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魔物転生~天空の覇者~  作者: 雨瑠流
第1章 魔人たちの宴
4/9

4話

出発して体感で数日が経っただろうか。

俺は今になってもゴブリンの村が見つからず、森の中を彷徨っていた。視界に映るのは木、木、木、木。木々ばかりである。

冒険のノウハウを俺は知らないから、探し方が悪いかのかもしれない。だから、当てずっぽうで探すしかない。

食料は少しずつ食べてはいるが、残りはあとわずか。途中で魔物を殺してその肉も食べてはいる。火魔法は使えないから、ずっと生肉だ。・・・・焼肉が食いたい。


「村はどこにあるんだ!」


叫んでも村がこっちに来るわけではないが、叫ばずにはいられない。

がっくり、と崩れる。これでいったい何回目か・・・。


「バカやってないで、また探すか。今度はどこ探すかな」


木の枝を立てて倒れた先を探す。まさに適当である。

近くにあった木の枝使い、倒れた先は――――俺の後だった。


「ふむ。来た道を戻らないといけないか」


来た道を戻ることはせず、倒れた先の反対側―――正面側に行く。



数分ほど歩くと一匹の魔物と出会う。以前、俺の食料となった魔物と同じだ。


 名前:


 種族:一角猪(コルグボア)


 階級:魔物「下位」


額に立派な一本角を持っており、体長は二メートルほどだ。突進するしか能がない。突進の威力はあるが、脚を踏みならして仕草があるため、避けるのは簡単だ。


目の前にいるコルグボアは俺と出会い、脚を踏みならし突進する準備をしている。しかし、突進する前に俺は一瞬にして移動し、爪牙で仕留める。すぐに首を斬り落とし、血抜きをする。詳しい血抜きの仕方は分らない。生憎とそういう知識は持ち合わせていなかった。


血抜きが終わった後は、適当に切り分けアイテムボックス(巾着袋)に入れる。


今のステータスはこうだ。



 名前:


 種族:小鬼(ゴブリン)変異種


 階級(ランク):魔物「上位」


 成長(レベル):1


 技術(スキル):「眼」 (壱眼(いちがん)弐眼(にがん)) 「爪牙」「覇気」「気力」



数日経った今でも変わらなかった。魔物を殺してもレベルすら上昇しない。たぶん、原因は相手のランクが魔物「下位」と低いからだ。魔物「中位」・「上位」だったら上がるかもしれないが、「下位」では上がらないのだろう。レベル「100」になるのはいつになることやら・・・。


とにかく、今は魔物「上位」「中位」と村探しに重点をおいて行動しよう。




・・・・



・・・



・・



数日後、まだ村は見つからず彷徨っていた。

魔物も見つからず、レベルの上昇もない。そんなに都合よくはいかない。テンプレ通りならもう見つかっているはずだ。なのに今だに探し続けている。

がっくり、と崩れる。もう、何度目かも分らない・・・。


ふと視線を上げると木の陰に家らしき物影が見えた。


「お、おおお?やっと、見つけたか!?」


意気揚々と行くとそこで見たのは、豚だった。

デップリと太った身体。二メートル近い巨体。豚の頭。二足歩行。手には重量のありそうな棍棒。

まさに獣豚(オーク)だ。



ステータス


 名前:


 種族:獣豚(オーク)


 階級:魔物「中位」


 技術:



乱立にボロ家が建っており、二桁にとどくほどのオークがいる。

まだ、一匹も俺がいることに気付いていない。

これだけのオークを殺せば、どれくらいレベルが上がるか・・・。


「まずは一体と戦ってみて強さを見てみるか」


村の付近を探すとちょうど周りにはおらず一体しかいない奴がいた。


「ちょうどいい。あいつと戦ってみよう」


背後から近づき、気を纏い爪牙で胸を一突き。たやすく、心臓を貫く。手ごたえがまるでなかった。


『レベル「1」⇒「2」にレベルアップしました』


「よし、レベルアップした。やっぱり、想像通りだったか」


その村の外にいたオークたちを一匹ずつ殺していく。

ボロ家の中も一つずつ確かめる。オークはいなかったが女が数人いた。だけど、正常の精神状態ではなかった。お腹も大きくなっている。オークたちの子供を産む床となったのだろう。一思いにその場にいた女たちも殺していく。

