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双子の魔術師と仮面の盗賊  作者: curono
4章 双子のおばけ退治

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解放

 オミクロンが消えてしばらくした時だった。ふいに背後から高い音が響いて、四人は背後に視線を向ける。見ればエプシロンが作った罠の魔法陣が消え、同じ場所にもっと巨大な魔法陣がうっすらと光り始めていた。

「なぁに、あれ?」

 思わずシンジが疑問を口にすると、ガイが思い出したように口を開いた。

「あの魔法陣は――多分出入り口の魔法陣だよ~。ホラ、ボクらが最初に入ってきた時、

転送魔法が働いたでしょ? それじゃないかなぁ~」

「え、でもどうして急に……?」

 ガイの説明にヨウサも首をかしげると、また細身の少年は続けた。

「ボクもよくわからないけど、多分あいつらが罠とかを消したからじゃないかな~?」

と、説明をいているうちに、その魔法陣の上に横たわっていた二人の少年少女の姿がぼんやりとかすんでくる。転送魔法が働こうとしているのだ。

「あ、マハサとミランが消えるだ!」

 あわててシンが走りよろうとすると、その隣でシンジが思い出したように壁に走り寄る。

「あ、トモも起こさなきゃ!」

 シンが光る大きな魔法陣の上に乗ると、光が一層強くなり視界が真っ白になった。




 夏の割に肌寒い天候に、先頭を歩くクマ耳の少年は身震いした。クマ耳少年のケトを先頭に、セイラン学校四年生の太陽クラスの男の子たちと数人の女の子は、ずんずんと森を進んでいく。

「こんな森の先にホントにシンたちいるのか?」

「なんだか不気味な森だな……」

 後ろをついてくる十数名のクラスメイトも口々に不安を口にする。

 そんな薄暗い森の中をずんずん歩いていた時だ。思いがけず聞き覚えのある声に呼び止められた。

「――あれ、み、みんな……どうしたんだ!?」

 その声に生徒はいっせいに背後を向く。

「あ!」

「レイロウ先生!」

 そう、彼らに声をかけたのは担任のレイロウ先生だったのだ。生徒だけでなく先生までも、あまりに予想外の光景に目を丸くしている。

「なっ――なんで先生がここに――?」

 口をパクパクさせながらかろうじて一人の男の子が言うと、その隣で級長のフタバも目をパチクリさせている。

「あれ、先生――職員室に行っていたんじゃ――?」

 その言葉に、レイロウは頭をかきながら説明する。

「ああ、職員室には行ったけど、その後一応に寮まで探しに行っていたんだが――そこでリサくんから話を聞いて、森にいるんじゃないかと思ってな……。そ、それより、どうしてみんながこんなところにいるんだ?」

「オレが案内してんだ」

 先頭を歩いていたケトが、先生の場所より少し離れたところで声を上げた。その声に、目線を向けたレイロウ先生はあっと声をあげた。

「ケト! いたのか! ほかの――トモやシンたちはどうした?」

「この先にいるんだ!オレ、トモやシンたちを助けるために、先生を呼びに来てたんだ!」

 先生の問いにケトがそう答えると次々に他の生徒も声をあげる。

「で、僕たちもトモを助ける手伝いのためについてきたんだ!」

「校長先生には他の女の子たちが連絡に行ってる!」

「レイロウ先生も探しに行ってたんだよ!」

 生徒の説明に、先生は初めあっけに取られている様子だったが、その瞳は優しい色をしていた。そんなレイロウ先生の姿を見て、彼について来ていたリサがほほえむ。

「――いい生徒たちですね」

 クスクス笑う少女の言葉に、ああと短く返事をしてレイロウ先生は深く息を吸った。

「みんな! シンたちが無事見つかるように、協力していこう! ケト! 案内を頼むぞ!」

 先生の大きな声かけに、すぐに生徒たちは大声で返事をした。

「先生! シンたちが消えたのはこの先なんだ! ついてきてくれ!」

 返事をするや否や、ケトは背後のクラスメイトに向けて、大きな声をかけて前進していった。




 黒い石ばかりがゴロゴロした草原は、薄暗い空の下静かな風が吹いていた。風に吹かれて短い草がさわさわとゆれる。

 突然、草原に一筋の光が差し込んだと思った次の瞬間、短い草の開けた草原の上に、彼らは現れた。赤髪のシン、その隣にはピンクの髪のヨウサ、その隣にひょうひょうとした表情の細身の少年ガイ、そしてその足元に横たわる猫耳少年のマハサに植物精霊族のミラン、その背後で眠っているトリ少年のトモを肩で支えながら立つ青髪のシンジ――

「――全員、無事に出てこれただべな!」

 友達の姿を確認して、シンは心底安心したようにひとつため息を付いた。その声にヨウサもガイも、シンジもほっとしたように笑みがこぼれる。

「――なんとかって感じだったねぇ~!」

「でも、みんな無事に戻ってこれて良かったわ!」

「トモも無事に見つかったしね!」

 四人が口々に喜びの言葉を交わしているその時だった。遠くから彼らの名を呼ぶクラスメイトの声が響いていた。

「――あの声は――」

「ケトでねぇべか?」

 草原に向かって歩いているケトの姿を確認して、シンは大きく手を振った。その姿に大勢の歓喜の声が響いたのは言うまでもない。




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