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ソハカは、そこにいた他の人たちの間を渡り歩くようにして話をつなぎ合わせていった。リギルはソハカほどうまく立ち回ることができなかった。
しかし、途中でリギルはふと良い考えを思い付いた。ソハカや、他の人がそうやって思い思いに語り合っている、その心を盗むようにして見ていれば言葉に上らない思いや情報までをも掴むことができるのではないか。ソハカが聞いた内容に、リギルがそうやって得たものを加えれば多少は役に立つかもしれない。リギルはいつの間にか会話の輪を外れて壁際の席にぽつんと座っていた。
そうしているうちにも、一組、また一組と迎えの者が呼びに来て去って行った。後からも何組かがさっきの婦人に連れられて加わった。女がリギルのところに来て言った。
「長らくお待たせして申し訳ないことでございます……お二人のお部屋が用意できましたのでお越しくださいませ」
二人は案内の女に連れられて、階段を上がって小さな部屋に通された。こじんまりしているが二人が寝泊まりするには十分だった。
「ここを使わせてもらえるのか」
「どうぞ、いくらでもお気楽になさってください。覇の源には着かれたばかりですか?」
「そうです。先ほど殿堂に行ったが、人が多くて……会えるのはだいぶ先になるのでしょうか?」
「ウリウス様のお名前は天の果てまで広がっているようですからね。接見を求める人たちは後を絶ちません」
「そのようですね……」
リギルが案内の女と話すのを、ソハカはぽかんと聞いていた。
「それでは、御用がありましたら何でも、おっしゃってくださいね」
そういうと女は一礼して部屋を出て行った。それを見るとソハカは待っていたように床に寝転がり、ううんと伸びをした。




