表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕組みの外側  作者: Svolik
第二章
22/51

第二十二章

準備が整ったと告げられたとき、彼は期待も高揚も感じなかった。むしろ内側にあったのは、静かで冷えた理解だった。これは単なる繰り返しではない。すでに形になり始めている均衡に、もう一つの変化を加える選択だということを、彼ははっきりと分かっていた。前回は手探りだった。何を求めているのかも曖昧なまま、感覚に頼って選んだ。だが今は違う。彼は知っている。どんな関係があり得るのか、何が本物の応答なのか、そして何より、同じものの繰り返しでは意味がないということを。


彼に必要なのは、もう一つの同じではなかった。


まったく別のものだった。


案内された部屋は前と同じだった。高く、無機質で、光は均一に落ちていて、誰の表情も隠さない。並んでいる少女たちも同じように整えられていたが、彼の見方は完全に変わっていた。外見を評価するために見ているわけではない。選択肢を比較しているわけでもない。彼はただ、そこに「反応」があるかどうかを見ていた。


ゆっくりと列の前を歩く。


急がない。


目で判断しない。


もっと奥の、言葉にしにくい部分で探る。


そして、ほとんどすぐに分かった。


違う。


多くが似ている。


整いすぎている。


彼女たちは正しく立っている。正しく視線を置いている。選ばれるための姿勢を崩さない。その中には恐れも、期待も、従順さもある。だが、それだけだ。


それは悪くない。


だが、足りない。


彼はそのまま歩き続け、ほとんど列の終わりに差しかかったところで足を止めた。


理由は説明できなかった。


ただ、引っかかった。


彼女は他と違っていた。


わざとではない。


だが明確に。


姿勢が違う。整えていない。従っていない。かといって反抗しているわけでもない。ただ、そこにいる。


肩の力が抜けているのに、緩んでいない。立ち方が「並んでいる」ものではなく、「そこにいる」ものだった。


髪は黒く、整えられてはいるが、どこか無造作さが残っている。意識して整えたというより、必要最低限で済ませたような印象だった。目も同じく暗く、そしてまっすぐだった。


視線を逸らさない。


それだけでも十分に異質だった。


だがそれ以上に目を引いたのは、その中にあるものだった。


従順さがない。


媚びもない。


代わりにあるのは、わずかな嘲りと、遠慮のない観察。


まるで、自分が選ばれる側ではなく、こちらを値踏みしているような目だった。


彼はその前に立ち、しばらく何も言わずに見つめた。


彼女も視線を外さない。


沈黙は長くはなかったが、十分だった。


— 名前は。


彼はようやく口を開く。


彼女はわずかに顎を上げる。


— カイラ。


短い。


余計なものは一切ない。


それ以上でも、それ以下でもない。


彼はそれをそのまま受け取る。


— 興味があるようには見えないな。


言葉は淡々としていた。


彼女はわずかに口元を歪める。


— 見えなきゃダメ?


軽く。


だが逃げない。


彼は少し目を細める。


— 普通はな。


彼女は肩をすくめる。


— 普通ってのは、私じゃない。


その言い方には、誇張も誇示もなかった。ただの事実の提示だった。自分がここに適応するつもりがないということを、隠さずに示している。


そして彼は、その瞬間に確信する。


これだ。


彼が探していたもの。


リラとは違う軸。


受け入れる側ではなく、ぶつかる側。


静けさではなく、緊張。


柔らかさではなく、鋭さ。


彼はそれ以上言葉を重ねなかった。


必要がなかった。


答えはもう出ている。


— 彼女にする。


静かにそう告げる。


その声は特別強くもなければ、強調もされていない。ただ、迷いがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