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第七話 模擬戦

お久し振りです。長い間更新できずすみませんでした。

 生徒会室で会計補佐の仕事を体験した後、召喚したシャドウゴブリンのスキアは結局寮の自分の部屋に連れて帰った。

 というのも召喚魔法で召喚した魔物を元の場所に戻すにはさらに魔法を使用して帰さなければならない。

 帰す分の魔法を使うための魔力に余裕はあったのだが、スキアから母さんからのメモ書きを渡され、”スキアが一緒にいたいみたいだし、あなたは何かに集中すると周りが見えなくなるから寮に一緒に過ごしなさい。あと寮に召喚魔法で呼び出した魔物は部屋に収まる範囲なら寮の部屋に置いて良いらしいし、許可もとってあるから問題ないわよ“とのことだったので、スキアを部屋に置いておくことになった。

 この日は帰って来た時にはもうすでに遅い時間であったため俺はスキアと一緒に食事をしてから寮の風呂に入り、その日は寝たのだった。





 翌日、俺はスキアと朝食を済ませるとスキアにおとなしく留守番していることを頼んで学校へ行ったのだった。

 クラスに入った俺は昨日よりも圧倒的に賑やかな教室に驚き、レイたちのところへ話を聞きにいった。


「皆、おはよう。昨日よりすごく賑やかだけど今日は何かあるのか」


「おはようラフォス。聞いてくれよ。学年別魔武大会が開催されるんだ」


「そうなのよ。もう皆この話で持ちきりなのよ」


「レイ君もシリスも落ち着いてください」


 そしたらレイとシリスが興奮していてユキさんが落ち着かせていました。

 どうやら話を聞くと学年別魔武大会が開催されるらしい。

 魔武大会とは王立魔法騎士学校が行っている生徒同士が魔法や武術を用いて競いあう大会だ。

 学年の始めに行われる大会の参加者は各学年の総数の半分にもならない人数しか参加できなく、この大会が行われている間は全校生の授業は行われない。

 そして、今日は一年生の大会の予選を行うということなので一年生はどのクラスも盛り上がりをみせていた。

 かく言う俺もテンションがかなり上がっているが、昨日会長から聞いた、12階聖の特権により、この大会の本選参加は決定しているため今日はかなり落ち着いていたりする。


「皆~席に着け~」


 フェニクス先生がクラス全員に呼び掛けて盛り上がっていた教室は少しずつ静かになっていった。


「すでに聞きつけている奴もいるみたいだが、今日から学年別魔武大会が開催される。まあ今日は予選だけどな。そして今日の予選は一年生の全クラス合同で行われる。場所は校舎の裏にある森で行う。詳しいことは向こうに着いてから説明がある。特に質問がなければこのまま移動するが質問はないか。それじゃあ移動するぞ。遅れないでついてこいよ」


 フェニクス先生は話終えるとそのままクラスを先導する形で教室を出て、皆はフェニクス先生の話をきいてからさらに学年別魔武大会のことで盛り上がりながら、フェニクス先生についていった。

 俺たちも、特にレイとシリスが魔武大会のことで盛り上がっていた。


「学年別魔武大会の予選ってどんなのだろうな」


「たぶん実践形式のものだとは思うぞ」


「なんでだ?ラフォス」


 レイがこれから行う予選がどんなものか気にしているようなので俺の予想を話すとレイたちはなんで?という表情で俺を見てきた。


「だって、魔武大会は実践形式の大会だって話だからその予選だったら実践形式のものにしたほうが本戦の選手を選ぶんだったら良いだろ」


「確かにそうだな」


 俺の返答に三人とも納得したようだった。


「おーい。ラフォス~」


 突然、とても聞き覚えのある声で俺の名前が呼ばれました。

 その瞬間、俺はすぐに知らぬ振りをしてその場を立ち去ろうとした。

 この声の人物を俺はよく知っている。

 だからこそ、この声を出しているときは俺に何らかの被害があるときだと今までの経験で理解していた。

 だが、立ち去ることはできなかった。

 なぜなら、声の人物はいつのまにか目の前に来ていたのだから。


「ラフォス。どこに行くんだ?」


 とても良い笑顔で、逃亡しようとする俺の腕を掴んで逃がさないとその目が言っていた。


「これはこれはスティーブン様ではないですか。俺はこれから集合場所に向かうのですが、どうかされたんですか?用件でしたら急いでいますので、できれば手短にお願いしたいのですが…」


