰らせてもらう」


 アスファの言葉に、マスィールは頷くと笑みをさらに深くした。


「そう時間は取りませんよ。お帰りになる前に、もしよろしければ、この、『根禍の渦』の説明をしようと思いまして。興味はありませんか?」

「『根禍の渦』? この光の渦が?」


 強烈な魔力に満ちた不思議な光の渦に、魔導師であるアスファが興味を持たないわけがなかった。思わず振り向いたアスファの手から『サラーブ・セイフ』がこぼれ落ちる。ザラームが慌ててそれを受けとめるが、アスファに手渡す前に、彼女は光の渦の近くへと行ってしまった。


「そうです。この渦には魔力の根源ともいえる大いなる力が宿っているのです。ですが、その力こそが禍を招くため、この神殿に永きに渡り封印されています。故に『根禍の渦』と呼ばれているのです。そしてこれこそが、この地に神々の遺したもうた奇跡の最たるものなのですよ」


 マスィールの説明に、アスファは可笑しそうに笑った。


「それはおかしな話だな。どうやら貴女とはどこまでも話が合わないらしい。この光の渦は、こんなにも力に満ちて美しいのに。いつだって悪いのは力の使い方を間違える者たちであって、力そのものが悪いわけではないよ。私はそう思う」


 真っ直ぐなアスファの言葉に、マスィールはゆったりとした歩みで近づくと、アスファの頬にそっと手を伸ばした。


「フフ……貴女がそういう子でよかった……」


 視線が絡む。アスファは見た。薄い紗の向こうに秘められた、憎悪に満ちた金色の瞳を。


「私の嫌いな、虫酸の走るいい子ちゃんで!」


 マスィールの繊手はアスファの頬をスルリとひと撫ですると、細い首に伸びた。乱暴に掴まれたアスファの喉からは声にならない悲鳴が漏れる。


「アスファ!」


 叫んだのは、ハーディだったか、ザラームだったか。マスィールの顔が凄絶な笑みを浮かべた。


「そこから動くのではありませんよ、半端者たち。一歩でも動けば、この小娘の命はありません」

「くそっ……!」


 誰かが毒づいた。マスィールは顔を近づけるとアスファの耳元で囁いた。


「精霊と魔王を従えた貴女は特に厄介ですからね、後ほど消えてもらいます。まずは、あの二人をこの身に取り込むことにしましょう」


 アスファは苦しい息の下で喘いだ。


「どうして、二人を……!」


 マスィールを睨みつけるようにして声を絞り出すと、マスィールの歪んだ笑みが深くなった。


「引き裂いたのかですって? そんなこと、決まっているでしょう。精霊を弱体化させて、この身に取り込むことで、私が新たな神として世界に君臨するためです。人間のことをなにも知らない精霊よりも、私のほうが遥かにまともな支配者になるでしょうから」


 この言葉に、アスファは初めて自分の中に腹の底からの怒りを覚えていた。ただそれだけのために二人を引き裂いたというのか。どうしようもないくらいに利己的なマスィールの悪意に、全身が拒絶反応を示している。


「貴女の好きにはさせない……!」


 アスファは自分の喉を掴むマスィールの細い腕を掴んで風魔法を暴走させた。その瞬間、マスィールの身体にいくつもの大きな裂傷が走った。


「ぎゃあ──っ!」


 凄まじい絶叫がマスィールの口から迸る。だが、仮にも『魔王』である彼女はそれくらいで倒れたりはしなかった。笑みの消えたマスィールの美しい顔が悪鬼のような形相に変化する。


「おのれ、小娘!」


 身体に強い衝撃と浮遊感を覚え、気づいたときには、アスファの身体は渦の上に放り出されていた。


「魔・風・動、『飛……』……ゲホッ!」


 『飛翔』と言霊を唱えようとして失敗する。アスファの身体の中で呪詛が暴れ出したのだ。喉にせりあがる血の味に顔をしかめた。『御魂分け』の儀式で魔力はほとんど使い果たしている。その上、さっき魔力を暴走させた。限界だった。もう、間に合わない。


「私を倒そうなど、千年早いですね。貴女はこの根源的な魔力の渦に飲まれて消えるのです。でも、寂しくなどありませんよ。すぐにお仲間も同じ場所へと送って差し上げましょう」


 歌うようなマスィールの声が聞こえた。そう思ったときだった。アスファは自分を取り巻く時間の流れが急激に遅くなったように感じた。鮮明に聞こえる耳、どこまでも見通せる目。研ぎ澄まされた全身の感覚。こちらに駆けつけようとしているハーディとザラームの姿が視界に飛び込んできた。まだ、死ねない。


 そう思った瞬間、アスファの手に飛び込んできたのは、アスファが落としてザラームに拾われたはずの『剣』だった。不思議に思う暇もなく、それに命を削るほどの魔力を込めてマスィールの胸元へ向けた。


