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「太一と同じクラスかー。高校の授業楽しみだな」


 俺の隣を歩いているのは俺の親友、倉重 響だ。こいつを簡単に紹介しろと言われたら顔が広いというのが真っ先に出てくる。

 響は俺が知らない間にいろいろな人と話していて、俺は初対面の人から「倉重君の友達だよね?」とよく言われる。ようするにコミュ力が高いのだ。人に話しかけるのを躊躇ってしまう俺からすると羨ましい限りである。

 親友、なんて言ってるだけあってこいつとは家が近く小学校どころか幼稚園から一緒だ。まさか高校まで同じになるとは思いもしなかったが。


「同じクラスなんて久しぶりじゃないか?」

「うーん? 中1以来かな?」


 今日は高校授業最初の日、学校に向かっている最中である。うちの高校は成績はそこそこ、立地も駅から徒歩15分くらいの普通の高校だ。


「そういえばこの春休みなんかあった?」

「特になかったね」

「ふーん....僕も特になにもなかったね。まあ中学卒業したし、会うのは友達くらいだからね」


 特にないと答えたものの、なにもなかったわけではない。そう、ボトルメールである。

 俺はまだ返事を書いていない。このまま見て見ぬ振りしようか......とも考えたが俺自身、送り主がどんな人か気になる。もうすぐ1週間たつし、返信してみるか......


 このまま悩んでいてもしょうがないと思った俺は話題を変える。


「話変わるけどお前は部活どこ入るの?」

「んーまだ決めてないかな。けど運動部には入る予定ないね」


 ちょうど俺も運動部に入る気はあまり無い。


「そうか....俺もまだだから一緒に部活探す?」

「いいよーどこ行くの?」


 これで部活見学を1人で回る必要がなくなった。一安心......


「ええと........」


 なんて喋っているうちに、校門についた。

 俺は、眼前に迫った今日から通うことになる高校を見つめる。俺の高校生活、どうなるんだろうか....なんて不安と期待を胸に抱きながら。





 ***





 窓の外をみると、青空が広がり、太陽が少し下がってきている。校庭にある満開の桜が綺麗だ。そう、今は授業が終わった直後だ。この後はHRがあるらしい。

 突然だが、俺には彼女はいない。なぜ彼女がいないのかというと、単純にモテないからだ。好きな子はいたが、付き合うことはなかった。しかし、自分で言うのもなんだが、そんなにイケてないわけじゃないと思う。イケメンなわけでもないが...... だから俺は高校生になって彼女を作ろうと努力することにした。

 そんなわけでいろいろ考えた挙句、俺は後ろに座っている女の子にしゃべりかけてみたのだ。


「中学の時何中だった?」


 こんなベタな話題しか思いつかなかったことからわかる通り、自慢ではないが女の子とのコミュニケーションは得意ではない。俺にはラブコメでよくあるようなツンデレ幼なじみもいなかったし、そもそもしゃべる場面があまりなかった。....これじゃモテる要素ないわな。


「私? 私は東中だよ。そっちは?」

「俺は西中。1年間よろしく」

「よろしくねー。あ、そうだ。LINE教えてよ」

「え?」

「取り敢えずクラスのグループ作ろうと思って。それでみんなのLINE集めてるの」


 こんなことでもドキッとしてしまう自分をどうにかしたい。LINEを交換しながら顔をよく見ると、可愛い。まだパッと見たくらいだが学年で1、2を争うレベルかもしれない。ハーフアップにしている髪型が似合ってる感じがいい。


「じゃあ適当になんか送るから友達追加しといてねー」


 そう言い残して、他の人のところに行ってしまった。


 ーーと同時に横から声が聞こえた。

「水島さんって可愛いよね」

 響、いつの間に横に!?

「いや太一が水島と喋ってたからちょっと観察を」

 見られてたのか......

「まあ可愛いから厳しいかもしれないけどがんばってね」

 さっき初めてしゃべったばかりだよ....なぜそうなる......

「そういやHRって何するんだろ?」

 学校ものお決まりの学級委員決めるとか?

「僕もそんな気がする....おっ先生きた」



 その後のHRはやはり学級委員決めだった。選ばれたのは何故か中学の時の同級生に成績がいいと推薦された俺と、同じく中学の時の同級生に推薦されたらしい後ろの水島だった。

 やりたくなかったかと言われればそうではないが、やはりめんどくさい。まあ水島しっかりしてそうだし、大丈夫だろ....

 なんて思ってたらLINEが来た。

『学級委員同士、よろしく!』

 なんて返事しよう......



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