「それなら問題ない。アリアやシャルロットはもちろん、他の班も大分集まってきているからな。あとはお前で班員は全員揃うからお前と一番親しい俺が呼びに来たわけだ。説明は移動しなからするからついてこい。あと、スティーブン様と呼ぶな」


「そうでしたか。苦労をおかけしました。すぐに向かいますね。場所はどこですか」


 スティーブン様の説明に納得した俺は他の班員を待たせるのは悪いと、場所をきいてスティーブン様から離れようとしたが、さすがに見抜かれているようで場所は教えられずに一緒に向かうことになった。


「ラフォス、お前に聴きたいことが二つあるんだが、なんで俺に敬語を使って、様をつけているんだ?」


 絶対言ってくると思っていたけど、やっぱり言われました。

 普段の俺たちは幼馴染みということもあり、敬語も様付けも特にしていない、というかスティーブンがさせないからだ。

 さすがに他の貴族とかがいる場所では敬語も様付けもしているがな。


「一応学校ですので他の生徒や教師もいますので敬語や様付けをしたほうが良いかと思いまして…」


「そんなことを気にする必要はないだろ。ここは平民も貴族も平等をモットーにしているのだからな。それでもう一つはなぜ俺から逃げようとした」


「俺が何かしらの被害を受けるときによく出す声を出していたから」


 二つ目の質問に俺は即答した。

 これ以外に理由などないのだから当たり前である。

 そして俺はスティーブンにつかまれている腕を見ながらため息をついたのだった。


「そうだったか。だが、俺はこれから演習場で班員同士で実力の確認のたむに模擬戦をするからその相手がラフォスになったことを伝えようとしただけだぞ」


 スティーブンは何気ない表情でその言葉を口にした。


「絶対それですよ」


「なんでだ?」


「だって絶対本気で戦うでしょ」


「当たり前だろ」


 俺の願いむなしく、スティーブンは全力で戦うそうだ。

 なぜ俺がこれほどまでに嫌がるかというと、スティーブンとの戦闘は全力を出さないとこちらがもたないからである。

 スティーブンは魔法属性の中でも特に珍しい、『重力』と『聖』属性が得意なのである。

 だからこそ俺も戦うときは『光』と『闇』属性を全力で使わなければならない。

 まあ、12階聖の第一聖の時点でかなりの実力の持ち主なのは改めて実感していたが…

 そんなわけで俺は逃げたかったのだが、アリアさんやシャルロットさんを待たせているのでしぶしぶついていった。


「ところでスティーブン、今からやる模擬戦はどういう形式のやつなんだ」


 俺は模擬戦から逃げることをあきらめて、気になっていたことを質問した。


「そのことなんだが、あの演習場にはダメージ変換の魔道具があるにはあるんだが使わせてもらえなくてな~。だから普通に生身の戦いになるぞ」


 ダメージ変換の魔道具が使えないとなると本当にスティーブンとの戦闘はやりたくなかった。

『ダメージ変換の魔道具』とは国立の施設の一部にある魔道具である。

 この魔道具は戦闘時の肉体へのダメージを特殊な魔道具に与えて肉体へのダメージをなくす魔道具である。

 さらに戦闘に負けると敗者は自動的に結界の外に転移させられる。

 この魔道具は特殊な魔道具で結界やわ張ったを使った場所でしか使用できない上に、魔道具自体の価格がかなり高いので頻繁に使われることはない。

 特にダメージを変換する魔道具は使用時に使用者の魔力を認識することで、実際の生身の肉体へのダメージと同じダメージを受けるて壊れる仕組みになっているので使い捨てのものになっている。

