04:可愛い彼女と森でデートをした
誤字を修正しました。
夏休み、多くの生徒達は家族のもとで過ごす。
ルームメイトが寮に残るので、リルも前半は彼女に付き合って学園にいるようだ。
夏休みだからといって油断は出来ない。
リルに惑わされる輩が、相変わらず後を絶たないのだ。
潰しても潰しても、蛆虫のように湧いてくる。
そろそろ簡易のものではないきちんとしたマーキングを残さなければいけない。
その日、リルは宿題をする為に、一人で大きな籠を持って朝から学園の近くの森に来ていた。
一心不乱に植物を摘んでいる姿も可愛らしい。
「リル?」
「うわぁ!!」
思わず声をかけてしまったが……驚かせたようだ。
「会長はこんな所で何をされているのですか?」
「散歩。よくここに来るんだ」
「そうなんですね。私は野外研究で使う植物を集めていたんです」
知っているよ。
君のルームメイト経由のユンナ経由で情報を聞いたから。
さて、さっさとマーキングしてしまいますか。
俺は屈んでリルの持っている籠に顔を近づける……フリをして彼女の首元に狙いを定める。
「通りで、良い匂いがする…………ホント、美味しそうだよね……」
リルの香りはとても魅力的で美味しそうで、俺まで当てられそうになる。
「へ?この植物は食用じゃないですよ?」
可愛いなぁ。自分の事だって気付いていないところが特に。
リルの首元に顔を近づける……あ、まずい……理性が飛びそう。
彼女の白い滑らかな首筋から、目が離せない……はぁ……このまま噛み付きたい……っ。
「!」
首筋に触れるギリギリの所で……理性が戻った。
危ない危ない、襲いに来た訳じゃなくて、マーキングしに来たんだ。
こんなところで彼女を失う訳にはいかない。
彼女は俺の隷属にすると決めているのだから。
リルの綺麗な首筋に息を吹きかける。
……これでよし、マーキング完了。
しばらくすると所有印が浮かび上がってくるだろう。
「あ、あの……会長?」
リルがいつまでも首筋から顔を話さない俺を訝しんでいる。
「……冗談」
俺は顔を離すと、彼女の頭を軽くぽんぽん叩いた。
匂いの方のマーキングも強化しておこう。
「一人で森に来るのは危ないよ」
俺みたいなのがいるからね。
「……気をつけます」
「残りの植物を探すの、手伝うよ……俺も一年の時にやった課題だから」
彼女と一緒にいられる口実なら、何でも良い。
俺はその日一日を幸せな気分で過ごした。
それからというもの、校内でリルを見かける度に声を掛ける様になった。
彼女もだんだん俺に慣れてきたみたいで、たまに話しかけてくれることもある。
……計画通りだ。
リルを付け狙う命知らずな輩は、あれ以来だいぶ減っている。
ダブルでマーキングをしているから、俺の物も同然だしね。
実はリル編のタイトルと若干リンクさせています。
ただし、リルとリヒト会長では認識のズレがございます。