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イリアエルやマセルは度々ヌルに付き合っていっしょに光源取りに行ったが、ヌルは前にも増して天光源の採取に躍起になっていて、もっと大きな袋をタミルノにせがみ、一人で何度でも続けて、集めては渡し、集めては渡し、疲れると長く眠った。ヌルの姿が見えないことが多いので心配する者もいた。
「ヌル、あんまり無理するんじゃないぞ」
「うん、大丈夫だよ、おじさん。それより、イリアエルさんの剣を作る分、ちゃんと取っておいてね」
「ああ、ちゃんと分けてあるよ。でもな、やはり天光源を切り裂く程の剣となると。もともと天光源から作るわけだしねえ……」
「それでも、できるだけすごい剣を作ってよね。そうしたら、イリアエルさんの力で、絶対斬って見せるから、ね?」
「ああ、ああ分かったよ。ヌル」
その内にイリアエルが天光源を斬って見せるという話しが広まった。イリアエルは聞かれるたびに、ただ思いつきを言っただけだと答えたが、ヌルはもう絶対に斬れると吹聴して回ったので、イリアエルも後に引けない気持ちになっていた。
そして意外なことに、それなりの道具があれば思惑通り天光源を斬ることは可能だろうという者が多かった。むしろ中心的な話題は、天光源を用いて、天光源と同等以上の物質をどうやって産み出すかということであった。
ただし、これに異を唱える者も何人かいた。それは物理的に可能かということではなく、天光源をそのように扱うことはクルの意思に反するのではないかという懸念であった。
「お父さん、ぼく……」
ヌルは大人たちの錯綜する主張を聞いているうちに、もしかすると自分のしようとしていることがクルの前に重大な過失、あるいは反逆なのかもしれないと強く心配していた。