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双子の魔術師と仮面の盗賊  作者: curono
4章 双子のおばけ退治

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おばけ騒動

「それにしても、トモの言っていた秘密結社の活動も、興味あるだべなぁ」

 放課後、校庭で遊んでいたシンたちだったが、唐突とうとつにシンがつぶやいた。

 夏の日差しはまぶしく、頭をあげるシンの視界を遠慮なく白くする。そのまぶしさに手をかざし、シンは一息吐いた。

「ああ、忙しいって言ってたあの活動ね。何やってるんだろうね」

 足元のボールをぽんぽんと蹴りながら、シンジもシンの方を向く。そしてひたいの汗をぬぐうと、そのまますぐ近くの木陰こかげに入り座り込んだ。それにシンも続く。木陰で日差しをさえぎるだけでずいぶん涼しく感じた。さわさわとそよ風に当てられて、体の熱が少し下がる。

「今も活動中なんだべか? 何してるのか聞いてみたいだべな」

「そうだね……。でもきっと僕らのやってることも聞かれるだろうからなぁ。それがちょっと心配なんだよね……」

 その時、ガイがぜはぜは息を切らして、二人の所にやってきた。その汗はまさに滝のようである。

「休憩するならするって言ってよ~。校庭のすみーの方まで走ってたじゃない~」

「ああ、ゴメンゴメン。急に思いついたから」

 ガイの様子にシンジがケラケラと笑う。

「それより、今日はヨウサちゃん一緒に遊ばないのかなぁ~。まだ来ないんだよねぇ~」

 ガイが息を切らしながら、思い出したようにつぶやく。その発言にシンジもうなる。基本的に一緒に遊んでいる友達だから、どうもいないと寂しいのだろう。早く来ればいいのにね、などと二人が話していると、シンが思い出したように口をはさむ。

「あ、ヨウサなら女友達と一緒に教室にいただべよ? 呼んでくるだか?」

「あぁ、そうだったんだ。どおりで遅いと思った」

 その時だ。校舎の入り口からにぎやかな声が聞こえてきた。思わず三人がそちらに目をやると――

「あ、トモとマハサだべ」

 トラブルメーカーの三人組のうちの二人、鳥族のトモと、猫科の黄色い耳を持つマハサが、何かから逃げるように校舎から飛び出してきたのだ。その直後、女の子が数名、二人を追いかけるように飛び出してきた。そして何かお互い言い争っているようなのだが……。

「だから、これは秘密の活動なんだってば!」

と、ニヤニヤしながらトモが言うと、

「いいじゃない、シンくんたちには話そうとしてたんだから教えてくれたって!」

と、言い返すのは、茶色の肩までの髪をゆらす植物精霊系の女の子。

「女には秘密なんだよ! 危険な活動は男しか出来ないだろ!」

と、エラソーに言うのはマハサ。興奮でしっぽがぴんと立っている。

「そんなことないよ、女の子だって出来るかも」

と、口をはさんだのは――

「あれ、ヨウサだべ」

「あ、ホントだ」

 などと、シン達三人がぽかんと、トモやヨウサたちのやり取りを見守っているのだが、彼らはやり取りに夢中で、シン達に気がつく様子はない。そのまま彼らは徐々にシン達の位置に近づいてきた。

「なんだよ、ヨウサは危険な目に会ったことあるのかよ」

と、マハサが胡散臭うさんくさそうに質問すると、ヨウサが自信ありげに言い返す。

「あるわよ、シンくんたちとの活動中に」

「どんな活動!?」

 途端とたん、トモもマハサも、一緒に来ていた女の子達も、一斉にヨウサに質問を投げかける。いきなり全員に質問を投げかけられて、ヨウサがびっくりして立ち止まる。

「え、いやぁ……その……」

「教えろよー。お前らばっかりズルイ!」

 トモがここぞとばかりにヨウサを問い詰める。

「一体シン達と何してんだよ!?」

 と、マハサもはヨウサに顔を近づける。

「シンくんと何してるのよ?」

 女の子までヨウサを問い詰める。

「それは……だから秘密だってば!」

「そうだべ、秘密だべ!」

「わぁ!」

 唐突とうとつにシンが会話に混ざるものだから、思わず問い詰めていた三人が跳び上がる。その三人の背後にでんと仁王立におうだちになったシンが、これまたエラそうにりかえっていた。

「な、な、なんだよ、シン! いいつの間にそこにいたんだよ!?」

 あからさまに動揺どうようしたトモがどもりながら、ようやく質問を口にする。

「いや、さっきからここにいただべよ」

「トモ達がどんどんこっちに近づいてきたんだよ」

 まだ座ったままのシンジがケラケラと笑いながら答える。

「それより、トモ。君らの活動って何なの? さっきもその話をしていたようだけど……」

 シンジの言葉に、トモとマハサがはっとするより早く、女の子二人が、そうよそうよとにじり寄る。

「そうだよ、私らの話よりも、まずはそっちの話だったじゃない!」

「教えてくれたっていいじゃない!」

「そうだべ! 秘密結社の秘密をバラすだ!」

と、いつの間にかシンも会話に混じっている。

「そーだ! そーだ! 吐け吐けぇ!」

 気付けばガイまで調子に乗って来るものだから、囲まれたトモとマハサもたまったものではない。えええ、と縮こまりそうになっていると――

「あ、ここにいたのかよ! 早くこいよ! 先行っちまうぞ!」

 今度はシン達の背後から、ぬっと一人の少年が現れた。大柄おおがらな体格に、頭にちょこんと飛び出した丸い耳、ふさふさの茶色の髪の毛が特徴の、熊族の血が強い半精霊族、ケトだ。彼もトモ、マハサと同様、クラスのトラブルメーカートリオのひとりだ。