「魔・破・貫──『サラーブ・セイフ』、標的、『マスィール』!」


 その刹那、『サラーブ・セイフ』の刀身が長く伸びた。真っ直ぐに伸びた剣の切っ先が過たず貫いているのは、マスィールの左胸。マスィールがゴボッと喀血した。


「な……これは……どういう……?」

「物質の質量を変動させる外法に、標的を指定する術を組み合わせただけのことさ。あれでアスファお嬢さんは外法に精通しているからなぁ!」


 そう叫んで光の渦に飛び込んだのはハーディだった。胸と口から血を撒き散らしながら、マスィールは叫ぶ。


「だが、これしきのことで、この魔王に致命傷を与えられるなど……!」


 見たことも聞いたこともない。そうマスィールが続けようとしたときだった。耳に冷たく滑り込んできたのは、本来の魔王であるザラームの声。


「……我々、人外の者たちによって語り継がれる『サラーブ・セイフ』の物語を知っているか? 剣と房飾りは二つでひとつ。これらはひとつに戻ることで本来の力を発揮する。『サラーブ・セイフ』は『神殺しの剣』だ……!」


 それだけ告げて、ザラームも光の渦に飛び込んだ。そう。本来『サラーブ・セイフ』は、神々に抗うために、人外の者たちが命と誇りを賭して創り出した『神殺しの剣』だった。


 ところが、その強大な威力を恐れるあまり、彼らは自分たちで剣を封印してしまった。剣の柄は代々の海底王に、房飾りは代々の妖精の女王に託されて。それらを渡されるということは、すなわち彼らから信頼された証だった。それ故に、水竜もアスファを認め、『聖杯』を委ねた。本来、聖杯は最も心の清い騎士に与えられると言われているのだ。


 『神殺し』の力を宿した剣に身体を貫かれては、さしもの『魔』そのものと化したマスィールでさえも太刀打ちできるものではない。


「馬鹿な……この私が……人間の小娘などにぃ──っ!」


 その言葉を最期に、光の渦の中にいたアスファの目の前でマスィールは消滅した。


 だが、アスファ自身の身体も高濃度の魔力の渦に晒され、消滅の危機に瀕していた。アスファの輪郭がその境界を薄れさせ始める。それを目の当たりにしたハーディとザラームは思わず目を剥いた。


「「アスファ!」」


 二人の声が重なる。伸ばされた手と手が互いに触れ合って、そして──。



 五年後──。


***


 レイラが座長を務める旅芸人一座の興行は、いつも盛況だった。現在の『ダウラ・ハダ』をもたらし、世界を『タマーム・シャムス紀』へと導いた、魔導師アスファの冒険の旅を題材に、歌劇の脚本を書いたことが切っ掛けだった。


「……とは言っても、ほとんどそのまんまなんだけどねぇ」


 幼い魔導師アスファはある日、長女ナールの命により、次女マイヤと修行の旅へ。お供に水先案内人のハーディ連れて、首都アルアーンで仲間探し。美貌の剣闘士バドルを見つけ、魔王の呪詛受け王宮飛び出す王子ジアーを仲間に加え、アスファの旅が始まった。


 騎獣探しに、薬草探し、魔物退治に、護衛の仕事とアスファの仕事にゃキリがない。竜のサマーァと仲良くなって、サマーァ騎獣に迎えたアスファは、十人乗れる獣車を率いて、旅の魔法剣士カウィを仲間に、古の都マーディンを目指す。


 古都マーディンでの運命の出会い。アスファと魔王が邂逅果たす。しかし、王子が先走り、魔王を刺して返り討ち。王子も魔王も助けるために、アスファは命を分け与える。


 ひとつの命を共有している魔導師アスファと魔王と王子ジアー。彼らを助けた旅芸人レイラ。彼らを保護した聖騎士ファリス。二人の仲間を迎えた一行、ひとつの命を三つに分けて、三つの命となるために、未来都市ムスタクバルへと向かうとさ。


 海底神殿を脅かす巨大蛸のサルタウーン。囚われた人魚の姉妹たち、助けたお礼の謎の『剣』。海底王が言うことにゃ、扱えるのはアスファと魔王、九人の中で二人だけ。


 旅人惑わす噂の森で、妖精たちに頼まれた。女王の呪いを解いてほしい、代わりにお礼をするからと。双子の姉妹の誤解を解いて、魔王が仕掛けた呪詛も解く。身代わり受けたアスファのお陰で、元気になった妖精の女王。彼女に貰ったお礼の品は、紅い石の房飾り。『剣』にさっそく取りつけて、アスファの旅はまだまだ続く。


 天空闘技場の激闘で、剣闘士バドルと魔法剣士カウィ、聖騎士ファリスの活躍に、観客たち皆血沸き肉躍る。熾烈な優勝争いで、全員瀕死になりながら優勝勝ち取る三人に、称賛の拍手が贈られる。忘れてくれるな三人の獅子奮迅の活躍の陰にゃ、魔導師マイヤの回復魔法、これなくしては語れない。


