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十二の記憶  作者: 緋絽
紅の勾玉
1/11

序章

遠い昔

神は気紛れに地上の獣達に命を下した





地を駆け

空を駆け

野を越え

山を越え


険しき道のり耐え抜き

見事私のもとへ辿り着いたならば

その種族を神の末席に加えよう


さあ

競え、争え


各々一族の代表を決めるがよい

その者に一族の運命を委ねるがよい


刻限は日の出まで

宴会の席はそうだな


―――十二、十二までだ


十二種族を我々は迎え入れよう


おや

もう駆け出す獣が、一、二…

地上に住まう数多の獣どもよ

そなたらがどのような結末を迎えるのか

我々は今から楽しみでたまらないよ――――





気紛れな神は笑った

獣は駆けた

地を、空を

神に加わる己を描いて


気紛れな神は笑った

獣は競った

野を、山を

神の暮らしを描いて


気紛れな神は嘲笑った

獣は殺した

前を駆ける獣を、隣を駆ける獣を

神のもとを目指して


気紛れな神は迎えた

獣は辿り着いた

獣を、獣を

曾ては同族だった(とも)切り捨て





子、丑、虎、


…卯、辰、巳、午、未、


……申、酉、戌


そして、最後に、亥





神は扉を閉めた

同じ神によって生み出された同族を

殺して集まった彼等に

神は告げたという





地を駆け

空を駆け

野を越え

山を越え


険しき道のり耐え抜いて

見事私のもとへ辿り着いた者達よ

そなたら種族は神の末席に加えない


理由が解らない?


それなら解るまでがこの競争

永久に続く競争


寿命の短い者がちと不利か

愚かな獣達に人間の生を与えよう

下等な人間のな


ほう、悔しいか

しかしそれは我等とて同じ


獣達の能力に期待した我等を

そなたらは裏切ったのだからな


答は教えない

己の罪に気付くその時まで

“干支の呪い”は終らないぞ





神は姿を消した

荘厳な社も姿を消した

残された獣―――いや“人間”は



巡る

巡る



神の言った“己の罪”を捜して



巡る

巡る



代を重ねる











そして

十二回目の“時”が始まる






初回は夕でした。

本当の第1話は緋絽さんが担当します。

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