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「おじさん、今度はイリアエルと取って来たよ」
ヌルは自分の袋とイリアエルの袋を二ついっしょに手渡した。
「お、大漁だな」
ヌルはふふーんと自慢げな笑顔になった。
「今光源はどれくらい貯まっているんだ?」
イリアエルは尋ねた。
「いや、まだだ。だいぶ水にしてるし、残りも貯蔵用の箱を作るのにほとんど使っちまう」
「そうか。まあ、それでも日常の不便はほとんどなくなったが。本格的になるのはまだ先か」
「そうだな。そのうち、資材の種類や予定量も具体的に決めないといけないな、そろそろ。タミルノさんは何か言ってたかい?」
「いや、具体的にはまだ何も。それに、あいつは昔のようにみんなに割当を課すのは気に喰わないようだ。あいつはもともとそういうところが緩いからな」
「かも知れんな。だが、そこがタミルノさんの憎めないところでもある」
イリアエルはふっと皮肉っぽく嗤った。
「ヌル、お菓子食べるかい?」
ヌルは少し首を傾げて、それから答えた。
「今は要らない。さっき食べたばかりだもの」
「そうか? お前にあげようと思って作ってみたんだ」
イリアエルはちらとイリアエルの顔を見たが、イリアエルが目を合わせようとすると、ヌルはなぜかすぐに目を逸らした。
「また、後でもらうよ。ぼく今お腹減ってないんだ」