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第十四話 ウォッチタワー作戦とガダルカナル消耗戦

 昭和十七年八月、とうとう米軍の反攻が始まった。大西洋から回航した空母ワスプを中核にソロモン諸島ガダルカナルに奇襲的に空爆後、第一海兵師団が上陸してきたのだ。小規模な海軍設営隊しか存在しなかったため一蹴されて飛行場を占領され、早速米軍が重装備を揚陸している、という報告が上がってきた。即応可能な在ラバウルの第八艦隊が夜間に殴り込み、サボ島周辺の米豪巡洋艦部隊を完膚なきまで打ち止めした。世にいう第一ソロモン海戦である。しかし空襲を恐れ一航過で第八艦隊は離脱したため、輸送船団は温存され重装備の上陸を許すこととなった。

 軍令部はガダルカナル奪回を決意。陸軍の一木支隊をガダルカナルに投入後、増援を送ることに。ミッドウェーの損害から立ち直っていない赤城、損傷修理中の飛龍は使えないが再編なった第五航空戦隊翔鶴、瑞鶴を中核に第三戦隊の金剛榛名と空母龍驤を加え第三艦隊を新規に編成した。その初任務は陸軍川口支隊のガ島への輸送、揚陸を空中から援護することであった。


 一方ミッドウェーで被弾した播磨は本土に帰り、呉で修理を受けていたため僚艦美濃とともに内海にあった。艦橋が一部損傷したため、その修理ついでに両艦にまだ試験段階を終えたと言い難いレベルだが電探の搭載工事を行うことになったためである。播磨は艦橋修復ついでに大きな電探室を艦橋後部に設置。美濃は工期短縮のために空いた司令部室を潰して電探室に転用することになり、そこが姉妹艦の見分ける大きなポイントとなった。そして機銃が増設されることになり、これを機に今までの25mm3連装機銃10基から14基になった。

 三番艦近江、四番艦筑後の工事も順調に進んでいた。両艦とも既に主砲が搭載され、上部構造物の搭載が進んでいる。ミッドウェーの戦訓を取り入れて一部設計変更がまたまたはいることになり、四番艦筑後のみまだ搭載していなかった後部3番主砲を搭載せず、高角砲を空いたスペースに3基追加搭載することになった。近江は昭和十八年初頭、筑後は十八年末に竣工予定である。


 両艦が呉で工事を受けている間の八月末に第二次ソロモン海戦があった。どうやら痛み分けの結果となったらしい。龍驤が失われたかわりに米空母ワスプを痛撃したものの沈めるには至らなかったようだ。潜水艦がサラトガを狙う絶好の射点についたものの取り逃がしたという話も聞こえる。

 

 十月になり、播磨、美濃はそろって戦線復帰。艦橋トップ測距儀の上に魚焼き網のような電探が追加され外見の印象は大きく変わった。両艦とも第三艦隊に編入され空母直衛の役割を担うことに。同時に復旧なった赤城、飛龍も第三艦隊に復帰した。本土からトラックの本隊に合流すべく南下中にサボ島沖海戦が発生。輸送隊の援護とガ島飛行場砲撃に突入した重巡青葉、古鷹、衣笠が米巡洋艦部隊に手痛く反撃を受け古鷹が沈んだようだ。夜戦のアドバンテージも失われつつあるのか、という不安と、我々はもっとうまくやれるという議論が艦内で巻き起こった。

 その後金剛、榛名がガ島突入を成功させヘンダーソン飛行場を艦砲射撃で沈黙させたニュースにはやはり夜間は我々のものだ、という意見を後押しし大いに盛り上がった。

 十月二十日、トラックを出港した第三艦隊はガ島の陸軍部隊の総攻撃に合わせて空襲し、ガ島奪回の決定打を打つべく東に進む。



第三艦隊(山口多聞中将指揮)

空母4

赤城(旗艦)、翔鶴、瑞鶴、飛龍

戦艦4

播磨、美濃、比叡、霧島

重巡4

利根、筑摩、熊野、鈴谷

軽巡1

長良

駆逐艦16


第二艦隊(近藤信竹中将指揮)

空母1

隼鷹

戦艦2

金剛(旗艦)、榛名

重巡4

愛宕、高雄、摩耶、妙高

軽巡1

五十鈴

駆逐艦10


 空母5隻、戦艦6隻の大艦隊である。ミッドウェー並みの規模を取り戻した山口機動部隊内容は日本海軍ミッドウェーの敗北を経てもここにありの姿を見せつけていた。

 播磨、美濃も修理で十分な休養を取ったこと、人事異動があり新兵がまた乗ってきたことで活気があり士気は高い。

 十月二十五日、夜明け前から索敵機が空母を飛び立っていく。いよいよ始まった、という緊張感のなかでその背中を見送りながら新装備の電探を防空指揮所で見上げる播磨二代目艦長。