「あ、クラスのトラブルメーカー勢ぞろいだね」

「どっちがだよ」

 シンジの言葉に、とっさにケトがつっこむ。おだやかな表情の割につっこみが激しい少年である。ケトはトモとマハサの方を向きなおすと、また声を張り上げた。

「今日こそオバケ見つけ出すんだろ? 早く行かねーと、時間なくなるだろ」

「お、おばけー!?」

 ケトの発言に、シンもシンジもガイも、ヨウサも、女の子も大声を上げる。そのかたわらでトモとマハサはあわててケトに駆け寄る。

「わー! わー! わー!」

「そ、それ以上言うな! 秘密だろ、ヒ・ミ・ツ!!」

 マハサに続いてトモも必死に口止めするが、肝心かんじんの本人はケロリとしている。少しまゆを寄せて、抗議するトモに首をかしげる。

「なんでヒミツにするんだよ。シン達をさそうんじゃなかったのかよ?」

「ややっ、誘うけど、それはまずシン達のヒミツをあばいてからだな……」

「そうだべ! オラ達も手伝うだべよ!」

 そんな二人の会話に横槍よこやりを入れるようにシンが口をはさむ。ケトはその申し出に、おう、と喜ぶが、トモはそうはいかない。

「だ、だからちょっと待て! 待てってば!! オレたちだけ秘密の活動教えるのに、シン達のが聞けないなんてイヤじゃん! ここは平等に、シン達も白状しよう!うん」

「イヤだべ」

「いーじゃん、めんどいし」

 トモの必死な抗議は二人によって一瞬で打ちくだかれた。

「何でだよー! ずるいじゃねーかよー!!」

 自分達の活動をエサに、シンの口からヒミツを暴きたかったトモは、作戦が身内によって失敗したことが悔しいらしい。その場で地団駄を踏む。その様子に、ガイが声をかける。

「まぁまぁ、ボクたちも手伝うからさぁ~。ありがたく思ってよ~」

「お前なんか役に立つか!」

「えー!! イキナリひどい!!」

 ガイの親切心も一撃玉砕いちげきぎょくさいである。

 そんな漫才まんざいの横で、シンとシンジがケトに質問の嵐を浴びせていた。

「一体何なの? おばけって」

「ホントにいるんだべか〜?」

「大体おばけをどうするの? 探すの?」

「オバケ退治でもするんだべか?」

「退治ってもんでもねーよ。オバケがホントにでるのか、探検中なのさ」

 双子の問いにケトは、自慢げに笑う。

「もしホントにオバケなら問題だろ? そんな魔物がいたら、それこそオレ達の町の平和もおびやかされるからな。だから、まずホントにいるのか、オレ達で探索中なのさ」

 その言葉にたちまちシンの目がキラキラ輝く。こういう冒険事は大好きだ。

「そーゆー事だったべか! そーゆー事情なら、オラ達も喜んで手伝うだべよ!」

「うん、僕も! ガイも当然手伝うよね?」

 シンジが元気よくガイに話を振ると、先ほどのやり取りでガイはへこみ気味だ。

「いいよいいよ、どーせボクなんていらないんだ……ううっ」

「まぁまぁ」

 シンジが励ますその隣で、シンはヨウサにも話を振る。

「ヨウサももちろんいくだべよな!?」

「うん、なんだか面白そう!」

「あ、あたしも行く!」

 予想外に同意したのは、ヨウサの隣の女の子だ。彼女の反応に、思わずシンもシンジも、トラブルメーカーの三人も目を丸くする。

「え、大丈夫かよ? 確か――隣のクラスの、ミラン、だったよな?」

 真っ先に不安を投げかけたのはケトの方だ。その言葉にマハサもうなずく。

「そうだぜ、女が参加できるような仕事じゃないぞ、危険だからな」

「じゃ、なんでヨウサちゃんには反対しないのよ」

 ミランといわれた少女の的確なつっこみに、マハサが口ごもる。

「え、いや、ヨウサは……その……ほら、男みたいなもんだし……」

「誰が男よ!」

 当然つっこみはヨウサである。

「でも、大丈夫? オバケとか怖くない?」

 心配したのはシンジだ。シンジの問いかけに、ミランはこくんとうなずく。

「ちょっと怖いけど、あたしだってやりたい! ヨウサちゃんもいいんだから、あたしもいいでしょ?」

「ええだべよ! ただし、危険な仕事であることに変わりはねぇだ。気をつけるだべよ!」

「オイ、オレにも聞け」

 本当なら許可を出すのはケトのはずなのだが、勝手にシンが許可を出すものだから、思わずケトがつっこむ。

「ああ、そうだったべ、ケトがよいと言わなきゃ許可だせないだべ」

「うん、そうだな、いいぞ!」

「えええええええ~!?」

 あっけなくケトの許可もでて、オバケ探しチームが出来上がったのだった。



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