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天光源を取りに行った者たちが戻ってきたので仲間たちは手を休め、だれからともなく集って話し始めた。その様子はまるで親しい仲間が余暇を過ごしているかのように朗らかであった。
「どうした? タミルノさん。何か問題でも?」
「んん。いや……」
少し浮かれ気味の仲間たちと対照的に、タミルノが妙に上の空で黙っていた。
「いや別に、問題というわけではないんだがな……俺が気になっているのは、ここに天光源があることの意味だ」
「意味?」
「ああ。俺の感覚では、このマセルはこの地に来る最後の人間だということは話したろう? しかし、だとすると、ここにある天光源は一体何のためにここにあるのだ」
仲間たちは一瞬ぽかんとした。
「意味も何も、たまたま自生していただけじゃないのか?」
「俺にはそうは思えないんだ。何となくだが……クルが意味も必要もなく無駄なものを創出するだろうか?」
「うーん、確かに、現世ならば不思議でないが」
仲間たちはそれぞれに想像した。
「俺たちがここへ来ることは予定されていたのかもしれないな」
「そうかも知れん。とにかく俺は、ここに目的なく光源が自生しているというのは違う気がするんだよ。あるいは何かの暗示なのかも知れない……」
皆一様にううんと黙り込んだ。
「とにかく、そんな気がしたというだけの話だ。考えてみればどんなふうにでも解釈できる。つまらんことを言ったな」
タミルノはせっかくの発見に水を差してしまったような気がして申し訳なさそうに笑った。