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第五話 魔法

『この世界には魔法がある。』

 これはこの世界に生きる人間にとっての常識である。


 今行われているのは魔法学の授業だ。


 魔法学とは魔法の歴史から基礎、応用、実戦にいたるまで学ぶ授業である。

 魔法学は俺たちのクラスの担任であるフェリクス先生が授業を行っている。

 今日の授業は最初の授業ということで魔法の基礎知識を確認したあとに実習場を使ってそれぞれの生徒が使える魔法の確認を行うことになった。


「魔法の基礎知識は全員知っていると思うが、まず魔法には属性があり、火、水、風、土、氷、雷、光、闇、聖、呪、重力、空間の十二属性とどの属性にも入らない無属性の魔法に分けられる。そして十二属性の魔法の中でも比較的覚えやすく、多くの人が使う魔法が基本六属性と呼ばれる火、水、風、土、氷、雷の六つの属性魔法になる。残る六属性は基本六属性よりも覚えにくく、使い手が少ない魔法になる。まあ魔法にも相性があるから基本六属性よりも他の属性のほうが覚えやすいものもいるがな。そして魔法には級位と呼ばれる難易度があり、初級、下級、中級、上級、帝級、聖級の六階級に分けられる。このあたりが魔法の基礎知識になる。忘れているものはいなかったと思うが忘れているものがいたら覚えておくように。それでは基礎知識の確認も終わったことだし実習場で各々の得意魔法を確認するから全員っ移動するぞ。ついてくるように」


 フェリクス先生による魔法の基礎知識の確認を終え、俺たちは先生についていき実習場に向かった。


 クラスメイト全員が実習場に出るとフェリクス先生が説明を始めた。


「それではこの授業の説明をするからちゃんと聴いておくように。まず、この授業はこのクラスの今の魔法技能を確認するための授業だ。各々に得意な魔法を使ってもらう。入試のとき使った魔法でもそれ以外の魔法でもかまわないからな。魔法は攻撃魔法なら的に向かって放ってくれ。強化系や妨害系の魔法は実際に魔法をかけて確認する。防御系の魔法は発動させたら俺が簡単な攻撃をして強度を確かめる。回復魔法を使う場合は違うかたちで見るから言ってくれ。魔法は二回見せてもらう。同じ魔法でもかまわないし別々の魔法でもかまわないからな。ここまでで何か質問はあるか」


 フェリクス先生が説明をしたあと生徒全体を見渡すと特に質問をする生徒はいなかった。


「質問もないようだしそれじゃあ開始する。名前を呼ばれたものからこっちに来て使う魔法を俺に教えてから魔法を発動するように。まずはアリアドーナ。使う魔法を言ってから前に来て魔法を使ってくれ」


 フェリクス先生に呼ばれてアリアドーナという女子生徒が前に出た。


「『サンダーランス』を使います。」


 アリアドーナさんは先生に宣言すると的に向かって雷の槍形の雷属性中級魔法『サンダーランス』を使った。

 放たれたサンダーランスは直線の軌道を描きながら的から左に逸れた位置に着弾した。


「二回目は全員、一回目を終えてからにするそれまでは他の生徒の魔法を見ながら休んでいてかまわない。次はカート」


 次々とクラスメイトが魔法を使っていくなか、レイの順番になった。


「『爆炎弾』を使います」


 火属性中級魔法の『爆炎弾』は他の火属性中級魔法に比べ、魔力の消費は多いものの放たれた炎の球体が着弾時に爆発することで中級魔法の中では広範囲に高い威力を及ぼす魔法である。

 レイによって放たれた爆炎弾は的のやや左に逸れて着弾したものの、着弾時の爆発により的を吹き飛ばした。

 これを観ていたクラスメイトは的を吹き飛ばしたクラスメイトがまだいなかったこともありかなり盛り上がっていた。

 レイが俺のほうに近づいてきたので声をかけると


「レイ、お疲れ様。すごい魔法だな」

「ありがとな。ラフォスの魔法ほどじゃないが俺の爆炎弾、凄かっただろ」


 そんなことを話していると、つぎはシリスの順番になった。


「『海獣の守り』を使います」


 シリスが魔法を宣言するとフェリクス先生は


「わかった。魔法が発動したら攻撃するから注意してくれ」

「わかりました」


 シリスは返事とともに水属性中級魔法『海獣の守り』を使った。

 魔法がシリスを中心に球状の水の壁を造りあげるとフェリクス先生が初級魔法『ファイアーショット』や『サンダーショット』で攻撃をしたが特にシリスの魔法に変化はなかった。


「よし。シリス、魔法を解いてくれ」


 先生がシリスに声をかけるとシリスはは魔法を解いた。

 シリスのすぐあとにユキさんの順番になった。

 ユキさんは少し悩むそぶりをしたあとに


「『アクアヒール』を使いたいのですが」


 水属性中級魔法『アクアヒール』は回復魔法である。

 回復魔法は水、光、聖の三属性が使える魔法であり、難易度は同じ級位の魔法のなかでもかなり難しい魔法になる。

 ユキさんの言葉に先生はかなり驚いたようだが、すぐに


「回復魔法は最初に話したように違うかたちでみる。二回目に別の回復魔法以外の魔法をみるから考えておいてくれ。回復魔法の確認はあとで行うときに連絡する」


 ユキさんの番が終わると近くで観ていたシリスと一緒に俺たちのいるほうへ近づいて、シリスが俺たちに向かって声をかけてきた。


「私たちの魔法どうでしたか」

「シリスは防御魔法を使えるんだな。形状も強度もしっかりしていたし、凄かったな。ユキさんは回復魔法が使えるんだな」


 ユキさんにきかれたので俺が答えてると、


「すごいでしょ私の魔法」


 シリスは胸を張りながら自慢してきた。

 そのときに先生から「ラフォス、順番だから来い」と声が聞こえたので俺は先生のほうへ行った。

 先生の近くに行くと先生が俺に対して話しかけてきた。


「これは毎年恒例のことなんだが、新入生の12階聖には各クラスの魔法学で魔法を他のクラスメイトにみせて目標にしてもらえるようにしているんだ。お前にもお願いしたいんだが頼めないか」

