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「あっ、高宮先生!」


 入ってきたのはまだ見ぬ部長......ではなく俺達の担任、高宮先生だった。入学式の時は美人女教師ということで、ババアが担任になった隣のクラスから羨ましがられたものだ。

 ちなみに俺が今日聞いた情報によると歳は30くらいだが未だ独身らしい。意外だ。

 だが担任がなんでこんなところに?


「お、水上と倉重じゃないか。入部希望か?」


 そう聞かれた俺はまだポカーンとしていた。きっと顔にはクエスチョンマークが並んでいたことだろう。


「ええと......なんで先生がこんなところに?」


 呆然としている俺の代わりに響が聞く。


「ああ、私は文芸部の顧問だ」


 何だって!? 高宮先生が顧問!?


「まあ、部員が5人集まらないと廃部になってしまうんだけどな......」


 意外だ......文芸部の顧問をやるようなイメージはない。


「で、お前ら入部するのか?」


 響がすかさず答える。


「はい。するつもりです」

「そうか。それは良かった。これであと1人だな」


 という先生はあまり安心してる様子ではなくむしろ遠くを見つめている。......もしかして顧問しなくない?


「今日は小笠原来てないのか」

「はい。まだ来てません。昨日来ると言ってたのでもうすぐ来ると思います」


 その時、また扉が開く。


 入ってきたのは......メガネを掛けてる女の子だった。この人が唯一の去年からの部員、小笠原先輩か。


「おお小笠原、いいタイミングに来た。新入生が2人入る気があるそうだぞ」

「あ......先生、こんにちは」


 と言ってからこちらの方を向く。


「あなた達が入部希望の新入生?」

「はい。そうです。倉重 響といいます」

「水上 太一です」


 響に続いてさっと付け加えておく。


「この2人は私と同じクラスなんです」

「そうなんだー。よろしくねー。私は文芸部部長、3年のの小笠原 咲希(さき)っていうのー。」

「「よろしくお願いします」」


 そういう先輩も先生同様、喜んでいる様子はない。何故だろう? まあ先生と違って歓迎はしてくれているが。


「それで先生、入部届けってどうやって出せばいいんですか?」


 響は俺が聞くより早く何でも聞いてくれる。


「ああ、入部届けなら私が今度紙渡すからそれに名前書けばいいよ」


 そんなテキトーでいいのか......


「この学校は兼部できるし、いつでも入部できるし部活に関しては自由だからな」


 そう言った後、先生は部長を見て言う。


「じゃあ私はもう帰るから、あとは頼んだぞ」

「はい、わかりました」


 先生はちらりと腕時計を見てから長い髪をたなびかせて出ていった。

――何しに来たんだ?


「うちは顧問いるだけだからー。特に何もしないよー。活動の方も特に何かしてる訳じゃないの。文化祭の時に出す部誌を作る以外は自由だねー」


 と部長が笑って話す。


「私がやってるのも小説を書くことくらいかなー」

「小説ですか? どういう系のを書くんですか?」


 響は興味津々と言った感じで目を輝かせている。


「ミステリー系だねー。推理ドラマとか好きなの」


 この雰囲気でミステリー系書いてるのか......? 意外と腹黒だったりするのか......



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