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仕組みの外側  作者: Svolik
第二章
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第五章

今回与えられた時間は、これまでとは明らかに性質が違っていた。数時間ではなく、丸一日。呼び出されることもなければ、何かを求められることもない。完全な自由ではないが、少なくとも一息つくことは許されている。その意図ははっきりしていた。ここから先に進むには、現状のままでは不十分だと、彼ら自身が理解しているのだ。


彼はその時間のほとんどを動かずに過ごした。


疲れていたわけではない。むしろ身体はこれまでにないほど軽く、整っている。しかし、それでも彼は動かなかった。急ぐ理由がなかったからだ。これまでの流れから見ても、理解を伴わない行動は、ほぼ確実に誤りにつながる。それはすでに証明されている。


部屋は変わらず簡素だった。その単純さが、かえって都合がよかった。余計なものがない分、思考を乱されることもない。食事は規則的に運ばれてきた。質素ではあるが、雑ではない。整えられた手順の中で用意されたものだと分かる。


運んでくるのは同じ人物だった。若く、落ち着いていて、必要以上に話さない。だが無関心というわけでもない。


彼はその様子を見てから、自然な形で声をかけた。


「あなたたちは、これを何と呼んでいる」


相手は一瞬だけ戸惑ったが、すぐに答えた。


「魔法です、閣下」


彼はその言葉を繰り返すように受け止めた。


「では、それを使えるのは誰だ」


問いは穏やかだったが、相手はわずかに言葉を選んだ。


「才能のある者です」


「多いのか」


「……全く珍しいわけではありませんが、誰でもというわけではありません」


それで十分だった。彼はそれ以上踏み込まなかった。こうしたやり取りでは、無理に答えを引き出すよりも、次につながる余地を残した方がいい。


翌日、彼は再び呼ばれた。


通された場所は前回とは違っていた。廊下の空気が変わり、人の動きが抑えられている。ここがより重要な領域であることは、説明されるまでもなく分かる。


案内された部屋は広くはなかったが、光がよく入っていた。中央の机の上には、奇妙な物体が置かれている。装飾品とも道具とも言い切れないが、明らかに何らかの機能を持っている。滑らかな表面に刻まれた線は、意味を持って配置されているようだった。


「手を置け」


彼は指示に従った。


冷たい感触が手のひらに伝わる。しばらく何も起きない。しかしやがて、内部から滲み出るように光が現れた。


周囲の人間が互いに視線を交わす。


「あるな」


「だが……おかしい」


彼は手を離した。


「何が」


答えた者は一瞬ためらった。


「力はあります。しかし、その量が測れません」


「なぜだ」


「普通は、もっとはっきり出るはずです」


彼は軽く頷いた。


「つまり、私はその“普通”に当てはまらない」


誰も否定しなかった。


「試してみろ」


「何を」


「火でもいい。物を動かすでもいい。基本的なことでいい」


彼は試みた。


意識を集中させ、方向を定め、力を加える。これまで知っているどの体系でも通用する方法だった。しかし、何も起きない。


もう一度試す。


より強く。


結果は同じだった。


彼は手を止めた。


「どういう感覚だ」


返ってきた答えは統一されていなかった。流れだと言う者もいれば、圧力だと言う者もいる。内側の光だと言う者もいた。いずれも結果の説明であって、過程ではない。


それで十分だった。


「見せてくれ」


一人が手をかざす。掌の上に炎が現れる。小さく、安定し、完全に制御されている。


彼はそれを見た。


炎ではなく、その直前を。


しかし何も分からない。


それが問題だった。


彼には二日与えられた。


実際には、それは同じことを繰り返す時間だった。


机の上の蝋燭を目標にする。火をつけようとする。集中し、意識を向け、力を加える。しかし何も起きない。物を動かすことも試したが、結果は変わらなかった。


二日目の終わりには、進んでいないことがはっきりしていた。やり方を変えているつもりで、本質的には同じことを繰り返しているだけだった。


彼はそこで止まった。


椅子に腰を下ろし、初めて「何もしない」ことを選ぶ。


それは簡単ではなかった。これまでの経験では、結果は常に努力と制御の先にあった。しかしここでは、それが機能していない。


ならば、逆を試すしかない。


彼は目を閉じ、意識を集中させるのではなく、むしろ離す。何かを起こそうとするのではなく、起こることを許す。


最初は変化がなかった。


やがて、わずかな感覚が生まれる。新しいものではなく、むしろ「抵抗が消えた」ような状態。


彼は目を開けた。


その瞬間、蝋燭が消えた。


燃えたのではない。溶けたのでもない。そこから消えた。


空気が一瞬だけ熱を帯びる。


彼は反射的に一歩下がった。


数秒のあいだ、ただ空間を見つめる。


やがて近づき、確認する。


何も残っていない。


彼はゆっくりと息を吐いた。


これで分かる。


力がないのではない。


制限がない。


それが問題だ。


その後の二日は、まったく別の作業になった。何かを起こすのではなく、どこで止めるかを学ぶ。出すのではなく、抑える。強くするのではなく、小さくする。


それははるかに難しかったが、同時に、ようやく理解可能な形になり始めていた。


その間も、彼は会話を続けた。食事を運ぶ者、様子を見に来る者、時に監視している者とも。直接問いただすことはしない。話題をずらし、自然に答えが出る形を作る。


魔法の起源。使用者の条件。制御を失った例の有無。


答えは断片的だった。


だが、その中に共通点が現れ始めている。


それは、構造が存在する証拠だった。


いずれ、それを解くことができる。


だが今は違う。


今の課題は、次の試みで部屋を壊さないこと、そして――誰かを巻き込まないことだった。


少なくとも、それは達成できていた。


それで十分だった。

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