ヌルの奔走 1
その後ヌルはひとりで久しぶりに光源地帯に来た。しかし光源を採取するでもなくただ地面に跪くと、祈り始めた。
「ぼくは、何のために……何をしたらいい? イリアエルは自分で剣を作ってるし、おじさんもお父さんも、大人はみんなそれぞれ……でも、ぼくはただ貰っているだけで。みんな優しいけど、それはぼくが子供だからって言って。
クルはどうしてぼくを。父さんと一緒なのは嬉しいけど、ぼくはずっと大人になることはない……ごめんね。こんなこと聞いても、だれも答えられないよね」
ヌルは目の前に立っている少し背の高い天光源の集積をクル像に見立てて、目を閉じてそれに問いかけるように祈っていた。そこへ大人たちが連れ立ってやってきた。
「もうこの辺は取り尽くしたろう。もう少し奥へ行ってみるか。ん? ……ヌル」
ヌルは祈るのをやめて大人たちを見たが、光源の前に跪いたままだった。
「どうした、何やってんだ?」
「……ぼく、お祈りしてたの」
「お祈り? ん、そうか。でも何もこんなところで一人で……」
そう話しかけた一人がクルの様子を見て急に怪訝な顔になって言葉を切ったので、ヌルは不信に思ってその男の心を読んだ。
偶像……?
何かいけないことをしているようだ。気まずい感じがした。男が何も言わなかったのでヌルはそそくさと立ち去った。