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仕組みの外側  作者: Svolik
第二章
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第三十五章

その勝利は、次の進撃には繋がらなかった。


むしろ戦争そのものを止めた。


終わったわけではない。ただ、それまで当然のように続いていた流れが、ある瞬間を境に成り立たなくなり、双方がそれをはっきりと感じ取ったのだった。敵軍は単に戦場から退いたのではない。まるで内側へ引き下がるようにして、起きたことを理解しようとしていた。なぜなら、あの出来事は、これまで彼らが前提としてきた戦いの形に収まらなかったからだ。


あれは単なる一つの戦術ではない。


距離、精度、そして何よりも――女性の命を消費せずに成立するという事実。


その存在だけで、彼らが依拠していた優位性の根本が崩れる。


問題は力そのものではなかった。


その力が、彼らの理解の外にあったことだ。


そしてさらに厄介なのは、それが偶然ではなく、意図的に選ばれた行動だと誰の目にも明らかだったことだった。一度選ばれた以上、それは繰り返される可能性を持つ。


それが分かってしまえば、これまでと同じやり方では進めない。


戦争は終わっていない。


だが確実に、足を止めた。


彼だけが、その流れの外にいた。


外の状況がどう変わろうと、それは彼の中には届いてこなかった。意識はすべて内側に引き込まれ、外界はただ遠くにあるだけのものになっていた。


彼は理解していた。


何をしたのかも。


なぜそうするしかなかったのかも。


もしあれを選ばなければ、どれほどの犠牲が出ていたかも。


それでも、その理解は何の意味も持たなかった。


論理は成立している。


だが、それでは何も軽くならない。


彼の中に残っているのは結論ではなく、あの瞬間そのものだった。


夜になると、それは繰り返される。


思い出すのではない。


再びそこに戻される。


同じ角度で。


同じ速度で。


同じ距離で。


魔力が届き、身体が裂け、そしてその直後に訪れる、ほんのわずかな時間。


彼が消し去ることのできなかった、あの短い連続。


その中で、彼女たちはまだ生きている。


それを感じてしまう。


その事実が、何度も彼の中で繰り返される。


彼は叫びながら目を覚ます。


一瞬、自分がどこにいるのか分からない。


時間が戻る。


空間が戻る。


だが感覚だけが残る。


手がまだそこにあるように感じる。


血が消えていないように思える。


それが現実ではないと理解するまでに、わずかな時間が必要だった。


リラとカイラは、彼のそばを離れなかった。


彼が望んだからではない。


そうするしかないと、二人とも理解していたからだ。


最初は、静かな形だった。


リラはいつも通り、しかし以前よりもさらに深く寄り添うように彼に触れ、言葉よりも体温で彼を繋ぎ止めようとした。無理に引き戻そうとはせず、ただ今ここにあるものを少しでも感じさせるように、呼吸の間に溶け込むように寄り添っていた。


カイラは違った。


彼女は最初、力で戻そうとした。


言葉で。


態度で。


時には苛立ちすら隠さずに。


だがそれが意味を持たないことに気づくのに、時間はかからなかった。


そこから、やり方が変わる。


二人は話し合ったわけではない。


だが同じ方向に進んでいく。


触れ方が変わる。


距離が変わる。


そしてやがて、それはただの慰めでは足りなくなる。


彼を引き戻すために、彼女たちは自分たちの中に残っていた遠慮を手放していく。


恥じらいは意味を失う。


躊躇も同じだ。


そこにあるのはただ、どうすれば彼が戻るかという一点だけだった。


リラはすべてを受け入れる側へと深く沈んでいく。自分の境界を曖昧にし、彼を包み込むようにして、その中に引き戻そうとする。その在り方は柔らかいが、同時に揺るがないもので、彼を否定せず、そのまま抱え込む形だった。


カイラは逆に、境界を強めていく。彼女は自ら主導を取るようになり、動きを決め、流れを変え、時には彼の反応を無理やり引き出すようにして、感覚そのものを揺さぶろうとした。そこにはもはや遠慮はなく、必要であれば強さもためらわずに使う。


その二つの方向が交差する。


柔らかく受け入れるものと、強く引き出すものが同時に存在し、彼をその間に置くことで、どこか一つでも反応が戻る可能性を探していた。


それはもはや単なる親密さではなかった。


快楽のためですらない。


どこまでいけば届くのかを探る行為だった。


彼に与えられるものはすべて与えられた。


委ねることも。


従うことも。


主導することも。


奪われることも。


どの形であっても構わないから、とにかく彼がそこに戻るための感覚を呼び起こそうとした。


それでも、それは長く続かなかった。


一瞬だけ戻る。


そしてまた沈む。


その繰り返しだった。


彼はほとんど言葉を発しなくなり、視線も遠くへ向かうことが増え、思考の大半は内側に閉じたまま外へ出てこない。


時折、彼は動こうとする。


元の習慣に戻ろうとする。


だがその動きには、かつてのような迷いのなさはなかった。そこには常に、もう一つの問いが重なっていた。


できるかどうかではない。


それをしていいのか。


その問いは答えを持たなかった。


そして答えがないまま残り続ける。


カイラはそれを最初に受け入れた。


無理に引き上げることをやめる。


ただそばにいる。


変えようとしない。


リラも同じように変わる。


彼女たちは何かを解決しようとするのではなく、その状態の中に共にいることを選ぶ。


それが何も変えないとしても。


それでも離れない。


そしておそらく、それだけが彼を繋ぎ止めていた。


言葉ではなく。


触れ方でもなく。


そこに在り続けるという事実そのものが。


彼が再びあの瞬間に引き戻されるたびに、そのすぐ外側に、別の感覚が残る。


軽さではない。


救いでもない。


ただ、自分が一人ではないという認識だけが、消えずにそこにある。


そして今の彼には、それだけで十分だった。

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