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双子の魔術師と仮面の盗賊  作者: curono
3章 双子、湖で大冒険!

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闇の石の儀式

 思ったよりも通路は長かった。黒光りする床を蹴って、双子は奥へと走りぬけた。腹に響くような重い地響きが響き、二人の足音もかき消していた。先へ先へと進むにつれて、大きくなる地響きを感じ、双子の緊張も高まる。

 ふと、通路の先から、明かりがもれて来た。

「この先にいるだべな!」

「気をつけるんだぞ!」

 キショウを頭に乗せたまま、シンはその広間へと足を踏み込んだ。


 双子の予想通り、その広場にヤツはいた。

 黒いマントはふわふわと不気味に宙を舞い、その細身の身体を白装束に包み、光を反射する銀色の髪が、同じように風に舞っていた。

 不思議な空間だった。黒い壁、黒い床、湿った空気に包まれて、いかにも重苦しい雰囲気なのだが、広場の中心を丸く取り囲むように、青白い光が、その空間を照らしていた。青白い光りはその輝きの強弱をつけながら、不規則な動きでその空間を回りながら照らしていた。その光の中心に、ペルソナはシン達に背を向けて立っていたのだ。

「――またお前達か」

 ペルソナは振り向くことなく、背後にいるであろう子どもに向けて声をかけた。その声は、彼らが始めてペルソナにあったときのそれと同じく、感情を感じさせない冷徹れいてつな声だった。

「ペルソナだべな!」

「またお前、こんなところで何やってるんだ!」

 ペルソナのそんな態度はお構いなしに双子は叫んだ。二人はそれぞれ剣を片手に、すぐにでも戦えるよう身構えた。ペルソナはそんな二人とは対照的に、その場に立ったまま動かない。

「私がここで何をしていようと、お前達には関係ない」

 全く二人の様子など眼中にないペルソナのその態度に、シンが苛立いらだちげに叫んだ。

「関係あるだべさ! おめーが持ってる『闇の石』! それはオラ達の学校のものだべよ!!」

「その石使って何するつもりだ!?」

 双子のその言葉に一瞬、ペルソナが笑ったように感じた。

「そうか……そうだったな。この石はお前達の学校にあったものだったな」

 そういいながら、そこで初めてペルソナはシン達の方を向いた。予想通り、その表情はあの不気味な仮面に隠れて見えない。

「石はどこにあるだ!?」

「石を返せ!!」

 双子が叫ぶと、ペルソナはようやくシン達の方向へ身体を向き直した。その時初めて、緑色に輝く闇の石がどうなっているかが見えた。ペルソナのその背後で一際輝きを強め、その光がなぜか一直線に真下に向かって伸びている。闇の石はペルソナの手を離れ、その一箇所に固定されているかのように微動だにしない。しかし、その光は時に鼓動するように光を強め、その光は、まるで心臓から送り出される血液のように、その地下に向かって光が流れていくのだ。見れば、ペルソナを取り巻くように輝く青白い光も、緑の闇の石の輝きと共に、脈動している。

 その様子を見て、シンの頭上にいるキショウが息をのむ。

「あ……れは……!」

「儀式はもう終わる」

 そんなキショウの言葉をさえぎってペルソナが言葉を続けた。

「闇の石は大地へと脈動を始めた……。間もなくこの石は大地へと沈むだろう……」

「な、なんだって!?」

 シンジが瞳を見開いて驚愕の声をらす。その横でキショウも唇をかむ。

「闇の石を大地に沈める儀式ってわけか……やはりな……!」

「止めてやるだっ!」

 勢いよく、シンが風の短剣を大きくなぎ払った。

鎌鼬かまいたち!!」

 しかし、その風の刃はペルソナの周りを回る光にさえぎられ、急激に勢いを弱めた。ペルソナに届く頃にはその衝撃はなくなり、ふわりと風になってペルソナの横を通り過ぎた。

「ちっ……! この光、ペルソナを……いや、闇の石を守護する防御壁か!!」

 その様子にキショウが舌打ちする。

「こうなりゃ直接攻撃しか……っ!」

 シンの攻撃を見守っていたシンジが、その氷の剣を握り締め、走り出そうとした時だ。

「もう遅い」

 ペルソナがそう声を発した次の瞬間、闇の石の輝きが一層強くなった。その光は徐々にその力を強め、脈動のような光の強弱も急激にその速度を上げた。やがて目を開けていられないほどに光が強まると、思わず双子は手で目をかばう。その光の強さと一緒に、驚くほど強大な闇の力があふれてくるのを感じ、思わず足がすくむ。

「封印の要――大地の闇の石――確かに地へと沈めたぞ……!!」

 光のその先で、ペルソナが不敵な笑みを含んだ声で叫ぶのが聞こえた。

「くっ……ペルソナのヤツ……!」

「このっ……ペルソナーッ!!」

 光で見えない中、大声で二人が叫ぶと、光はますますその威力を強め、それと同時に凄まじい闇の波動が二人と一匹に襲い掛かった。その強い波動に押し流されるように、双子はよろめき、そのまま背後へと押しやられた。

「くっ……」

「むむむむ……っだぁあああ!!!!」

 必死の抵抗空しく、双子は元来た通路へと押し出された。しかし闇の波動はまだやまない。とどまるところを知らないその闇の力は、双子をそのまま勢いよく押し返していった。

 それだけではない。その闇の石のあった広間から、今度は勢いよく水流もあふれてきたのだ。

「やべっ! シン、あの時と同じやり方だ! 壁をはれ!」

 とっさのキショウの指示に、シンは風の防御壁を張り、シンジも合わせて術を発動する。

皓皓コウコウ!!』

 双子と一匹は、水中で作った風の防御壁の空間を、そのまま凍らせた丸い球体の氷の中にいた。しかし水流は止まらない。シンジの作った氷だけで水流は止まらないのだ。

「どうしよう! このままじゃこの氷ごと流されちゃう!!」

 様子をいち早く見抜いたシンジがあわてて叫ぶ。

「……ちっ!」

 キショウが舌打ちしたその瞬間、激しい水流が奥から勢いよく流れ込んだ。

「うわああああ!!」

 水流に押し出され、双子と一匹をいれた氷の球体は、神殿の出口に向けて、勢いよく流されていった……。




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