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第十七話 ソロモンの輝き〜第三次ソロモン海戦第二会戦②〜

 サボ島南で敵戦艦ノースカロライナ型、サウスダコタ型との砲撃戦は熾烈をきわめていた。我が播磨はノースカロライナ型と、美濃、霧島はサウスダコタ型と撃ち合っている。同航戦、距離9500m、互いにほぼ必中の間合い。霧島の後方愛宕、高雄もさかんに砲撃している。副砲、高角砲、機銃まで飛び交う乱戦の様相を呈してきた。

 後方で大爆発音。振り返ると美濃の艦橋の上半分がない。艦橋トップが崩れ落ちていくシーンがスローモーションのように見える。第2砲塔に破片が降り注いで、あるはずのシルエットがない。手痛くやられたようだ。これでは主砲を管制出来ず砲側の射撃しか出来ないだろう。

 こちらも僚艦を気遣う余裕はない。第7斉射、主砲が吠える。敵艦中央部に命中弾。パッとノースカロライナ型の船体が光って噴煙が噴き出す。その直後また敵の主砲が光る。まだ戦闘力は生きている。大きな衝撃。一瞬椅子から身体が浮くような感覚のあと叩きつけられた。全身が痛い。見下ろすと2番砲塔の真ん中の砲身が無い。敵弾が直撃したようだ。幸い防盾は分厚い装甲で守られているが、この至近距離では貫通こそ許さなくても大ダメージだろう。砲術長が伝声管で呼びかけるが応答がない。やられたか。

 2番砲塔を失ったとしてもまだ38センチ砲は3基9門生きている。第8斉射。再び命中弾を得た。敵艦の主砲の動きが止まった。電源か機関に命中したようだ。勝負あり。第9斉射、敵の砲撃が途絶えた隙に撃ち込む。火災が起き、破片がさらに飛ぶ。さらに撃つ。ノースカロライナ型の艦首の航行波が明らかに小さくなっていく。もはや脅威ではない。散発的に副砲や機銃が発砲してくるがこれは無視しても大丈夫だろう。

 一息ついて後ろを振り返る。米軍の放った照明弾の下、艦橋を失った美濃の姿が遠くに見え落伍しつつあり、播磨の真後ろには霧島が続いているが燃えている。火災をシルエットに艦橋が浮かび上がって不気味な雰囲気を漂わせているが主砲は生きているようだ。

 前方を見直すともはや戦闘力を失ったと思われるノースカロライナ型を盾にして、その横をすり抜けて前に出ようとするサウスダコタ型が見える。目標変更、敵サウスダコタ型と下令し主砲の照準を取り直す。

 砲撃再開。主砲が再び咆哮する。敵艦の目標は霧島のようだ。初弾で夾叉、霧島のペイントされた水柱と我が播磨の赤い水柱が交差して立ちのぼる。霧島の砲弾が命中するのが見えるが弾き飛ばされている。敵サウスダコタ型は重装甲のようだ。播磨の砲弾が煙突基部をえぐる。副砲塔を吹き飛ばした。数で押せる。

 敵主砲がまた光る。霧島に弾着、艦後部の火災が勢いを増しているようだ。霧島も満身創痍、早く決着を付けなければならないと焦りが募る。残された3基の主砲は以前30秒おきに砲弾を撃ち続けている。

 

 突然砲弾の軌道がスローモーションに見えた。探照灯の光の中、放物線を描いて 敵サウスダコタ型の2番砲塔下にスーッと吸い込まれて行くのが見えた。見えるはずのないものが見えたと思った直後、火焔が噴き出した。2番砲塔が宙を舞う。アッという間に敵戦艦が2つに折れて艦尾が直立し、艦首だけが浮いている。1番主砲だけが絞めた直後の魚がピクピクするように今だ発砲しているが、その姿は物悲しい。

 敵戦艦轟沈である。とうとう播磨の主砲がその使命を果たし、米戦艦を討ち取ったのだ。艦内放送で敵サウスダコタ型轟沈を伝えると万歳万歳の大歓声である。砲術長は涙を流して喜び、皆抱き合っていた。条約に縛られて生まれた同世代戦艦同士の撃ち合いを制した、その喜びに皆震えていた。

  一歩引いて戦場を眺めれば、長良以下の水雷戦隊がもはや砲撃力を失ったノースカロライナ型に雷撃を敢行。副砲の散発的な攻撃はあるもののもはや敵ではなく、酸素魚雷を5本叩き込まれたことで急速に傾斜が進んでいく。撃沈確実である。

 

 いったん播磨艦橋から集まれの指示があり乱戦を生き延びた各艦が集まってきた。姿の見えないのは炎上する綾波と、艦橋を失い落伍した美濃を護衛して後退を始めた浦波の3隻のみであり、霧島は火災が続いているものの何とか抑え込めている様子。播磨も砲塔1基を失ったものの以前戦闘力を保っている。

 敵の抵抗を排除したため司令部はガ島突入を決意。川内、長良が先行して敵魚雷艇を警戒しているところへ播磨、霧島、愛宕、高雄の本隊が侵入する。西に6ノットで進みながら三式弾でヘンダーソン飛行場へ一斉砲撃。播磨の38センチ砲9門、霧島の36センチ砲8門、愛宕高雄の20センチ砲20門のつるべ打ちである。あっという間にガ島飛行場は赤々と燃え上がり、もうもうと煙を立ち上らせている。

 反転して残弾を撃ち尽くす勢いで射撃継続。愛宕の観測機と陸上からの観測をもとに2時間かけて焼き払った。艦橋から飛行場は直接視認できないが、しばらくは稼働できないだろう。戦艦2隻と駆逐艦4隻を撃沈し、飛行場を機能不全に陥れた。作戦成功である。救助した敵戦艦乗員から戦っていた相手はノースカロライナ型のワシントンとサウスダコタ型のサウスダコタであることが判明した。まさに同世代、条約の縛りのなかで設計され、エスカレーター条項で拡大改修された同じ境遇の戦艦との対決であった。

 意気揚々と艦隊は26ノットを維持してショートランド泊地へと帰投していくこととなった。


両軍損失

日本側

沈没

駆逐艦綾波

中破

播磨、美濃、霧島

小破

多数


米側

沈没

戦艦ワシントン、サウスダコタ

駆逐艦4


 


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