 未来都市ムスタクバルで、遂に魔導師アスファと魔王ザラーム、王子ジアーの命が戻る。三つの身体に三つの命。これですべてが元通り。ここで出てくる悪女のマスィール、嫌いな人が多いみたいね。


 陽気な水先案内人のハーディが、かの精霊だと知れた日にゃ、驚天動地の新事実、正体隠して見守って、愛情注いで、憎いね大将。うって変わってこちらはザラーム、アスファを通して変化を見せた、魔王に芽生えた愛情に、うっとりするのは乙女たち。どちらも憎いね、いよっ、色男。


 旅で築いた不動の絆。精霊、アスファ、魔王の魂。それら宿りし『剣』構え、彼らの命で贖って、諸悪の根源マスィールを、戦いの果てに討ち倒す。


 かくして、世界には本物の平和が訪れ、その代わり、精霊、魔王、そして一人の天才魔導師を失った。そいつが物語の主人公、魔導師アスファの大冒険。


 おしまい、チャンチャン。


「レイラ姐さんはなにしていたんだよー!」


 飛んできた野次に、レイラは負けじと怒鳴り返した。


「なにおう!? アスファに剣舞を教えたのは、このあたしだよ! いうなれば、あたしが天才魔導師の師匠なのさ!」

「いよっ! この千両役者!」


 ヒューヒューと観客たちが囃し立てる。鷹揚に頷きを返すレイラもまんざらではなかった。


「剣闘士バドルといえば、この国に知らぬ者なし! 美人で腕が立って、あれで乱暴者でなけりゃあ最高だよなぁ」

「魔法剣士カウィ様なら知っているわ! まだお若いのに王宮の剣術指南役に選ばれているのよ。凄いわ!」

「聖騎士ファリスは、今度、古都マーディンで聖騎士団長に就任した、あのファリス様だろう? 大物だなぁ」


 口々に語られる登場人物たちの現状が、レイラの耳に入ってくる。


「うんうん、みんな順調に出世の階段登っているねぇ……そういや、マイヤちゃんは実家に帰ったんだっけ。久々に会いたいなぁ……みんなに」


 ふと、レイラは自分に向けられる子供たちの視線に気がついた。


「どうしたの? あんたたち」

「あのね?」


 子供たちはおずおずと質問を口にした。


「魔導師の子、本当に死んじゃったの?」

「まだ数えで十三歳だったって聞いたよ?」

「可哀想……」


 アスファのことを憂うる優しい幼い心を、レイラは愛しく思った。


「大丈夫。住む世界は違うけど、きっとあっちで元気にやっているよ。だからあたしは信じているんだ。いつかまた必ず会えるって。あたしの役目はあの子らが存在した軌跡を後世に伝えること。いつか彼らに届くと信じて、ね」


 語り終えたレイラの声が少し震えていた。それを誤魔化すように、明るく笑ってみせる。

 レイラの曇りのない笑顔に、子供たちも少しずつ元気を取り戻していく。


「ねぇねぇ、魔王もいなくなったけど、精霊様もいなくなっちゃったの?」

「精霊様のご加護もなくなっちゃうの?」


 子供たちはなんにでも好奇心旺盛だ。レイラは笑って順番に答えた。


「そうだよ。もう、魔王も精霊もいないの。でもね……ここから先は内緒の話だよ? その代わり、新しく生まれた二人の神様がいるんだ」


 悪戯っぽく片目を瞑ったレイラの言葉に、子供たちが歓声をあげかけて慌てて自分たちの口を塞いだ。


「それでね、その二人の神様は生まれたばっかりで、ひどく弱っちいから、あたしらを助けるどころじゃないのさ。でも、いつも優しく見守っていてくれているよ。加護があるっていうのは、そういうことさね」


 子供たちの一人が満面の笑みを見せた。


「あたしの家ね、この間、赤ちゃんが生まれたの。生まれてすぐは赤くて、くしゃくしゃで、お猿さんみたいだったけど、今はすっごく可愛いの。神様の赤ちゃんもお猿さんみたいで可愛いのかなぁ」


 レイラは思わず吹き出した。ケラケラと笑いながら子供たちの頭を順番に撫でる。


「うん、きっとね。きっと可愛いに違いない……ぷぷぷー、駄目だー、想像したらお腹痛い。神様、助けてー!」


 子供たちが口々に、赤ちゃんに頼っちゃダメだよ! とプリプリ怒っているのを、レイラは実に楽しげな表情で見守っていたのだった。

ご読了ありがとうございます。

赦しとは、誰かを救うためのものではなく──

共に痛みを抱えて、生き直すための祈りなのかもしれません。

涙の果てに交わされた約束が、

やがて時を越えても続く絆となりますように。

風は、まだ旅の途中です。


2021/03/08

レイアウトを変更しました。

2021/03/13

加筆・修正しました。

2025/11/11

加筆・修正しました。

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