 そのため模擬戦などではあまり使用されることはない。

 だが、スティーブンとの戦闘はさすがに魔道具なしだと回復魔法が使えるとはいえ明日以降にダメージを残す可能性が高い。

 なので俺は自分の身を守るためにある提案をすることにした。


「スティーブンに提案があるんだが、その魔道具、俺の手持ちの魔道具を使わないか」


「お前の手持ちの魔道具?」


 スティーブンは意外そうにしながらそう返答した。


「あぁ。俺が作った魔道具だ。まだトクソ商会の商品ほど性能は良くないけど問題はないはずだ。それに使わないと明日に響く気がするし」


「そうだな。でも申請とか、個数とかは問題ないのか」


「申請は母さんがしてくれたらしいですし、個数は一先ず三十個はあるので問題ないです」


 俺の返答にスティーブンは納得したのか、歩くスピードを速めて演習場に向かった。





 演習場に着くと、俺たちはアリアさんとシャルロットさんにさっき歩きながらスティーブンと話していたことを話して模擬戦を行うことになった。

 スティーブンとアリアやシャルロットはもうすでにあいさつをすませていたようだった。

 模擬戦は俺とスティーブンから行うことになった。

 俺たちは演習場の戦闘スペースに出て、結界の魔道具を起動させ、俺たち自身も魔道具を着けて模擬戦を始めた。

 スタートの合図はアリアさんが出してくれるようになり、10分経過しても模擬戦が終わらなければ、そこで終了するというルールになった。


「試合開始」


 アリアさんの掛け声とともに俺とスティーブンはそれぞれ手を前にかざして魔法を放った。


「ライトニングブレス」


「ストローキングブレス」


 俺は光属性上級魔法の『ライトニングブレス』を、スティーブンは雷属性上級魔法の『ストローキングブレス』を放った。

  ドゴォォォォン

 その音とともに二つの魔法は互いに正面から衝突し、土煙を上げ視界を奪った。

 雷属性上級魔法の『ストローキングブレス』は『ライトニングブレス』の雷属性版である。

 同じ上級のブレス系魔法であるが、雷属性は光属性に比べ同じ種類の魔法を使用しても魔法自体の速さでは劣るが、威力では勝っている。

 そしてブレス系魔法の特徴は魔法の発動範囲を広げるほど威力が落ち、狭めるほど威力が上がることである。

 そのため俺の魔法はスティーブンの魔法に比べ範囲が狭くなっている。


 土煙が晴れる前に俺は『身体強化』の魔法を使用して、『氷の太刀』で武器を造りスティーブンに突撃した。

 無属性下級魔法『身体強化』は使用者の身体に魔力を循環させ、その名の通り使用者の肉体を強化する魔法である。

 そのため、この魔法は下級魔法の中でも難しい魔法であるが近接戦闘をする者の多くが習得している魔法である。

 氷属性下級魔法『氷の太刀』は名前の通り氷で太刀を造るというものである。

 ちなみに慣れると形を変えられる。

 スティーブンも『風の太刀』を造り俺に突撃してきた。

 スティーブンの太刀による攻撃を太刀で防ぎながら左足で蹴り上げるが、これは距離をとられかわされ、さらに太刀で追撃をするが、かわされ、左手で反撃とばかりに殴られそうになったので、体を反らしてかわし、空いている左手でスティーブンを掴みそのまま蹴り上げる。