レベルはオークと女たちを殺したことで「20」まで上昇した。


よく、小説などの創作物ではオークの肉は美味いと聞くがはたしてそれは本当なのか嘘なのか。

さっそく、オークの頭を切り落として血抜きをする。十体もいらないから半分の五体ほどにしておく。


血抜きが終わったオークの肉を切り分け、一切れだけ食べた。

美味い。・・・美味いが頬が落ちるのほどの美味さはなかった。・・・・生肉だからこの美味さなんだろうか。やっぱり、焼肉が食いたいと改めて思う。


残りの四体分の切り分けも終わらせ、アイテムボックスに入れる。


「さて、思わぬ収穫もあったし、また村探しだな」




・・・・



・・・



・・



薄暗い森の中を延々と歩く。

また、あれから数日が経っていた。

食料はまだ十分にあるが、変わらない景色、森の中を延々と歩く作業。

退屈であり、苦渋に満ちており、ただ精神だけが鍛えられる。

そして、精神を鍛える中で現れる魔物。

今も目の前に数体木の陰から現れた。ついこの間倒したばかりの犬っころたちだ。



 名前:


 種族:赤闘犬(ルーガウルフ)


 階級:魔物「下位」


 技術:



階級も「下位」だからレベルの上昇もなく、連携があるから面倒な相手だ。

真っ赤な毛並みを持ち、大型犬のような体格。連携を駆使して獲物を狙う。その連携が厄介だが、その群れのリーダーである頭を倒してしまえば簡単に総崩れだ。

一度、肉を食べたが不味かった。とても食えるものではなかった。


群れの一匹が襲ってくる。その後ろには四匹が続く。最初に来た一匹を交わし、すれ違い様に一撃で仕留める。正面と後、左右を続く四匹に囲まれる。囲まれるが、正面の犬っころを仕留めて正面に抜ける。三匹は囲みを抜けた俺を追うが遅かった。リーダーを殺された犬っころたちは散り散りに逃げる。


レベルも上がらず、肉も不味い。ただ、労力を消費しただけだった。


ため息をつきながら、歩いていると目の前に家らしきものが見える。


「お、おお!?また村か?今度こそゴブリンが出てこいよ・・・」


弱いゴブリンなんかは無視しても良いのだが、なぜかそうは思わなかった。自分の中で何かケジメでもつけたいのか・・・。自分のことなのに、よくわからん。


結論から言うと、そこはゴブリンの住家だった。・・・やっと、見つけた。


早速、外にいるゴブリンと家の中にいるゴブリンと次々と皆殺しにしていく。外にいるのはすべて「下位」だ。

そして、一つの家の中に入ると奥の扉を守るように二匹のゴブリンが佇んでいた。


「キサマハ、ダレダ!?」


「ココヲトオスワケニハ、イカナイ」


その二匹は片言ではあるが、言葉を発した。確認すると、二匹共に「中位」となっていた。この二匹が命令を聞いているのであれば部屋の中にいるのは「上位」または「中位」のレベルが高いやつか・・・。


「貴様らに用はない。通らせてもらおう」


俺は歩みを止めることなく、扉に向かう。


「ム?ムリニデモココヲトオルカ!?ナラバ、キサマヲシマツスル」


傍に置いてあった錆びた剣を取り、襲いかかってきた。剣を振るうが拙い剣術だ。

まだ、人間の方が上手かった。

剣を避け、手刀一撃で首の骨を()し折る。もう一匹の剣も避け、同じように手刀を叩きこむ。


悠々と歩き、扉を開ける。

室内にこもった熱気と異臭が勢いよく外へ溢れ出る。

そこで見たのは想像通りの光景だった。こちらに背を向け、腰を一生懸命振っていた。夢中でしているのであろう。扉を開けた俺に気付かず、今も楽しんでいるようだが・・・・。

