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天国のマセル  作者: 中至
タミルノの真意
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二人がタミルノの家に到着した。だが住人達はいつも通りだった。


「みんなには何と話す?」


マセルは尋ねた。しかしタミルノは


「その必要はない」


と当然のように答えた。考えてみると、皆他人の心が読めるのだから当然に今日の二人の行動は住人たちに知れている。知っていてだれも何も言わなかった。あらためて議論する必要はないということである。


むしろ住人達は皆、タミルノがこの世界に関して積極的な行動に移るのを待っていたのだ。マセルは新参だったので把握していなかったが、これはタミルノと行動を共にしている住人たちの間ではもう共有されていた認識だったようだ。マセルは今さらのように住人たちの心の動きに集中してみた。姿は見えないが親しい者たちの意識ははっきり伝わってきた。皆今の状況をマセル以上に理解していた。そして、そもそも全員がタミルノに賛同していたのだった。


もちろん、この住人たちの動きをナモクも注視していた。ふだんはまるでのほほんと暮らしているかのように見えたのだが、タミルノたちの中にある、ある種の「まとまりの良さ」を見せつけられているような気がした。そして、それはタミルノの並みならぬ統率力によるところが大きい。ナモクには脅威でもあり嫉妬もあった。だが今は統治という大志の前にそんなことに頓着していられないと感じていた。


この後地獄の住人達は次々に取り決めを整備し、アジョ会衆を母体として統治機構を正式に構えた。まずはこの世界の全体を模索すべく把握のための暦と、拠点の配置計画と、組織を調えた。


ナモクはその1代目にして唯一無期限の統治長として正式に指名された。副長にはタミルノが推挙されたがタミルノはこれを固辞し、結局流れでイリアエルが就いた。


このようにして、今この世界の会衆は名実ともに一つになった。住人達は湧き上がった。探索隊の第一陣が出立する。そこには、タミルノ、ヌル、そしてマセルも含まれていた。

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