 東の空に黒い点が現れた。敵機だ。索敵機に居場所を特定されたようだ。高角砲が黒い花を咲かせ牽制すると雲のなかに消えていった。

 追い払ったと安心してしばらくしたとき、先ほどの索敵機が突然躍り出て艦隊中央から急降下して来る。電探で探知していたはずが、見落としていた。あとから分かったことだが電探室から報告は上がっていたが防空指揮所には届いていなかった。全く無警戒の中悠々とダイブしたドーントレスは翔鶴の飛行甲板に爆弾を叩きつけて飛び去っていく。慌てて対空戦闘に入るがもう遅い。翔鶴は黒煙を噴いて戦線離脱だ。

 山口司令部は慣れ親しんだ赤城で悠々と指揮を続けている様子。さすが我が鍛えられた母艦群、突然の空母炎上というハプニングにも動じず次々と攻撃隊が空へ飛び立っていく姿を頼もしく見つめた。翔鶴はヨタヨタと駆逐艦1隻に守られながら反転していくが何事もなかったかのように機動部隊は進む。

 即座に残った3空母の甲板には第二次攻撃隊が整列し、甲板を蹴って空へ飛び上がっていった。その直後、電探室から敵攻撃隊接近の報告がはいる。直ちに発光信号で全艦に警告を出し、対空戦闘用意を告げる。赤城の向こう側の美濃も発光信号を光らせて同様に敵機探知を警告している。電探はうまく作動しているようだ。

 敵機来襲、高角砲、機銃が絶え間なく打ち上げ、艦隊上空は暗くなるほどの弾幕を張る。しかし米軍機も勇敢にもその中へ飛び込んでくる。とても防ぎきれない。アッという間に飛龍が被弾した。ミッドウェーをみているかのように再び艦橋前に敵爆弾を浴びたようだ。火災は何とか抑え込んでいるようだがこれ以上の作戦行動は無理だろう。

 我が艦隊の対空砲も練度が上がり、何機かは捉えて海面に叩きつけることに成功しているがいかんせん多勢に無勢。やはり空母は脆い。

 2波にわたる敵攻撃隊が去った後、第一次攻撃隊が帰ってきた。何とか敵の攻撃を抑え込み、半分の空母はまだ生きている。稼働空母は赤城、瑞鶴のみだが幸い2隻とも図体が大きい。それよりも帰ってきた機数がミッドウェーと比べ物にならないくらい少ないことに衝撃を受けた。敵の対空砲火も相当熾烈だったのだろう。

 2空母は帰投した機体を再度甲板に並べて第三次攻撃隊を送り出した。山口司令部らしい攻撃である。どうやら隼鷹も攻撃を続行しているようだ。ミッドウェーのように夕暮れ時の太陽を背にした攻撃も電探があれば発見できるだろう。朝の索敵機を見落とすようなことがないように電探室には小まめな報告を命じた。

 

 赤城から発光信号が来た。戦艦隊は足の止まった敵空母にとどめを刺してこい、とのこと。待ち望んだ瞬間が回ってきた。美濃、比叡、霧島、重巡熊野、鈴谷、駆逐艦4を引き連れて25ノットに増速。日付が変わるころには追いつける計算だ。

 心配したが敵機は来ず、パラパラと帰ってくる攻撃隊が空母の方へ飛び去っていくのを見上げながら前進する。どうも敵空母1隻を大破させ、航行不能にしたようだ。もう1隻にも大損害を与えたようだがそちらは足はある様子。艦内にこれより敵艦隊に突入、護衛を排除して敵空母にとどめを刺すと伝達。大いに盛り上がる艦内。


 完全に日が落ちて夜になった南太平洋で、水平線に光が見えた。燃える敵空母のようだ。電探も目標を探知している。間違いない。

 そのまま突進しながら主砲右砲戦を指示。空母の周りに駆逐艦がいるようだ。播磨、美濃は空母を、比叡、霧島には駆逐艦を撃つように命令したが米駆逐艦はそそくさと逃げ出してしまった。洋上に傾斜し炎上する米空母、サラトガ型だ。レキシントンは珊瑚海で葬っているからこれはサラトガか。いよいよ主砲を敵に、しかも主力艦に撃てる高揚感で上ずった声で撃ち方始めを叫んだ。さすがに止まっている目標に当てることなど造作もなく、戦艦4隻の統制射撃で蜂の巣にするとスッと沈んでいった。この手で敵空母を沈めた、という高揚感のなかで味方駆逐艦にまだ浮いている米兵を救出させ機動部隊と合流するため反転した。


 南太平洋海戦で播磨、美濃はその主砲を初めて発砲し、軍縮条約で空母に艦種変更されたサラトガを沈めた。翌日後退するワスプを潜水艦が撃沈した。米軍の太平洋における稼働空母はゼロになり、戦術的勝利を収めたもののガ島総攻撃への援護は不発。ガ島をめぐる日米の攻防は最高潮へと向かっていく。


日本側損失

沈没 なし

中破 翔鶴 飛龍

航空機127機損失


米側損失

沈没 空母サラトガ ワスプ

中破 軽巡アトランタ

航空機165機損失

 

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