表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/56

プロローグ 2.異世界?

 霧の中を随分歩いた気がしたけど……ここは一体どこなんだろう。


 少なくとも、僕が入院していた病院の中庭じゃないみたいだ。霧が晴れたのに、病院どころか建物が一軒も見当たらないし……僕が今立っているのは、草に覆われたなだらかな斜面で、後ろには森が迫っている。


「……どう考えても市内じゃないよな。日本かどうかも怪しいし……」


 そう呟いた声が自分のものとは思えなくて、一瞬(ひる)む。妙にかん高いと言うか……ボーイソプラノみたいだったんだけど……


「……パジャマの袖丈もズボンの裾も、何だか長くなってるみたいだけど……」


 確かめようにも鏡なんか持ってない。とりあえず動き易いように、袖と裾はたくし上げておいた。


「そう言えば……霧の中を歩いている時に……何か聞こえたような気がしたな……」


 聞こえたというか……頭の中に直接響くような感じだったな。確か……〝――を解消〟とか〝補償ポイント〟とか言ってたような気がするけど……。

 いや……その前にも、誰かが何か言ってなかったか……?


 相変わらず僕の声はかん高く聞こえる。何か慣れないな……。


 見渡した範囲には人家も無いようだし……こんな原っぱじゃ雨も風も避けられないし……覚悟を決めて森の中に入ってみるか。



・・・・・・・・



 間違い無い。ここは異世界ってやつだ。少なくとも日本では……いや、地球ではない。絶対に。


 ――地球には、熊ほどの大きさのカマキリなんていない。


(来るなよ……来るなよ……どうか見つかりませんように……神様……)


 一心不乱の祈りが通じたのか、カマキリの化け物はこちらへ向かう歩みを止めて、何か当惑したみたいに周りを見回している。……何かを見失ったみたいな感じだけど……この場合、僕を見失ったって事なのかな?


 僕に気付かないみたいなので、少し落ち着いてカマキリを観察していると、突然目の前……と言うか、頭の中に、文字のようなものが浮かんできた。


《バランティス:捕食性の巨大昆虫。前胸は細長く伸展して自由に動き、前肢は折り畳み式の鎌のような捕獲肢に変化している。頸も細くなっており、頭部を自由に動かす事ができる。視覚に頼って狩りを行なう》


 ……うん、もう一々驚いてなんかいられない。ラノベで読んだよ、こんな展開。


 間違い無い。ここは異世界だ。僕は異世界に転移したんだ。……見た事も聞いた事も無い世界に。神様が僕の願いを聞いて下さったんだろうか。

 


 ……けど、神様。これって少しハード過ぎません?

本日はあと三話公開します。次話公開は一時間後の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