 しかし太刀で防がれて殴り返され、さらにそれを防ぐ。

 その繰り返しが三分ほど続いた。

 というか埒があかないのでいったん距離を取るために『フラッシュ』を使用してお互いに距離を取った。


「相変わらず強いな。ラフォスは」


「そっちこそ相変わらずだね。スティーブンも」


 そんなことをお互いに話ながら魔法戦に移行した。


「ストーンバレット」


「ファイアバレット」


 お互いに土属性と火属性の初級魔法『ストーンバレット』と『ファイアバレット』を撃ち合い、無数の石つぶてと火の玉が衝突し合う。


「爆炎弾」


「アクアウォール」


 スティーブンが放った爆炎弾を俺が水属性中級魔法の『アクアウォール』で水の壁を造って防ぎ、氷属性下級魔法の『アイスブレット』で反撃した。

『アイスブレット』は基本属性共通のバレット系魔法の上位互換魔法である。

 今度はスティーブンが火属性中級魔法の『ファイアウォール』を使い俺の攻撃を防いだ。

 そして『サウンド』を放ってから地面から闇属性下級魔法『ダークロック』と氷属性下級魔法『アイスロック』を使い闇属性の紐状の魔法がスティーブンの足を拘束し、その上からさらに氷が覆い拘束した。

 そして再び『ライトニングブレス』で攻撃をしかけるも聖属性上級魔法『サンクチュアリ』によって防がれ、拘束していた魔法も解除された。

 聖属性上級魔法『サンクチュアリ』とは使用者を中心に聖属性の円上の結界を張る魔法である。

 この結界は聖属性を除く全ての使用者を害するものを防ぐ効果があり、特に呪属性や闇属性の魔法には帝級の魔法であっても防ぐことができる。

 さらにこの魔法の範囲内にいるものは自身が受けている悪影響を及ぼす魔法を打ち消す効果もあるため、拘束していた魔法も解除されてしまった。

 そしてこの魔法は一度使用すると、使用者が消すか魔法に使われた魔力が無くなるまで発動し続ける。

 そのため今のスティーブンの表情はかなり余裕があり、弱冠イライラする。

 そんな防御力の上がったスティーブンを攻めあぐねていると、今こそ攻め時とばかりに『爆炎弾』や『サンダーランス』、『ファイアバレット』などの攻撃を繰返ししかけてきた。

 さすがにこの量はまずいので『黒龍の守り』を使い何とかしのいだところでアリアさんからの合図で模擬戦は終了した。


「そこまでです」


 模擬戦終了後に結界の外にでるとアリアさんとシャルロットさんが驚いた顔をしながら近づいてきた。


「二人ともお疲れ様。というかどうしてあんな風に戦えるわけなの」


「そうですよ。魔法だけじゃなく直接戦闘もすごいですし」


 この二人は俺たちの模擬戦の内容に驚いているようだった。


「それはありがとう。そういえばスティーブンは新しくサンクチュアリを覚えたんだな」


「あぁ!試験後に使えるようになってな。今までの練習の成果だな。そっちこそ黒龍の守りを完成させてたじゃないか」


「お前のサンクチュアリには劣るよ。もしかして他にも新しい魔法を覚えたのか?」


「まあね。何を覚えたかは見てのお楽しみだよ」


 嬉しそうに話をする俺たちについてこれず、アリアさんとシャルロットさんは呆然としていた。


「二人とも大丈夫か」


 俺が聞くとびっくりした表情をして返答した。


「その二人の話についていけなくて…」


「私なんてラフォス君より上の第六聖なのにまったく勝てる気がしないもの。いったいどうしたらそうなれるの?それにスティーブン君はサンクチュアリまで使っちゃうし…」


 二人が落ち込みながらそんな話をし始めた。


「二人とも大丈夫?なんかとっても暗いけど」


「あんたたちのせいよ!」


 心配したら怒られてしまいました。

 なんか二人とも俺たちの戦闘を見たら自身をなくしたらしく、どうすればいいのかわからなくなったみたいらしいんだ。


「とにかく二人の戦闘を見ればどうすればいいかわかると思うから、二人の模擬戦を見せてよ」


「そうだな。二人の模擬戦をみれば欠点がわかるな」


 スティーブンからのダメ出しで渋っていた二人も模擬戦をすることになりました。



























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