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「私は天で最初すごく動揺したし、心は荒れていました。すべてを憎んでいた。クルさえも。私は、ずっとほとんどだれにも会わず部屋に籠っていた。そのうち、引き受けの男が様子を見に来るようになって、最初はその度に口汚く罵って追い返していたけど……もう、どうにでもなれって……」
ユリスは言葉を濁したが、ソハカには分かった。今目の前にいるユリスからはとても想像できないと思った。ソハカは、このユリスの、そんな醜い姿を想像したくはなかった。
「ごめんなさい。でも、幸か不幸か、とにかく引き受けの男と関係するようになってからは、よく眠れるようになったわ。それから、夢を見るようになったのよ……あ、でも違うわ。それはただの夢よ」
ユリスは、やはり夢だったのかと誤解されると考えてあらかじめ否定した。
「問題はその後よ。私は、現世でまだ幸せだったころの夢を見たのよ。でもそれはあくまで夢です。でもとても懐かしい、いい夢だったから私は目が覚めてからも一人部屋の中でずっとその光景を思い浮かべてたの」
「ふうん、どんな夢なんですか?」
「あれは、私が最後にクルの例祭に行った日なのよ。みんなでクルに祈りを捧げて、目を瞑って。でも、その途中で、隣に座っていたヌルが動くので私が見ると、ヌルは目を開けてて、じっと私の顔を見ていたの。だから私は少し怒った顔をしたの。ちゃんと目を瞑ってクルにお祈りしなきゃダメよって。でもヌルはじっと笑ってこっちを見てるの」
「息子さん……ヌルって言うんですか」
「そう、ヌル。スタングレート会衆の長タミルノの一人息子、ヌルです」