ナモクの怠慢 1
「マセル! 見て。僕、こんなに取れたよ」
数人の大人たちに混じって光源を取りに行っていたヌルが、成果を自慢しようと駆け寄ってきた。
「ふうん。たくさん取れたな」
「うん」
マセルやタミルノが属した探索隊の第一陣は各地に拡散するように何度か隊を分けながらひたすら進み、ここに来て新たな天光源の自生地帯を発見した。それほど大きな規模ではないが、それでも、この退屈な旅の中で初めての発見らしい発見であった。
永遠に続くかと思われた赤土色の大地にうんざりしていた隊の仲間たちは大いに沸き立った。
「おじさん、これでまた何か作ってよ。僕お腹すいちゃったんだ」
「ああ、いいとも。楽しみにしておいでな」
この地で「天光源」あるいは単に「光源」と呼ばれているそれは、人々が作る食料や衣服、それに家屋などすべての原料になっている。もともとタミルノたちがいた集落付近には凍結した雪原のような天光源の広大な自生地帯があった。
ただし、天光源の本体は非常に硬く、それを切り取ったり削り取ったりする技術はこの地にはまだなかった。ここでは、人々は専らその表面に付着している粉末状の部分を根気よく集めてから、それを特定の時間放置するか、あるいは加熱や混合によって希望する変質を得る。非常に手間がかかる作業だが必要な生活物資を得る唯一の手段である。
隊の仲間たちはここにしばらく滞在するつもりで野営を張ることにした。ただ、野営といっても、ほとんど何の道具も持参していないので寝具などの手荷物を一か所に集め拠点の目印とする程度のことである。あとは火を起こしたり、集められた天光源を保管したりする準備をした。
「ここまでは正直言って退屈で死にそうだったが、こんなところで光源を見つけるとはな」
「そうだな。何より、これでまた久しぶりに温かいものが食べられる。俺はそれが嬉しくて仕方ない」