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移動中  作者: 鈴木明子
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2021年1月5日

移動時間のわずかなプライベートを楽しむ日々。

 今日も、同じ時間に、同じ電車に乗った。 都心部の電車は、ほぼ10分も待たないうちに、次々ホームに入ってくる。

それに、慌てて走って乗る必要もないくらい余裕で、家を出ている。時間的に、確実に座って通勤できる。

バイト先に到着するまでの、たっぷりした時間は、私の貴重なプライベートな空間だ。

 同じ時間の、ほぼ同じ車両に乗っても、毎日の車両内の様子は違う。

今日乗った車両は、何人かで話しが盛り上がっている。

聞こえて来るのは、純粋の津軽弁だ。テレビで中継されると、必ず文字テロップがつき、電話で話していると、中国語と間違われる。

私は、津軽で生まれ育ったので、話しの内容は、全てちゃんと理解できる。

 懐かしい気持ちで周りを見ると、正面に座っている東南アジア系の男性の、困惑した目を見てしまった。

私は、限りなく同情した。

心の中でつぶやいた。

同じ日本人でもわからない、この津軽弁を理解しなくてもいいよ。

同時に、思い出した。

津軽の高校に留学してしまった為に「ちょっと下さい。」を「わんつか、けろー。」と覚えてしまったアメリカ人のバーカー君。

ファンタを飲んでいる男子を見かけると、かけよって飲みあっていた当時、彼も混ざり込み、この言葉を習得した。

彼は、その後、津軽弁のことをちゃんと理解できたのだろか。アメリカに帰った後で、その言葉は、何か役に立っただろうか。彼の青春の一ページを、津軽弁が彩りを添えている。

 


 1月7日

  

 美容院へ行く為に、一駅だけ電車に乗った。今日は特に寒くて、自転車で行くこともできるのだけど、帰りに寄る予定の駅近くのスーパーに自転車を置かせてもらって、ちょっとボーッと乗っていきたくなった。

だけど、乗ってすぐに知り合いに遭遇した。

 さっそくお正月の挨拶やら、掃除が出来なかったことやら、知人の話しはずっと続きそうだったが、一駅はすぐに着いてしまう。

わたしはおしゃべりではないので、ひたすら話しを聞かされてしまう。

そして、なかなか忘れない。今日行く美容院も話しをしなくても、大丈夫そうなことで選んだようなところだ。

 ほっとして駅を降りて、美容室に着いた。  

長年伸ばしていた髪を切った。一年中マスクをしていると、つい目線が髪型にいくのだろうか。同僚の髪型は、時々変わっていることが多いことに気づいた。髪の色さえ微妙に変わっている。私も、髪型を変えたくてウズウズしていた。お正月休みに髪を切る予定だったが、年中無休のはずが年末年始が休みになっていた為に、今日になったのだ。

そして、雑誌を落としそうになるほど椅子の上で眠りこけて、イメージチェンジは終わった。話しをすることは、これではできるはずがない。


快適な乗り物をありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 鈴木さんの日常をぼんやりと愉しみながら知ることができました。 [気になる点] これからの電車での日常も気になります。 [一言] わたしは昨日初めて小説家になろうのデビューをしましたが、たま…
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