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双子の魔術師と仮面の盗賊  作者: curono
2章 双子とあやしいお兄さん

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追手

 館内は静まり返って、歩く四人の足音だけがひどく響いた。古代魔法道具博物館というだけあって、館内に飾られている品々は古びたものが多い。古代文字で書かれた巻物や今のデザインとは全く異なる服の数々。魔法アイテムも展示されており、薄暗い館内の中、魔法アイテムがキラキラと館内をほのかに照らしていた。

「こうやって見てみるとなんだかステキ……。博物館って難しそうなイメージだったのに」

 さすがは女の子。ヨウサはキラキラと光る魔法アイテムの宝石や装飾品に目を奪われている。ガラスの向こうにふわふわと浮く魔鉱石は蛍のようだったし、古代人が着ていたという服には魔法が施され、闇の中うっすらとその装飾部分が光っているものもある。

「ここのエリアは日常生活の展示品だね~。今の魔法が確立される前、古代文明時代から今の時代に移るまでの創世記のアイテムが多いみたいだね~。本はどうヨウサちゃん、どこ指してる~?」

 ガイが一言説明し、ヨウサに話を振ると、彼女もあわてて本に目を戻す。

「あ、本はね……この先……ちょっと右の方を差してるわ」

「右の方だと、階段があるね。上には何があるんだろ……?」

 ヨウサの言葉に、いつの間にか館内の案内図を見に行っていたシンジがそう答える。シンジの発言にシンは駆け足で階段に近づいた。薄暗い階段は、窓から外灯が差し込んでいた。間もなく日が落ちて、完全に夜になろうとしている。

「上だべか……。この上には何があるんだべか?」

「この上は機械魔法品の展示場よ」

「……ぬわあああッ!?」

 突然返事をしたのは、シンの隣におかれた真っ白な彫刻だった。額に青い宝石をはめ、白い空虚な瞳でシンを見ていた。予想外の出来事にシンが思わず叫んで後じさると、白い彫刻がまゆを歪ませた。

「失礼ね、せっかく教えてあげたのに」

「すごーい、この彫刻しゃべるんだ!」

 追いついたシンジが彫刻に近づき、興味深々にのぞき込んだ。そのすぐ後にガイとヨウサが追いつくと、ガイがまた首をかしげて彫刻の説明をする。

「すごいね~これ、古代文明の技術と魔法が組み合わされた彫刻じゃないかな~?」

 ガイがそう言うと、彫刻はにっこり微笑んで満足そうに言った。

「あら、わたくしのことずいぶんご存知ね。嬉しいわ。あなた達、こんな遅くに何しているの? 不法侵入でしたら警備魔法を発動するところだけど……見たところ、悪い人たちじゃなさそうね」

 人を見る目があるのかどうなのか、彫刻の女性は上品な口調で言葉をつむぐ。

「そうなんだべ、オラ達、別に悪さをしに来たわけじゃないんだべ。悪いやつが泥棒する可能性があるから、その前にそのアイテムを守ろうと思ってきたんだべ」

 彫刻の発言に安心したシンは、ここに来た目的を手短にそう説明した。その言葉に彫刻の女性は厳しい表情をして見せた。

「いやだわ、泥棒なんて……。わたくしを盗みに来たわけじゃないでしょうね?」

「いや、君じゃないと思うよ。道しるべはこの上を指しているから」

「そう、ちょっと残念ね」

 シンジがそう説明すると、ホントにちょっと残念そうに彫刻はため息をつく。自意識過剰な彫刻のようである。

「彫刻のお姉さん、敵は『闇の石』っていう超古代アイテムを狙っているの。この上の階に、それっぽいものってないかしら?」

 今度はヨウサが口を挟むと、彫刻の女性は上の階を見上げた。

「上の階にありそうな超古代アイテム……? わたくしよりはるか昔のアイテムのことですわねぇ……。二階のものは全てわたくしと同じように、機械と魔法のミックスアイテムで、年期はそこまでではありませんことよ。超古代文明はそれよりもっと古びているものですものね。どれがそれっぽいかしら……。そうね……もしかしたら、二階ではなくて……」

 と、彫刻はそこで視線を四人に合わせる。

「四階の武器の辺りかもしれませんわ。あそこには昔の魔法使い達が使ったとされる武器が展示されておりますのよ」

「四階だべな! わかっただべ!」

「ありがとうお姉さん!」

 双子がお礼を述べた、その時だ。

 バリバリという木の破ける音と共に、激しい破壊音が館内に響き渡った。その直後、館内に赤い点灯が付き、ビービーと耳にうるさい警報が鳴り響いた。

「いやだわ……館内の警備が最大作動しているじゃないの……」

「ええ~ッ!!??」

 彫刻の言葉に、四人は思わず悲鳴を上げる。

「音からして……誰かが無理やり扉をこじ開けて館内に侵入したようだわ……。あなた達の言うように、泥棒さんのようですわね」

「思ったより早かっただな……!」

「なおの事急がないと!」

 シンとシンジが顔を見合わせうなずくと、シンは胸元の魔鉱石に手をかざし呪文を唱える。

飛翔ヒショウ!!」

 たちまち、シンの身体は空中に浮かび上がる。歩くよりも飛んだ方が断然速いのだ。

「あらあら、あなたもやりますわね」

 シンの様子に彫刻が感心して微笑むその隣で、ガイとヨウサも階段を登り始める。

「お姉さん、男の人が着たら、うまくごまかしてもらえる? その人が泥棒かも知れないの!」

 登りながら、ヨウサが叫ぶと、彫刻は微笑んで返した。

「わかってますわ。泥棒さんなんかに道案内などしてあげるものですか」

「お姉さん頼むよ~!」

 ガイもそう叫び、階段を上っていこうとすると、予想外に彫刻の方からまた声をかけてきた。

「お待ちなさい、子ども達。警備が始動しているから、警備用の魔物が出現するわよ。手ごわい闇系の影の魔物よ。つかまったら動けないわ。光系や炎系の魔法に弱いから、うまくお逃げなさいな」

 その言葉にシンがにかっと笑った。

「炎系ならオラの得意分野だべ! 弱点教えてくれてありがとうだべ!」

 そして再び四人は階段を駆けだした。


 ちょうどその頃、博物館入り口には、赤い警報光に照らされた一人の男が肩で息をしていた。足元には粉々になった木製の扉と、巨大な魔物が横たわって伸びている。魔物の全身は傷だらけではあったが、わずかに胸の辺りが上下している。その様子から死んではいないようだ。

「くそっ……時間食っちまった……! なんとしても捕まえてやるぜ!」

 シン達の予想通り、扉を壊して入ってきたのはデュオだった。服装は若干汚れてはいるものの、たいした傷は見受けられない。これほど巨体な魔獣を相手に、ほぼ無傷で敵を打ち負かす程の実力の持ち主のようだ。

 デュオは持っていた魔獣のしっぽを投げ捨てるように放し、手を叩いてほこりを落とす。どうやらこの魔獣を扉に投げつけて扉を破壊したようである。少々肩で息をしながら、赤い目をぎらぎらさせて、男は館内の奥へと目を向けた。

「……さすがに見えるところにはいないか……。館内くまなく探して見つけてやるぜ!」

と、勢い込んで走っていった。――が。

「ぬぁああ! なんじゃ、この絡みつく魔物はッ!?」

 セキュリティの魔物にさっそく捕まっていた。こちらも前途多難なようである……。



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