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「これは……うん、やはりクル像と見えるな」
ヌルとマセルが光源に現れた塊のことを知らせると隊の者たちは代わる代わるこれを見に行った。まだ細かな細工まで完全に見えるわけではなかったが、どうあれこれがクル像の形をしているという点で異論を述べる者はいなかった。形をしているというより、これを見たほぼ全員がこれをクル像だと感じた。
タミルノは主だった者たちを集めて話し合った。
大方の予測としてあのクル像と思しき塊はほどなくして取り出すことができるだろうと思われた。なぜならあのように天光源の内部にまず影のようなものが現れ、そのうちにその周辺の光源が粉末状に変わり、それを取り除くと地表に取り出すことができる、この経過はこの地に人が復活する時と同じだからであった。
「タミルノ。何か感じないのか? あんた人がああやって復活してくる時には必ずその場所や様子が分かるんだろ? 今回は何も感じなかったか? あれはまっことのクル像なのか?」
そう聞かれてもタミルノにもさっぱり分からなかった。
「とにかく今まで見たのと同じなら、ほどなくしてあれは地表に出てくることになるだろう……しかし問題は」
もしあれが取り出せたとして、まったくクル像に見えたとして、しかしそれをそのままクルと見做して良いのか、つまりそれを祈りと崇拝の対象にしてよいのかという点でだれも確信が持てなかった。
クル像の姿形であれば……それはクルなのか? だれにとっても現世においてクル像というのは自分が生まれた時からもうそこに鎮座しているものであった。もちろんいつの時点かに誰かの手によって作られたのだろうという漠然とした想像はできる。しかしそれがいつだれによるものなのか、あるいはそれが実際のところ何をもってクルだと言えるのか、問うてもだれもはっきり答えることなどできない。
それはあまり唐突に現れたので、むしろ人の手で作った像のほうが拝み易いようにさえ思えた。
いずれにしろ、今出来ることはほとんどなかった。
知らせはナモクたち本拠にいる者や他に分散している各隊の者にも伝えられた。疑う者も少なからずいた。
イリアエルは議論にほとんど与せず黙々と光源の加工に邁進していた。