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十二の記憶  作者: 緋絽
紅の勾玉
3/11

新たな仲間

遅くなりました、秋雨です!

うっそうとした森の中、玉玻と叉璃を肩に乗せて、獣道をスイスイと歩く。

これといった印はなく、下手すればすぐに迷ってしまいそうだが、岳は道順が分かっているかのように、全く迷うそぶりを見せない。

しばらく進んでいくと、玉玻が小さく鳴いた。

「しっ。少し黙ってろ」

玉玻を手のひらで軽く押さえ、周りの気配を探る。

―――――――いる。俺と“同じ”奴が。

にい、と口元を歪めると、気配のするほうに向かって声をかけた。

「そこにいるんだろ?出てこいよ」

そうだそうだ、と言わんばかりに、ちいちいと鼠が鳴く。

前方の木がガサリと揺れて、男が降りてきた。

男は、じいっと岳を見つめて、口を開いた。

「お前は、子だな」

疑問ではなかった。

「ああ、そうだ」

岳の声は、どこか楽しそうだった。

「………そうか」

ちい、と叉璃が鳴く。

それが合図だったのように、男が一気に距離を詰めてきた。

その勢いを殺すことなく、岳に向かって蹴りが繰り出される。

それは、余裕で避けられた。

「相変わらず鈍足だな、丑」

「うるさい」

その男と同じ存在である岳は、初めから男の正体はわかったいた。

その目的も。

「もっと速度を上げないと、俺は殺せないぜ?」

そう言うと、相手の動きが止まった。

「………やっぱりやめた」

「……は?」

ふあーっと欠伸をする男に、目を丸くする。

「おれを、連れて行け」

……この男は、今、何て言った?

「どういうことだ?」

「そのままの意味。おれを連れて行け」

男の表情は変わらない。

「ちいちい」

どうするの?と玉玻が問いかける。

「ははっ。お前、面白いな」

口元が緩むのを抑えられない。

「いいぜ、一緒に来いよ」

すっと手を伸ばす。

「ああ」

男がその手を掴んだ。

「よろしく、丑」

「…………道丑進(みちうじしん)だ。お前は?」

きゅっと眉間にシワを寄せ、男――――進が言う。

「名前なんかどうでもいいだろ?」

どうせ呼ばないんだから、という言葉は呑み込んでおいた。

言わなくてもわかるだろう。

「一応聞くだけだ」

「あっそ。まあいいか。俺は子宮岳だ」

「そうか。よろしく」

「「ちい」」

それに答えるように二匹の鼠が鳴いた。

次は夕さん!

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