「あの、具体的にはどのくらいの魔法をみせればいいんですか」

「だいたい上級魔法を使ってもらえればいい。できれば攻撃魔法だといいんだが頼めるか」

「わかりました」


 先生の話をきいた俺はめんどくさいと思ったが、12階聖となった以上仕方がないと考え返事をした。

 先生の話から上級魔法以上の魔法を使わなくてはならないので少し考えてから入試のときに使った『ライトニングブレス』を使うことにした。


「先生、ライトニングブレスを使います」


 先生に宣言してから俺は的に対して光属性上級魔法『ライトニングブレス』を使用した。

 俺の魔法は的に向かって直線に進んでいき的を破壊した。

 上級魔法を使ったことでレイのときよりも多くの驚嘆の声があがっていた。

 レイたちのところに戻っている間もその声は止まず「すごい 」や「どうやって撃ったの」などの声が多くきこえた。

 俺がレイたちのところに戻ると


「相変わらずすごい魔法だな」

「本当に上級魔法を使えたのね」

「ラフォス君凄かったです」


 と、三者三様の出迎えだった。


「ラフォス、お前の魔法前よりも威力が上がってないか」


 レイが俺にたずねてきたので考えてみると母さんによる特訓によって以前よりも魔法の威力が上がっていた。


「合格が決まった後に俺の母さんが俺を特訓してくれたからたぶんそな結果だと思うよ」


 俺が特訓のときを思い出して若干顔をひきつらせながら答えた。


「ラフォス君のお母さんは戦闘職の方なんですか」


 ユキさんからの質問に俺は首をふりながら


「違うよ。母さんは魔道具職人なんだ」

「え、そうだったの。すごい。誰なの」


 俺が母さんのことを魔道具職人だと話すとシリスはものすごい勢いで俺に質問してきた。


「母さんの名前はルリア・トクソだよ」


 母さんの名前をきいたとたんシリスは顔を輝かせながらさらに接近してきて、


「ほ、本当。ラフォス君のお母さんがあのルリアさんって本当なの」

「シリス、落ち着け。本当に俺の母さんはルリア・トクソだよ」


 俺の返事をきいたシリスは今度は喜びの声をあげ始めた。

 訳がわからない俺は事情を知っているであろうユキさんに質問した。


「ユキさん。シリスはどうしてあんなに喜んでいるんですか」

「少しすれば落ち着きますよ。シリスにとってラフォス君のお母さん、ルリア・トクソさんは憧れなんです」

「あ、憧れなのか。あの母さんが」


 ユキさんの言葉に俺はかなり驚いてしまい、多少とりみだしながら聞き返した。


「ええ、ルリア・トクソさんはまだ発展途中である魔道具界を女性でありながら先導している方ですから、活躍する女性を目指しているシリスからしたら目標にしたい女性だからいつも目標にしているんですよ。だからシリスの使っている武器もルリアさんの作られた魔道具を使っているんですよ」

「そうなのか。じゃあ家の商会にも来ていたんだな」

「ええ、何度か私も一緒に行きましたし、シリスは結構通っているみたいですよ」

「それは嬉しいことだな」


 俺たちが話をしていると「レイ。二回目の魔法を見るからきなさい」と声がかかったので俺たちは再びクラスメイトの魔法を観ることにした。

 二回目の魔法の確認では、ほとんどの生徒たちは一回目と違う魔法を使っていたが一部の生徒は一回目と同じ魔法を使用した。

 レイも一回目の『爆炎弾』ではなく、同じく火属性中級魔法の『ファイアーランス』を使用した。

 今度は魔法が的に見事的中し、的を破壊した。

 その後にシリスやユキさんも呼ばれ、シリスは風属性中級魔法の『風獣の守り』を使って先ほどの『海獣の守り』と同じ防御力をみせ、ユキさんは氷属性中級魔法の『アイスマン』を使い、子どもサイズの氷の人形を造り出した。

 俺も一回目とは違う闇属性上級魔法の『黒龍の守り』を使用した。

 クラス全員の魔法の確認が終わったところでフェリクス先生がクラス全員を集めて話を始めた。


「皆、今日はお疲れ様。これで互いにクラスメイトの魔法の実力を把握できただろう。学校が始まって一週間の間は一日一種類の科目のみの授業が行われる。これは来週のはじめから行われる行事の準備のためだ。お前たちにとても関係あることだから楽しみにしておくように。放課後の実習場の使用については実習場の入口にいる係に申請すれば使用できるから使用する場合は忘れないように。あと、今日から三週間に渡って部活動や委員会の見学や体験が可能な期間になるから気をつけて見学するんだぞ。原則としてどれか一つには所属してもらうから考えておくように。これで今日の授業は全て終了とする。このまま放課後とするから自由に帰ってもらってかまわない。それでは解散」


 フェリクス先生の発言で俺たちの初日の授業は終わったのだった。












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