詩 私が足を引きずっていると…
「どうしたんだ? 歩き方がおかしいそ」
「それが…」
彼の指摘通り、私は足を引きずっており、言おうか、言うまいか、悩む。
「別に恥ずかしいことじゃないだろう?」
「うん、そうだね」
そう言うと、私は立ち止まり、靴下を脱いでみせる。
彼は驚いたようだが、私だって恥ずかしい。
大根みたいな太い脚。
そんなにじっと見ないでとお願いする。
「あんまり見ないで。太いから」
「は? どこが?」
彼が怒って言うので、本音らしい。
私は嬉しくなって、足を持ち上げると、踵を見せる。
そこには、たくさんの絆創膏が貼られていた。
「どうしたんだ、それ?」
足にすいつく橋のように、並んで貼られた絆創膏。
私は絆創膏に触れながら言う。
「靴ずれなんだ。新しいから」
「あー、なるほど」
彼は納得したらしく、屈んで絆創膏に触れてくる。
私はスカートの中が見えないかと、とっさに思い、身体を引いたが、お構いなしに彼が触れてくる。
「これは…痛いな」
「うん」
「よし。じゃあ…」
彼は急に背中を向けると、ウサギ跳びのような格好をする。
「え」
戸惑っていると、彼は優しく言ってくる。
「背負うから乗れって」
「背負うって、その、あの」
私は心臓の音が耳で響き、彼を見つめる。
冗談じゃなく、本気のようだった。
「いいから、ほら」
彼が手をぱたぱた動かせ、勧めてくる。
私は遠慮がちに、
「重いかもしれないよ?」
「重いはずがあるか」
彼が怒ったように言ってくる。
私はどうしようか迷ったが、彼が急かすので、そっと肩に手を乗せる。
女の肩とは違う、角ばった筋肉質の身体。
「ちゃんと掴まれ」
「あ、うん」
素直に肩に掴まると、彼が立ち上がる。
どうやら平気らしく、私はほっとする。
しかし、今度は周りの視線を感じる。
恥ずかしそうに、彼の項に額を当てて、隠れようとする。太陽と木の清潔な香りを感じる。
彼は気づいたらしく、周りを睨みつける。彼を怒らせると怖いのは有名なので、皆、視線をそらす。
「よし、行くぞ。姫」
「姫…? くす」
思わず笑うと、彼は背負い直してくる。
「ありがとう」
小声で告げると、彼の耳に軽く唇をあてる。
彼は驚いたようだが、何も言わなかった。
こんな私だけど、これからもよろしくね。




