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さくらとアネモネ  作者: サファイロス


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6/25

第6話 奪われたくない、ただそれだけ

体育館の空気は熱かった。

 クラス対抗のバレーボール大会。


 櫻は初心者ながら、

 懸命にボールを追いかけていた。


 気になって仕方がない。

 視線はつい、観客席へ。


 そこには――


「アネモネさん……?」


 別のクラスの女子に

 肩を寄せられながら座っている。


 その子は笑顔で、

 アネモネの髪に手を伸ばし――


 胸の奥が、痛みでぎゅっと縮む。




「櫻ちゃん、ナイスカバー!」


「ありがとう!」


 声を掛けられても、

 頭の中はアネモネのことでいっぱい。


 もっと見てほしい。

 笑ってほしい。


 だけど視線を送ると、

 彼女は隣の女子に話しかけられている。



 その一瞬、

 櫻の返したボールが乱れ、ミスになった。


「ご、ごめんなさい!」


 


 櫻は猛ダッシュで体育館裏へ向かった。

 胸が苦しくて、息が乱れる。



 額に手を当て、深呼吸しようとしたとき――


「櫻」


「っ、アネモネさん」


 追いかけてきてくれた。


「何してるの、いきなり走って行くから」


「見てたの…?」


「全部。櫻、頑張ってた」


「でも、アネモネさん……

 他の子と楽しそうで……」


 言葉が震える。


「……怒ってるの?」


「怒ってない…でも…

 胸が…モヤモヤする……」


「嫉妬、したの?」


 アネモネはゆっくり櫻へ歩み寄り――



「櫻のそういうところ……可愛い」


「かわっ……!?」


「櫻以外に触られたくなかったのね?」


「アネモネさんだって…!

 他の人に触られてて…私、嫌だった」


「じゃあ、櫻だけが触って」


 アネモネは櫻の手を、自分の頬へ導いた。


「櫻が触れるなら、嬉しい」


 涙が勝手に零れる。


 櫻は衝動のまま――

 アネモネを抱きしめた。


「嫌いにならないで……」


「なんでそうなるの。

 櫻が好きで苦しいのは私も同じ」


「ほんとに……?」


「ほんと」


 櫻の肩に腕が回り、

 アネモネは耳元で囁く。


「櫻のものにしていいよ」


「……ずっと?」


「ずっと」

「約束?」

「約束」


 二人の指が絡まる。

 体育祭の喧騒が遠くなる。

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