こちらは見ていてあまり面白いものでない。


背後から胸を一突き。心臓を貫く。


「ぐふぅ!貴様ァアア、何者・・・!?」


俺に気付いて振り返ったが、遅い。気を纏った手刀で首を圧し折る。


『レベル「20」⇒「25」にレベルアップしました』


部屋の中を見渡すと二十人近い女たちがいる。その中に俺を生んだ女もおり、すでに腹が膨らんでいた。

オークのところでもそうだったが、こうなった場合もう精神が壊れてしまっている。

「ころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころしてころして・・・・」

うわ言でもう死を望んでいる事しか言わない。


聞いているこちらがうつ病になりそうだ。


女たちを一人一人殺していく。死を望んでいるのだ、それくらい叶えてもいいだろ。



今日はこの村で過ごそう。ボロ家だが綺麗な床があったはずだ。


腹ごしらえをして横になり、意識が徐々におちていく。




・・・・



・・・



・・




「ギャギャギャギャギャ」


「いやぁああ!離してぇ!!」


「ギャギャギャ」


「ギャガギャガギャガ」


ゴブリンの声が聞こえる。少女のような声もゴブリンの声に混じって聞こえる。


・・・・ゴブリン・・・?・・・・・おい、ちょっと待て!村にいたゴブリンは俺が全部始末したんだぞ!いるはずがないだろ


沈んでいた意識が一気に浮上する。



状況を確認するとたしかにゴブリンの声だった。五匹はいる。少女を連れているということは俺が来たときは住家の外に出ていたのだろう。


「いやぁあああ!やめてぇええええ!」


拒絶し、抵抗するが意味がない。ゴブリンは最下位に位置するとはいえ魔物なのだ。力は強い。

抵抗もむなしく服がビリッと破られる。


「助けてよぉおお!誰か助けてぇえええ・・・」


・・・外でやるのか・・・?マニアックだな、おい。どうするかな・・・。助けてやる義理はないが・・・。まあ、あいつらのせいで俺の睡眠を邪魔されたんだ。その仕返しくらいは許されるだろう。

俺はここで助けてよかったと後になって思うことになる。ここが、一つの転機だった。


「助けてぇえええ!お父さん、お母さん!!」


一つの影が駆け、手刀一撃。それだけでゴブリンの首はたやすく折れる。計五回放つ。

戦闘とは呼べない一方的な虐殺行為。数秒で終わってしまう。


少女はこちらをボーッと見ていた。


「おい、大丈夫か?」


「ひッ!」


悲鳴をあげた。それもそのはずだろう。色は違うが俺はこいつらと同じゴブリンなのだから。


それによく見ると目の前にいる少女は幼女と呼んだ方がしっくりくる。まだ、十歳にも満たない容姿と身長も約一メートルと俺と同じくらいの幼さ。まさに幼女だ。どこぞのロリコンは喜びそうだ。


この幼女はエルフだろう。耳が長い。エルフの特徴がこの耳だ。それに端正な顔立ち。肩口で切られた艶のある緑の髪。透き通るような綺麗な青い瞳。将来は美女になることだろう。


俺はアイテムボックスからローブを渡す。


「これでも着ていろ。その格好だと寒いだろ?」


さっきのゴブリン達のせいで服は破れている。


幼女は恐る恐るローブを受け取り、羽織った。


「お前、名前は?」


「・・・・・るーなてぃにてぃ・はーずてんだー、七歳・・・です」


幼女はおどおどしながらも答える。



・・・何だ、この可愛い小動物みたいなのは!



ステータスを見てみる。


 名前:ルーナティニティ・ハーズテンダー


 種族:森族(エルフ)


 階級:10


 技術:魔法



となっている。


「ルーナティニティ・・・。長いな、ルナでいいか?俺は・・・ただのゴブリンだ」


ルナはコクンと頷き、「ゴブ・・・くん?」と首を傾げる。


この可愛い幼女をお持ち帰りしてはダメだろうか・・・。


・・・ぐぅ


ルナのお腹がなる。恥ずかしいのだろう。ルナは顔を朱く染める。

その様に自然と笑みが出る。


「火の魔法は使えるか?」


「・・・え?」


「火の魔法は使えるのか?使えたら肉を焼くぞ?」


「つ、使えるけど・・・でも、お肉は・・・」


「エルフだから食えないのか?」


「う、うん・・・。エルフは森と生きる人だから野菜類を多く食べなさいって、お父さんとお母さんが言ってた。それに火の魔法も木を焼くものだから使うなって・・・だから・・・」


