石焼き芋(奈々)
『いしやーきいもー、おいもー』
すっかり季節に馴染んできましたね。
夕方、この通りには石焼き芋屋さんが熱々の石焼き芋を売るために
町内を回ってきてくれます。
・・・ 久しぶりに買おうかな ・・・
美味しいですもんねさつま芋。
近くの公園のベンチに座って食べましょう。
・・・家で食べるのもいいけどたまには外で食べるのもいいかな・・・
「すいません。お芋1つもらえませんか?」
「あいよー、お客さ・・ありゃま。こりゃ美人だね」
「ありがとうございます」
車を止めた石焼き芋のおじさんに褒められます。
社交辞令というものです。
「美人なお姉ちゃんに1つおまけしとくよ」
「ありがとうございます。」
・・・帰って桃花にあげよう、いや一緒に食べましょうかね・・・
おじさんが大きな焼き芋を選んでくれてる中。
公園で食べて行くか、家まで持って帰って桃花と食べるか考えます。
「よし、来た。大きいの」
おじさんが選んでくれたのは太くて重いさつま芋でした
「すごく大きい」
今年は農家さんにとっても豊作だったのかな
「えへへ、お姉ちゃんの胸に栄養がいきわたるように大きいの選んだよ」
「あ・・ありがとうございます」
・・・ まさか、ここでも胸のことを言われるなんて ・・・
部活の先輩にも弓道着の胸あているのかとからかわれたし、式部先輩にも笑われるし泣
さつま芋売りのおじさんにまで言われるなんて悲しいです
と、地味に傷付けられましたが無事、さつま芋は手に入れました。
家に帰っても桃花は遊びに行っていないかもしれないので公園で景色を見ながら食べましょう
・・・あれ?・・・
公園に行くと見覚えのある自転車が止まってました。
桃花の自転車です。その近くではベンチに座った桃花がいました。
「どうしたんですか?」
「あれ、奈々? 奈々こそどしたの?」
「天気がいいので公園でさつま芋を食べに来たんですが、桃花は?」
「ひなたぼっこ。彩音が急用できて遊べなくなったんだ、だからこうしてるの」
「今日は気持ちがいいですよね」
「そうそう、だからおやつ欲しいなって思ってたら。さつまいも引っさげてた奈々がきて」
「タイミング良かったですね」
「うん、さつま芋ちょうだい」
「はいはい」
紙袋に入ったさつま芋を二人で食べます。
・・・おじさん。おまけしてくれてありがとうございます・・・
仲良く二人でさつまいもを食べます。
「ところで飲み物は?」
「え、すいません買ってないです。」
笑顔で食べていた桃花がやれやれという顔をします。
「奈々、あのね食べ物と飲み物はセットで持ってこないといいメイドにはなれないんだよ」
「あ、あの別にメイドになるつもりはないんですが」
・・・高校生でメイドを志す人に出会ったらぜひ志望動機を聞いて見たいです・・・