1月14日
冬の装い。
ホームに向かうエスカレーターで、すぐ目の前にいる若い女性は、軽めのプルオーバーを着ていた。薄いグリーンで、寒さを感じさせない颯爽とした雰囲気だ。
着膨れのわたしとは違うなあと思って、前を見ていた。
その女性の首元に、小さい白いタグのような布が、縫い付けられているのが目に入った。これは、服の裏側に普通付いているものだ。ホームに着くまで、そのタグに釘付けになった。隣にいた、若い男性にも視線を送った。その青年は、ちょっと困ったような顔をしていたが、私の視線の意味はわからないかもしれない。
もしかしたら、そういうデザインかもしれない。だから、余計なことは言わない。
昔、しょうがなく履いていたゴムの伸びたソックスが、流行の先端になったように、その服は、リバーシブルなのかも。
こんなおしゃれな女性が、裏表を間違えて着るはずがない。
話しかける間もなく、ホームに電車が到着して、カップルは消えた。
その後バスに乗りかえて、何気なく外を見ていた。
自転車に乗ったおじさんが、寒そうに肩を丸めていくペダルを漕いでいる。
そのおじさんは、手ぬぐいをかぶるように、ネックウォーマーを顔に巻いていた。
軍艦巻きのようだった。
人通りもないので、寒くなければそれでいいかもしれない。おじさんは、それを首に巻いて使うこともあるのだろうか。
ファッションは、奥深い。