「でも、今はエルフの里じゃなくて外にいるだろ。だから、今は大丈夫だ。それに野菜だけ食べても身体に良いとは言わないぞ」


「そうなの?」


「ああ。だけど、肉だけでもダメだ。野菜と肉の比率が大事だ」


「ひ、りつ・・・?」


ルナは頭にハテナマークをつけ、首を傾げる。


「ルナにはまだ難しいか」


「よくわかんない」


「そうか。焚火しないといけないから枯れ葉と小枝を拾ってくるか」


「うん」


可愛いルナを一緒に連れて枯れ葉と枯れ枝を拾い集める。

できれば、松ぼっくりや杉の枝なんかがあれば火をつけやすいんだが、さすがになかった。

チラリとルナの方を見ると枯れ枝ではなく生木の枝を拾っていた。


「ルナ」


「なに?」


ルナにどんな枝を拾えばいいのか教える。


「生木はダメだ。それは多くの水を吸っているから火がつきにくいんだ。だからこのいう枯れ枝がいいんだ」


手に持っていた枝を見せ、説明する。


「そうなの?」


首を傾げる。いちいち、可愛い仕草をする幼女である。


「そうだ」


「わかった」


そして、素直で聞き分けの良い子である。

誰か悪い奴に誘拐されないか心配である。まさに今、俺が誘拐しているのか・・・?

そんなこんな考えながら集め終わる。


「じゃあ、ルナ。火をつけてくれないか?俺は魔法が使えないから」


コクリと頷き、了承する。


「まずは枯れ葉に火をつけてくれ。そのあとは俺がするから」


ルナは目を閉じ、一度大きく深呼吸する。そして、


「“火よ(ファイア)”」


指先に火を灯し、枯れ葉に火をつける。


それからは俺の出番だ。いくつもの小さい枯れ枝をくべて火を強くしていく。ある程度まで強くなれば大きめの枯れ木を投入する。しばらく待つと火も安定し、消えることはなくなった。


さきほどルナが拾った生木を肉に突き刺して刺し棒する。そして、火に近づけ焼いていく。


数分もすると香ばしい匂いがしてくる。今焼いているのは、オークの肉だ。


ルナはキラキラした眼差しで凝視し、涎を垂らす。



さらに時間が経ち、ついに出来上がる。

出来立てをルナに渡す。


「い、いいの?」


「ああ、いいぞ。ルナのおかげで食えるんだからな」


「うん。いただきます!」


ガブリと齧り付く。肉汁を口から滴らせながら夢中で食べる。


「美味しいぃ!」


「そうか。それはよかった」


俺も早速出来上がったものを食べる。かなり美味かった。


その後も二人で他愛無い話をしながら食べ続ける。



食事も終わり、ルナは船を漕ぎ始めていた。


「ルナ、少し寝たらどうだ」


「・・・うん。そうする」


目を擦りながら横になり、数分で寝息を立て始める。


ルナがエルフの里をいつ抜け出したのかは分からない。でも、こんな魔物いる森を一人でいては気が休まることはなかっただろう。今この時くらいは安心して眠らせてあげたい。

ルナの頭を撫でると気持ちよさそうに表情を崩す。


火の面倒を見ながら魔物の襲来に警戒する。




・・・・



・・・



・・



数時間後


「・・・・おはよ~ぅ・・・ゴブ・・・くん」


目を擦りながらそんなことを言ってくるが、まだ完全には目覚めていないようだ。


「おはよう、ルナ。一応、朝飯あるぞ?」


「・・・う~ん・・・食べる」


薄くスライスした肉に木の実あとは人間たちから頂いたアイテムボックスの中に野菜があったのでそれも少し出している。


ルナは寝ぼけながらも飯はきちんと食べている。



食事も終わる頃にはルナも目が完全に覚めていた。


「ルナ。お前をエルフの里まで送るぞ」


「・・・え・・・で、でも・・・」


「勝手に抜け出したんだから、怒られるのは当然だぞ。帰ったらちゃんと親に謝れよ。心配してると思うぞ」


「・・・うぅー・・・」


「まあ、俺もエルフの里にしばらくいるつもりだから会えなくなることはないと思う」


「本当に!?」


「ああ、魔法を学びたいからな」


でも、エルフの連中が許してくれるかは分かんないんだよな。


「じゃあ、そろそろ行くか」


「うん」


にこにこ顔のルナと手を繋いでエルフの里に向かう。





現在のステータス


 名前:


 種族:小鬼(ゴブリン)変異種


 階級(ランク):魔物「上位」


 成長(レベル):28 ※ゴブリンのところで女たちを殺したことにより「3」レベルアップしている


 技術(スキル):「眼」 (壱眼(いちがん)弐眼(にがん)) 「爪牙」「覇気」「気力」





次話はエルフの里に行きます。

だけど、その前に一悶着が・・・・!?


前の話の後書きで魔人になってからヒロインを出すと書きましたが、一応ですがルナはヒロインの一人です!(>_<)

もちろん、記述したように魔人になってからもヒロイン出します。

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