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01:入学式で美味しそうな女の子を見つけた

ノワール・シュヴェルツェ学園シリーズ会長編です。

真相が分かります。

 ――この娘が欲しい


 彼女を見た瞬間に、唐突にそう思った。



 鬱蒼とした森の中に、限られた生徒達が通う学園がある。


 ――ノワール・シュヴェルツェ学園


 全寮制で、閉鎖的な学園。

 名前は知られているが、学園内がどうなっているのかは謎に包まれている。

 不思議な学校と呼ばれているが、実際のところ……

 この学園はただの「吸血鬼の餌場」だった。


 その日は、入学式だった。

 何も知らない人間達がぞろぞろと学園内の講堂に集まっている。


「うふふふふ、今年も美味しそうな子が揃っているわね……」


 俺の隣では、生徒会副会長のユンナが目を爛々と輝かせて新入生達を物色している。

 彼女も勿論吸血鬼だ。


「ユンナ、ヨダレが見えてる……せっかくの外見が台無しだ」


 前では、教師が長々と演説している。

 この後、生徒会長としての挨拶が待っている。

 毎年とはいえ、面倒くさいことこの上ない。


 適当に壇上で挨拶していると、どこからともなく良い香りが漂って来た。

 今までに嗅いだ事のない、甘くて芳醇な血の匂い……

 匂いだけで酔いそうだ。


 挨拶を済ませ、階段を下りると、次に挨拶する新入生代表の女生徒と目が合った。

 サラサラの金髪ロングヘアの美人で小柄な女の子だ。

 見るからに緊張でガチガチになっている。


 今年の主席か、初々しいな。


「頑張って」


 声を掛けると、女の子は真っ赤になって返事をした。


「は……はい。頑張ります!」


 うわぁ、可愛いな……あれ……?


 先程から気になっている香りが、彼女から発されている事に気付く。

 やばい、ユンナじゃないけどヨダレが出そうだ。


「今年の新入生、やっぱりレベル高いわね」


 見ると、ユンナがジュルリと舌なめずりをしていた。

 ギラギラしたユンナの目は壇上を向いている。


「あの子は俺が貰うから、手を出さないでよ」


 気付いたら、口が勝手に動いていた。


「あらまあ……」


 ユンナは悔しそうに、でも半分面白そうに俺を見た。


「アンタがワザワザ狩りをするなんて珍しいですこと」


 ユンナが引いてくれてよかった、さもないとお互いに血の雨を流すところだった。 

 俺は早速彼女にしっかりとマーキングした。



 マーキングとは、吸血鬼達が獲物に対して付ける印だ。

 俺の獲物だから手を出すなよ……という目印の役割を果たす。


 マーキング方法は二種類。

 標的と距離が会っても行える簡易的な匂いによるマーキングと、目標に近づかないと出来ない所有印によるマーキングだ。

 俺が、彼女に行ったのは前者の方。


 なるべく警戒されたくなかったので、所有印はもう少し親しくなってからにしようと思う。




 リル・グルナード、一年生の主席でモスリン出身……。

 生徒会室で彼女についての情報を調べていると、いつもの様にユンナが絡んで来た。


「やだきもーい、ストーカー?……職権乱用して生徒名簿までのぞいちゃってさぁ」

「何言ってるの?気になる子について調べようと思うのは当然の事でしょう?」


 そう言う自分だって、舐める様に生徒名簿を覗き込んでいるくせに。


「ねぇねぇ、私、見つけちゃったのよ~、運命の相手を!……早速唾付けちゃった!」


 ユンナが「この子!」と指差したのはリルのルームメイトの女子だった。


「もう! 警戒心まるでなしで、会う度に自分から駆け寄って来てくれるのよぉ~。超バカ可愛いんだから~!」


 なんて羨ましい!

 もし、リルが自分から駆け寄って来てくれようものなら、すぐに捕獲して部屋に連れ帰って……これ以上は自重しよう。


 焦る事は無いんだ。

 まだ時間はあるのだから。

真相1:会長編

真相2:副会長編

の予定です。


少し修正しました。

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